当ブログの最初に紹介した、私の「幹部教育の要諦」第3項では、<5年後、10年後の自分はどうなっているか、各人が夢を持てるよう道程表を作れ。会社発展計画と個人のレベル(職位)や所得向上計画をリンクさせよう。>と記したが: 
 1.中国人は勤務する外資系企業等には、愛着心や忠誠心があまりなく、少しでも待遇が良い会社が求人しているのを知ると移ってしまう。又、会社でよく頑張っているので、目をかけていたが、ある日突然退社届けを出してきて、しばらくするとライバル会社とも言うべき会社を起していた、と言う様なことも随分と耳にした。この様な事実は確かにあるが、それは多くの業種や企業も同様だと認識するのは誤りだと確信します。中国人社員の気持ちで考えれば、イエスマンが重用される、人事異動や昇進、昇給が不合理、不平等とか、職場改善提案が無視されるとか、所詮上級幹部は日本人で独占されている等々、 不満を抱いていることがあるのも留意する必要があります。
 2.企業には、当然なこととして会社発展計画があるはずです。例え日本の本社に5年先、10年先までの計画がなくても、やはり目標を「発展計画」として作成し、場合に よっては、個人の職位や給与レベルの目標明記の計画表を、本人の職場の見えるところに張り出して置くのも一考でしょう。阿吽の呼吸とは、暗黙の了解と言うのは、本来中国人は苦手であり、給与等オープンにする風潮があること、更には大言壮語するのが大好きなことも、大いに利用すべきでしょう。会社の計画変更の際、手足が縛られることにはなりません。
   私が武漢で見学させて頂いた会社は、シリーズ(2)で記した生産性倍増、給与レベルは周囲の企業の2-3割アップとの施策と共に、各自に夢を持たせて人事を行っており、待遇や職場に対して不満で退職する者は実質上ゼロとの事でした。従って熟練工等も計画通り育成されているとのことです。
 3.ある日突然退社するとの“確信犯”だけは、防ぎようがないでしょう。然し、よく観察すれば、分かる場合が多いと思います。企業の傾向として、原材料の入手が容易であり、販路も競争力次第で(特に価格面で)容易に見つけられる製品を生産されている場合やサービス業では、十分ありうる事として、腹をくくっておくべきでしょう。

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柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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