米国金融機関におけるサブプライム問題を発端に、米国経済が悪化し、全世界を巻き込む大不況の時代に突入したのは言うまでにありません。特にビッグ3を破錠寸前まで追い込んでいる自動車産業を中心とした今の製造業の状況を見ていると、少なくとも2009年末までは、あまり大きな進展は期待できないと考えられます。製造業に限らず、他業種においても国内外で事業を営む日系企業にとっても厳しい状況下で経営の行っていかなければならないのは避けられない事態ですが、何とか乗り切っていかなくてはなりません。当然ながら、日本においても経済衰退状況となっていますが、それでは、このような不況下の経営改革はどのようにすべきなのでしょうか?

現在、弊社がお世話させていただいている多くのクライアントにおいても、人員削減・業務効率化のみを急いで進められておりますが、今だけを乗り切るために目先のことだけを考えて進められているケースも数多く見受けられます。今まで多額の投資を行い、育成した従業員・社員を解雇するということは、会社の財産を自ら放棄する行為であることも同時に認識しておかなければいけません。本当にいまこの時期に人員削減を行わなければならないのでしょうか?その意味においても この時期に取組なければならない優先課題は、「自社経営システムの根底からの見直し」を行わなくてはいけないのではないでしょうか?

戦略経営の視点から見れば、景気状況が悪く時間や人手が余っているのであれば、社員・人員を削減することではなく、業務・事業改革を行わなければいけないのではないでしょうか?別な言葉でいえば、今こそTOCを行い、自社の経営システムを根底から見直し経営効率を向上させることによって、どうしても必要ならば従業員の削減は必要最小限に留め(基本的にはすべきではない!)、余剰時間の有効活用やワークシェアリング制度を導入すると同時に、改善業務・新規業務を創造してマンパワーを充当させるべきで、これがこの大不況を乗り切り、将来の事業発展につながると考えらられます。

日本でもアメリカでも、一企業として将来の事業展開・発展するために行わなければならない必須事項・課題は山積していると思います。もし自社が製造業や卸業であれば、新規顧客開拓、新製品開発、品質の向上、工程・生産コストの見直し・削減等が挙げられます。 ただ単純に経費削減行動と聞けば、直ぐに人員削減という思考・発想しかできない経営者ではなく、前向きにプラス思考で発展につながる仕事をどんどん取り入れて行くべき経営者になるべきではないでしょうか? 前向きに考えれば、必然的にやるべき仕事も発生して、そのために人や時間が必要になり、必然的に課題・新事業等に力を注ぎ、社内改革に繋がってくるのではないでしょうか? この時期にこそTOCの実行・根底からの経営システムの見直し行い、その先の目標としている事業発展・展開の準備を行える絶好のチャンスであることを忘れてはいけないと思います。

不況というものは、人間が地球上で経済活動を行う上必ず周期的に起こる現象です。「もうだめだ」「とにかく人を減らせ」「他がやっているからうちも早めに人件費から減らせ」と命令ばかり出していても何も始りません。 このような時こそ、今までの多額な投資を行い育成し、熟練と経験により自社内業務を細部まで本当によく知ってる社員とじっくりと話し合い、着実な経営改善・改革の計画を立案して、前向きプラス思考で進めていかなければならないことを常に念頭に置くことが重要です。


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