中韓両国が他のアジア諸国と較べ特殊な対日感情を有していることは誰でも気づいているでしょう。両国が共通して声高に主張するのは、歴史認識と言う事です。具体的には戦前の日本の支配や悪行に対して反省が足りない、謝罪が足りないと言うことです。
東南アジア諸国にも多大な災害を与えたが、中韓両国の如く繰り返し謝罪を求めようとはしていません。ミャンマー等はイギリス支配からの独立に協力した日本が、イギリス排除に成功するや、次には日本が支配しようとして抗日運動が起きた程でしたが、暫くすると「ビルマの竪琴」の有名な映画にも見られる様に親日国家となりました。現在当国が民主化したこともあり、今後日本との関係は益々深まり親日的であり続けるでしょう。然し中韓両国の対日態度は異なります。この様な特異性には幾つかの特殊要因があると思われます。幾つか例示すると:
1. 中華思想:中国は古代には日本に比べ先進国であり且多くの文化的なものを、日本を初め周辺諸国には無償供与しているとの潜在意識があります。又それは事実です。諸制度も中国中心でしたので、日本との関係に於いては自分達の考えが中心になって当然との潜在意識もあります。勿論中華思想との意識ではなく、中国人にとっては常識との認識になります。
2. 民族抗争:両国共歴史上日本とは比べものにならない程、民族抗争を繰り返し、統一と分裂を繰り返し領土も拡張したり縮小したりしており、この様な情況は日本では殆んど未経験ですので、日本人的な「過ぎたことは水に流す」感覚がないと見られます。近代に於いて日本では政府軍や官軍と戦った西郷隆盛や会津藩の白虎隊等が英雄として、今なお祀られていることは、中国人には理解の外でしょう。日本人が歴史上建設した防塁等とは比較にならない程長い述べ延長1万キロにも及ぶ万里の長城の建設、見知らぬ人々を容易には信用しない防犯意識の強い民族性となっています。従い前世紀の日本の“悪行”への清算は半永久的に終わらないとの意識がある訳です。この様な意識は本来一部の知識人や党や政府幹部に限られているが、一旦政策として決定され、それが連日報道宣伝されるようになると、一般の中国人にも植えつけられることになります。特に韓国は漢民族との抗争もあったが、弟分の大和民族からは広開土王碑文にある如く、4世紀から歴史上4回に亘り侵略されたとの強い恨みがあります。
3. 戦後体制の改変:政府幹部や知識人も殆ど言わないし、気づいても居らず潜在意識となっているが、近代以降日本にかなりの地域で、支配された事へのリベンジが未だ果たされていないとの思いがある。特に敗戦国の日本の方がいち早く復興を果たし、経済的にも豊かになったことへの嫉妬心がある。一部の政治家は「日本は戦後秩序を壊そうとしているが、それは許されない」と言ったことはマスコミでも報道されたが、多くの日本人には理解できないでしょう。何故なら尖閣諸島が自国領との主張は1969年、国連のアジア極東委員会が尖閣諸島周辺の海底には大量の石油や天然ガスが埋蔵されている可能性があると発表するまでは、中国の地図や人民日報でも日本領と認めており、海洋進出をして西太平洋に波風を立たせようとはしなかったからです。この様な平和な情況こそ戦後体制だったことは客観的に存在したからです。本心は西側諸国が作り上げてきた戦後体制(国際法等を含め)は、中国にとっては不合理なものであり、早晩改変されるべきと思っていることです。
  長くなるので、この続きは次回にしましょう。

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柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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