建物自体の高齢化も問題だが、マンションに居住されている区分所有者の高齢化
が問題となっている。国が政策を進めるときには一定の線を引いて決めざるを得な
いので、75歳以上を高齢者と考えているようである。しかし、マンションにおいて
は一律に線を引くわけにはいかない。

 高齢者のコミュニティ参加の問題、孤独死の問題、バリアフリー化の問題等があ
るが、ここでは、管理組合の役員の問題について考えてみたい。

 よく相談を受けるのは、管理組合の役員は輪番としているが、「高齢者にも順番
にしたがって役員を引き受けてもらうべきかという問題」、「高齢を理由に役員を
回避した場合に、役員のなり手が少なくなって困っているという問題」である。

 基本的には高齢者に役員を引き受けてもらうべきだと考える。病気等でどうして
も無理であれば別だ。しかし、それは高齢者に限ったことではない。

 80歳や90歳でもかくしゃくとした人もいれば、30歳や40歳でもたよりない奴が
いる。高齢者だということだけで、役員から排除すべきではない。

 役員は複数いるわけで、それぞれの役員の役割も異なる。役員同士が話し合って
それぞれの役割を決めて、高齢のため困難なことがあれば、他の役員が助けてやれ
ばよい。調子が悪く役員会に出席できないときは、役員会の議事録を届けるついで
に様子を見ればよい。

 そんなことをいちいちしなければならないということは、他の役員の負担が増え
て大変だという考えもあろう。しかし、30代や40代の働き盛りの人が役員になっ
ても、なかなか役員会に出席できず、同じようなことが行われているという。高齢
者でも同じように考えればよい。また、代理出席の方法も考えればよい。役員の負
担の軽減などは、マンション管理士の活用を検討したらどうだろう。

 高齢者のなかには、自分が役員になることによって他の役員に迷惑をかけるとい
うことを心配して辞退を申し入れる人もいる。それは高齢者特有の慎み深さなのだ。
そういうときには、自分たちが助けるから一緒にやっていきましょうと言ってほし
い。それは居住者間のコミュニティにも通じる問題だ。

 日本はこれから高齢化がどんどん進んでいく。高齢者は経験も豊富だし、知恵も
ある。この経験や知恵を埋もれさせていくのは大きな損失だ。マンションの役員は
特にハードな仕事をやるわけではなく、むしろ、高齢者にとっては適した仕事なの
だ。高齢者を排除するのではなく、参加させて活用しよう。会社の定年制などのよ
うに、年齢で線を引くことは良くない。

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