大阪市内のマンション2棟の管理組合で、そのマンションの管理人が、管理組合
の金銭1,000万円を着服したとして、管理人の雇主であるマンション管理会社
が、国土交通省近畿地方整備局から指示処分を受けた(3月21日の朝日新聞朝
刊)。

 新聞の記事によると、その管理人は、約6年間にわたって現金で預かった管理費
を私的に使ったり、組合の理事長をだまして、組合の印鑑を押させて組合の口座か
ら金銭を引き出したりしたという。

 これは、刑法上は詐欺罪や横領罪が成立する事例である。新聞記事には刑事事件
についてはふれていないが、管理会社が全額弁償したので、管理組合が告訴をしな
かったかもわからない。あるいは、これから刑事事件として立件するかもわからな
い。

 ただし、これらの犯罪は告訴がなくても起訴できるのであるが、実際は被害者の
告訴がなければ捜査を開始しないのが通常だ。事件がいっぱいあるなかで、被害者
が許しているのにわざわざ時間と費用をかけて捜査する必要はないということであ
る。

 それはともかく、この件では、管理人が管理費を現金で預かるということがあっ
てもいいのか、疑問である。うっかりして、管理費の口座引き落としのときに預金
がなくて、やむなく、後日、管理人に管理費を渡したかもわからない。

 しかし、管理会社として管理人に現金を預かることを認めることはおかしいと思
う。万が一認めたとしても、フロントがそれに気がつかないというのもおかしい。

 管理組合の理事長が管理人にだまされて、預金口座の印鑑を押したというが、他
人の金を預かるものとして、あまりに軽率ではないか。管理会社の上の人に確かめ
るとかの方法があるはずだ。

 また、管理会社が6年間もこれに気がつかなかったというのもおかしい。管理組
合は、管理会社を信頼しているので、いちいち細かい数字をつき合わせて検討する
こともないのが現実である。

 このような管理会社の従業員の着服があっても、管理会社がしっかりしていれば、
それが賠償され(会社の使用者責任である)、管理組合に金銭的な損害はない。

 しかし、気がつかなければ損害が発覚せず、結局管理組合は損害を被ることもあ
る。また、いつ何時会社が倒産し、その結果損害が賠償されず、結局管理組合が損
害を受けるということもありうるのだ。

 ※一般社団法人エースマンション管理士協会のホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/

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