2012年 3月の記事一覧

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12年03月30日 11時00分35秒
Posted by: yanagizawa
日常業務に直結した技能訓練や学習は、何処の日系企業もOJT手法により実施されていると思われるので此処では触れず、私の経験上お薦めする2点に就き紹介致します。
1.日系企業の社員として、幹部社員のみならず意欲のある社員には5年後、10年後を見据え、社内での将来像に役立つテーマを学習課題として自己申告させ、更に会社の必要性と調整した上決定し、社外教育機関も利用して教育すべきである。その費用の全額会社負担は好ましくなく、交通費とか教材費等ある程度は自己負担とした方が良い。
その方が真剣に取り組むものである。テーマとしては、日本語、英語、会計士、報関員(通関担当者としての資格)、保健師、各種技能等々、当然会社としても有用なものとすべきである(国家資格を取れるものが良い)。
2.その他、担当業務には関係ない自由なテーマでの学習、訓練の機会も与えた方が
良い。例えば音楽や、芸能関係、職業的なものでも本人の現職には関係ないもの等を
指すが、費用的援助は不要だが勤務時間の調整面で会社は援助すべきである。これは
日系企業は会社の発展を期すのみでなく、社員一人ひとりの永続的幸福を願っていると言う事を具体的に示すもので、社員との信頼関係を強化し、愛社精神を育成する上で
目には見えないが大変役立つものである。社用車の運転手が「企業管理者の為の財務
管理」を勉強し始め、退社されてしまった苦い経験もあるが、度量を大きくして許容すべきと思わされた。
 以上社員に対して、大変甘いように見えるかも知れないが、一つだけ条件を付けましょう。即ち進捗情況を毎月報告させることである。少人数の会社なら日本人のトップが
主催し、会社規模の大きさに応じて部門長や担当課長に主催させる。その場合でも間接的にはなるが、報告会の結果は報告させるものとする。
当然ながら資格の内容と会社の必要性に鑑みて、資格取得後は給与にある程度の資格手当てを支給すべきである。
 会社の中には、一人として上から指示されたことのみを仕事とする社員を無くすことである。一人ひとりが技能や資格を身につけ、更に創意工夫し仕事の効率化、仕事手順の改善、品質向上等に役立てるように誘導すべきである。

 一時中断のお知らせ:4月1日より21日までの三週間、中国各地の老朋友達を訪問し、且最近の中国情況を見聞する為、旅行に出かけますので、その間新規ブログの投稿は中断させて頂きます。ご了承願いたく存じます。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
Mail add. Knhr-yana-@jcom.home.ne.jp



