日本から米国事業のオペレーション責任者(現地では、社長職)として赴任なされる駐在員の中には、年度末になる毎に会計監査でご苦労なされている方も少なくありません。 その多くは、米国会計における会計監査手法のご経験をお持ちにならず、どのように対応してよいのか戸惑いながら実施されているのが実情です。 ここでは、米国事業の最高責任者(社長)として、最低限米国会計監査について知っておかなければならない基本事項についてご説明します。

米国会計における監査の基本は、米国事業・法人会社側から企業情報として開示・提示される財務諸表類、すなわち賃借対照表(Balance sheet: B/S)・損益計算書(Income statement)・利益剰余金計算書(Statement of Retained Earnings:R/E)・キャッシュフロー計算書(Statement of Cash Flos:C/F)に対して、第三者としての会計監査人(独立監査人、通常は監査会計士)により、公正妥当と認められた米国会計原則(英語では、Generally Accepted Accounting Principal:通称GAAP)に沿ってその企業の財政状態・経営状態・キャッシュフローを適切に表示しているかどうか関して、意見表明を行うこと意味します。

その目的を達成する為、会計監査人により下記の順序に従って実施・遂行されます。

1、会計監査計画の立案

会計監査人により、開示された財務諸表類に虚偽の記載事項がないかどうかを合理的に保証する為の会計監査計画を立案します。

2、企業内の内部統制の理解・文書化、及び内部統制上のリスクの予備評価

ここでの企業内の内部統制とは、その企業が行っている事業活動についての内部チェック体制を意味します。会計監査人は、この内部統制を理解して、どの程度キチンと行われているのか見込み作業を行います。この見込み作業の内容には、会計・経理部門の機能チェックも含まれており、この段階で、会計・経理部門業務が堅実な企業は、そうでない企業に比べ会計処理による誤記入が発生する可能性が比較的少ないと考察されます。

3、内部統制検証テストの実施と内部統制上のリスクの再評価

内部統制検証テストとは、その内部統制がしっかりと行われているかどうかの検証を行うことを意味します。(状況により、実施されない場合もあります。実施の有無については、監査人・監査状況により異なります。)

4、実証性テストの実施

実証性テストの内容は、企業より開示・提示された財務諸表類が公正妥当に作成されているかどうか判断する根拠・証拠データを構築する為に行われます。

5、会計監査の終了

上記の実証性テストが完了して、その他の必要事項の手続が行われると、会計監査が終了します。

6、会計監査報告書(Audit Report)の発行

上記1~5のプロセスの後、会計監査の最終結果として監査報告書(Audit Repaort)が発行されます。


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