私の「幹部教育の要諦」、第8項は<企業のトップは、戦略(長期、総合的)と戦術(短期、局面的)を混同するな。戦略の変更では全ての幹部の理解を得よ(同意を得る 意味ではない)>ですが、正しく理解されたか、やや気になりす。 戦略と戦術の言葉の意味の違いをあまり熟慮せずに、幹部や社員、更には取引先等に対して使用する、日本人トップがいるからです。中国は「言葉の国」で、論理的にも感性的にも正しい言葉使いをしたいものです。
戦略:業種により異なるので、製造業に限定して言いますと、何を製造して何処に売るのかは基本的戦略になります。又、最終製品ではなく、部品類を製造している場合は、ユーザーは不特定多数の購買者ではなく、限定的になるでしょう。俗に言う下請け生産です。場合により、単純な部品生産、複数の部品類を組合わせた複合部品、更に高度な複合部品で汎用性のあるものの生産では、夫々企業の立場が異なります。
下請け生産は従属的だとして、全く関連のないものの生産を始めようとする場合は、余程の決意と幹部一同が共通の認識を持つ必要があります。そうでないと成功は覚束無いでしょう。随分昔のことだが、デンソー(日本電装)が、トヨタ以外にも供給しようとして、トヨタのご機嫌を損ねたが、社員が一丸となってトヨタには心配かけないと、製造現場だけでなく夫々の持ち場で万全を期し、結果として現在では年商3兆円、利益積立金が1.6兆円にもなる企業に成長しました。
 ほとんど、親会社又は日本の昔からの取引先に納入していたが、中国国内販売を始めようとする場合には、必ず与信管理に対して徹底的に研究し、策を練るべきです。“人を騙すのは悪いが、騙される方がもっと悪い”と言われる中国で、与信管理が日本国内より、低レベルという会社が多いと言われるが、これでは貸し倒れ損金処理が止まらず、売掛金回収活動の費用まで考慮すると、何をしているのか分らなくなります。
 中国は、まだまだ発展途上国で春秋に富んでおり、更に国土が日本の25倍以上、人口が11倍もあり、新規企業の平均寿命は3-4年と言われ(日本は30年、欧米は40年前後)るが、中国に於ける日系企業は既に一つの転換期にあることを、現地幹部社員共々認識し策を練る必要があるでしょう。 「中国市場を如何にものにするか」、「低賃金を前提とする時代は終わりつつある」、「中国の原材料価格の高騰も避けられない」など等です。
要は生産性を如何に日本レベルに近づけ、与信管理をするかでしょう。

  古代文明に於いて、輝かしい成果を残した中国人です。「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の、為さぬなりけり」。時には中国人幹部と博物館にでも行き、彼らの祖先達に敬意を示し、エールを送りましょう。

柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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