デベロッパーのホテル事業と最近のホテルの傾向について

ここ半年ばかり、デベロッパー各社からホテル事業進出についてのコンサルティングのご依頼が増加しております。これは、マンションや商業ビル開発が頭打ちになり、次の活路として模索されての結果と思いますが、ホテル事業はそんなに美味しい事業ではありません。ましてや、1種100万円以上の土地を購入し、土地代も含めて収支が合うような事は100%ありえないことです。今後ホテル事業をご検討される方に次のアドバイスをさせて頂きます。

1.ホテル事業は客室という生鮮食品を売っているのと同じです。全部の部屋を売って100%で、その日に空いた部屋は消費期限切れの商品です。従って、事業計画はこの客室の販売できる範囲、例えば7割程度で検討する必要があります。

2.旅館の業態ですと、通年で7割というのはかなり特殊です。旅館については食事というプレミアムが付いているので、損益分岐点はもう少し抑えられます。また、シーズンにより料金が変動しますので、この点を留意して下さい。

3.最近ではシティホテルと呼ばれる形態は非常に事業が難しくなっています。旧来からシティホテルの大きな収益源は「宴会」であり、その中でも「婚礼」により高収入、高利益を上げてきました。しかしながら、ライフスタイルの変化から、ホテルでの婚礼需要は年々減少しており、ウエディング専門の業態がこれにとって変わってきています。昔のように多額の金額をかけて行う「婚礼」が変質して、これにより、シティホテルが成り立たなくなっている訳です。

4.シティホテルのディナーショー
従来からシティホテルでディナーショーが行われてきましたが、この部分も近年、変質しており、昔であれば即日完売という幻想は今日ではごくまれです。ホテルはこの券を吐く為に、出入り業者に押し付けたりまでしないと売り切れないのが実情です。ディナーショーが高いのは出演のタレントさんのギャラにあります。通常、ディナーとしてホテル側に入る収入は1万円以下が殆どで、ギャラのランクとしては200万円台から1000万円越えまで様々です。例えば500人収容の宴会場で1000万円のギャラのディナーショーであれば、それだけで一人当たり2万円ですし、これに、舞台、照明のコスト、プロダクションのコミッション、スタッフの交通費等を加えると簡単に一人4万円を超えてしまいます。某女性歌手は1回で1600万円もしますし、多くの歌手の方々はこのディナーショーが稼ぎ時なのです。

今後、ホテルについて、順次、解説でご紹介して行きます。堅苦しい話しだけではなく、ホテルの裏話し等も紹介して参りますので、ご期待下さい。