マンションの管理組合が大規模修繕を実施しようとする場合、理事会の諮問機関
として修繕委員会を立ち上げることが多くなった。大変結構なことで、是非設置す
べきものである。

 その委員の構成については、専門家を入れたり、女性を必ず入れたりとそれぞれ
工夫を凝らしている。また、工事会社などと利害関係を持っている人については、
議決権を認めないとかの細則もある。

 しかし、ここで一番大切なことを見落としている場合がある。修繕委員会が管
理会社からの指導なり助言を受けているということである。単なる指導・助言で
あれば問題はない。

 ところが、管理会社の助言により、「わざわざ工事のコンサルである建築士を
選んで工事監理を依頼すると、その分費用がかさみ無駄である。」として、管理
会社主導で工事の設計書を作り、工事の見積もりまで作ってもらっているのであ
る。

 このように管理会社主導で大規模修繕が進められているのは、全国のマンショ
ンの半数以上だということを管理会社の担当者から聞いて、これでも良いと納得
している修繕委員もいる。

 しかし、これなどは、管理組合の無知に乗じて今までなされたものであり、こ
れからは、管理会社主導の大規模修繕は激減するものと思われる。

 公平・中立のコンサル(マンションの修繕を専門にする建築士)を入れて、建
物の(劣化)診断→工事設計書の作成→見積もり要綱の作成→工事業者の選定→
工事の監理という手順を踏む必要がある。この流れをコンサルの助けを借りて進
めるのだ。

 特に第一回目の大規模修繕においては、施工時の欠陥がないか等の徹底的な診
断が必要であり、第一回目の大規模修繕でマンションは真に完成すると言われて
いる。

 もし施工時の欠陥があれば、建築業者に申し入れて工事の補修をしてもらう必
要がある。ちゃんとした建設業者であれば、例え、法的に担保責任の期間(10年)
が経過していても、無料で補修工事をする場合が多いという。

 このような大規模修繕を管理会社主導で進めるなどということはあってはなら
ない。もちろん工事の入札の参加は、管理会社というだけで排除する必要はない
が。

 マンションを建設した系列の管理会社であれば、建設時の工事の欠陥など明ら
かにするはずがないし、そうでなくても、管理組合の台所時事情を熟知した管理
会社は、修繕積立金のぎりぎりの範囲で工事をしたがる傾向にある。

 次の大規模修繕まで管理会社でいられる保証がないから、この際、修繕積立金
を全部使い切ってしまおうと思っている節がある?

 大規模修繕は10年又は10数年ごとに繰り返し行われるものであり、長期的な展
望に立ってその計画を立てる必要がある。信頼できるコンサルを得れば、長期修
繕計画書の作成等を依頼して修繕積立金が今後これでいいのか相談できる。また、
その後のマンションの不具合を見てもらうホームドクターとして活用できる。

 だから、修繕委員の方々に言いたいのは、まず、中立・公平で優秀なコンサル
を選ぶのが第一番だということである。これさえ決まれば、大規模修繕はほとん
ど成功する。工事が適切に行われ、費用の無駄もなくなり、結局は安くつくとい
うことを知るべきである。

 これをどうして選ぶかであるが、各公的機関に相談に行くとか、各種の相談会
に行って情報を収集することである。これが修繕委員の一番大事な仕事である。

 ※エースマンション管理士ホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/

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