つい先日、NHKのクローズアップ現代でWomanomics、即ち女性によって活性化される経済が取り上げられていた。消費の面ではもちろんだが、生産つまり職場における女性の活躍が企業や経済の推進役となってきているという。独立起業する女性も増えている。

職場における女性の進出については、日本は世界で100位に近いかなりの後進国だ。私は、大学卒業後(旧)労働省に就職したのだが、30年以上前から政府が女性の職場進出を促進しようとしていたにもかかわらず、社会が根本的に変わったという感じがしない。

もっとも、医薬情報提供を行うMRや自動車のデザインなど、かつての男性の世界に女性の視点ややり方を導入して成功したという話は昔から多くある。しかし、日本全体として目に見えて変わり、それが定着したとはまだ言えないのではないかと思う。

育児支援制度の実態や関連施設の不足などインフラの問題もあるが、やはり人々、特に男性の意識とそれらの総体ともいうべき社会文化の影響が大きいのではないか。

ということは、女性の活用については日本ではまだまだ「先行者利得」が得られる可能性が高いということだ。発想さえ転換すれば成功例を創り出すことが比較的容易だと言える。日本における女性活用の余地はいまだにかなり大きいことは間違いない。

私は、貿易における比較優位論を知った30数年前からこのことを確信し、そのような視点で企業や経営を見てきた。その理由は、人的資源としての女性がまだ埋蔵されているということだけではない。男性に比べたときの女性の「比較優位」が非肉体的労働、つまり多くの知的労働にあるのではないかということだ。

今こそ、Womanomics実践の最後の(?)チャンスだろう。やはり経営革新には、発想の転換が必要である。そして、それは経営者次第であることは昔も今も変わらない。

ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