マンション標準管理組合規約では、管理組合の役員は、マンションに居住する組
合員(区分所有者)から選任するとある。それに従って多くのマンションにおいて
同じような規約を定めている。

 そういうマンションにおいては、不在区分所有者(多くは賃貸所有者)は役員を
免れている。居住者の高齢化とともに賃貸部屋の増加が管理組合の役員のなり手不
足として問題になっているところである。

 そこで、役員に報酬を支払うことによって、役員を免れている区分所有者との公
平を図っているマンションもある。

 また、役員を免れている不在区分所有者に対して、「管理協力金」等の名目で、
管理費等以外に金銭の支払いを定めて公平を図っているマンションもある。

 1月26日にこの点に関する初めての最高裁判所の判決があった(1月27日の
朝日新聞の朝刊に記事が載っている。また、最高裁判所のホームページに判決
全文<8ページ>が記載されている)。

 大阪市北区のマンションにおいて、総会の決議で管理規約及び細則を変更し、
不在組合員は、1戸あたり月額5,000円(裁判所から2,500円とする和解案があ
ったので、遡及して2,500円とする規約及び細則を変更した)の「協力金」(後に
「住民活動協力金」と名称変更した)を支払わなければならないとされた。

 これに対して一部の不在区分所有者が支払いを拒否したため、訴訟になった。

 大阪高裁は、このマンションでは役員にその活動に応じた必要経費と報酬を支
払っていることを考慮して、役員の不公平感がこれによって補填されること。不
在組合員であるために必要とされる印刷代や通信費程度ならともかく、その全額
を不在組合員のみに(居住している区分所有者の中にも役員活動に消極的な者や
高齢のためこれに参加することが事実上困難な者がいる)負担させるべき合理的
な根拠がない。よって、区分所有法31条1項後段の「特別の影響」にあたりその
承諾がない限り無効とした。

 しかし、①マンションの規模が大きいこと。②不在組合員の割合が多いこと
(868戸中約170戸ないし180戸が不在組合員)。③不在組合員は役員を免れる
だけでなく、管理組合活動について日常的な労務の提供などにも貢献していな
いこと。④たしかに、居住している区分所有者の中にも役員活動に消極的な者
や高齢のためこれに参加することが事実上困難な者がいて、これらの者に何ら
かの金銭的な負担を求めることについては検討の余地がありうるとしても、そ
れによって不在組合員のみに金銭の負担を求めても合理性がないとはいえない
こと。
 また、⑤管理組合の活動は、役員のみによって担われているものではなく、
不在組合員と居住組合員との間の不公平が、役員に対する報酬の支払いによっ
てすべて補填されるものではないこと。⑥支払いを拒否している者は12戸を有
する5名にすぎないこと。⑦「住民活動協力金」は、管理費等17,500円(管理
費8,500円、修繕積立金9,000円)の約15%(2,500円)にすぎないこと。
 などを理由に、最高裁は、「特別の影響」に当たらないとし、原判決(大阪
高裁の判決)を破棄し、規約及び細則の変更を有効とした第一審(大阪地裁)判
決を正当とした。

 今後は、マンションの規模、不在区分所有者の割合等を考慮して、「協力金」
の額をどの程度にするのが妥当か、が問題になるものと思われる。

 ※エースマンション管理士ホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/

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