12年03月25日 12時28分37秒
Posted by: yanagizawa
解雇や懲罰に関する経験を紹介しましょう。プライバシーにも関わる問題故、場所や
時期などぼやかして記すが、ご了承願いたい。
1.事務所で使用していた古いタイプ机が不要になったので、数キロ離れたところにある倉庫に運ぶよう、ある運転手に命じた。すると彼はタイピストに同行を求めたので、一人で行くよう要求したが、彼は「私は運転手なので、車の運転のみします」と言う。
普段から勤務態度が良くなかったので、「分った。タイピストの代わりに小生が行く」と言って、車まで私が小さいタイプ用机を運んだ。彼は恐縮して手伝おうとしたが、軽いから手出無用と断り車に同乗した。車中「我社は社員の多機能化を勧めているが、君は協力的でない。これでは君の我社に於ける将来性はないと心得よ」と通告した。
数日後、退社願を出してきたので、即受理した。
2.別な運転手は手広く何でも手伝い、庶務的な事項など進んで担当したが、一つだけ
大きな問題があった。それは顧客に配る宣伝を兼ねた小物類が、どんどん減ってしまう
情況があり、営業担当者が「これは彼の仕業だ」と異口同音に言う。確たる証拠は無いが、十中八九間違いないと判断した。そこで、小物類管理を彼に任せることにした。
当初社員達は唖然とした様であるが、それ以降、在庫、入出庫、持ち出し者、提供先等
に不都合は発生しなくなった。数年後彼は模範社員となった。
3.倉庫管理をしていた女性のベテラン社員に、今後屋外での保管品の管理も担当する様命じたら、「それには別の担当者を任ずべきです。この様な兼務は中国の長い伝統に反することはご存知でしょう」と食いついてきた。「分った、それでは倉庫管理に関することは全て君一人でやれ」と指示し、時々見回ったところ、重たい物品等の上げ下ろしに男性社員の助けを求めていることも分り、趣旨を説明し援助協力も禁じた。暫くして、「野外保管も担当するから、男性社員の協力要請も認めてくれ」と言い出し、一件落着となった。
4.中国での大学の急増に伴い、大学を卒業しても希望通りの職種に就職出来ず、工場での作業員として入社してくる者も多くなった。ある時、経験豊富な中学、高校卒の作業員達から、集団で強烈な抗議を受けた。「半人前の仕事しかしない員工が、大卒だとの理由だけで、我々より沢山給料を貰うのは不合理だ」との主張。尤もな話であり、学歴手当を大幅に下げると同時に、技能手当を少し多くして処理した。暫くすると、大卒で且、“不良社員”と見られる連中が、自分達から退社し解決となった。
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12年03月17日 22時37分32秒
Posted by: yanagizawa
中国人幹部社員が取引先と“喧嘩”になった時、多分絶対に言わない、日本人でも言わないと思われる必勝法を若干伝授しよう。相手を見下げた様な物言いは最悪であるが、勿論事前に相手側の契約履行能力がどうか調査しておくのは、前提条件です。
要点はやはり「褒め殺し」です。
1.中国はテレビが急速に普及し始めた頃、沢山の電子部品製造ラインを導入し始めた。私も極小部品の生産ラインの輸出契約をした。納入検収する為試運転すると、沢山の不良品が発生した。ユーザーは設備の不良と認定、然し日本の技術者がチェックしたところ、設置した工場建屋内の温度のバラツキがひどかった。その様に指摘し、改善要求しても、先方は譲らず水掛け論が続いた。中国側も契約書に添付した設置室の条件、特に温度分布は実現不能だが、何とかなると見ていた様だった。そこで、私はユーザーの自力だけでは改善不能と見て、突拍子もない発言をした。即ち「曾って毛主席は、“中華民族は偉大な民族である、日本民族も偉大な民族だ”と、述べたことがある。日本民族は特別偉大な民族と私は思わないが、偉大な中華民族である皆さんが、この程度の設置室条件の準備できないとは思えない」と主張し、時間はかかったが、生産ラインの投入部、ライン中間、最後尾まで、温度の均一度が契約範囲内に収まり、生産される部品も規格内に収まったことがある。ユーザーのみならず上部機関や関係機関含め、先方は必死で対策を講じたものだった。
2.「中国は信義の国である。私はそう信じて貴方と契約した。信義を尊重しないなら、貴方達を中国人とは認めない。中国人であると自認できる方々と再交渉したい」として、無茶なクレームを引っ込めさせたり(輸出の場合)、納期を守らせたり、品質クレームを認めさせたりした場合もある(購買の場合)。
3.小さな計測機器を、何億と言う大量の輸出契約で喜んだことがある。然し納入完了 後暫くして、20%近い納入品に対して品質不良だから交換せよとの商品検験局の検験証書を添付されたクレームを受けたことがある。メーカー内部で検討した結果商品検験局の検査員の技量不足と判明した。先方の面子も考慮して、貿易公司を通じ上海と天津の商品検験局に「技術的相互理解を深めよう」と、一般化した形式で技術交流を申込み実現した。その結果暫くすると、前に出してきた検験証書は殆ど取り下げるとの連絡があり、一件落着となったこともある。
4.20年余前の話だが、鉱物の輸入契約でサギまがいの被害にあったことがある。「含有量は40%」との条件だったが、殆ど石ころ同然であった。先方は当初「輸出した“鉱物”の40%には指定元素が含まれている」との、詭弁を弄してきた。
中国政府外郭団体である、中国国際貿易仲裁委員会に相談に行ったところ、委員会より先方に問合せがされた。即反応があり輸出先より代替品を再輸出したいと言い出してきて、解決したこともある。
5.中国との貿易交渉は往々にしてマラソン交渉となった。輸出商談で中小メーカーの製品の場合、専務さんとか常務さんが商談に参加する為北京に来られる場合も多かったが、結局双方の主張が離れていて妥結不能になった場合も少なくない。
そんな場合、メーカーからの出張者は「日本でも多忙であり、最後の提案も認めて頂けないなら、本件はなかったことにして、私は明日の便で帰国します」と宣言して席を立たれたことも随分ある。面白いことに、翌日空港に見送りに行くと、貿易公司の担当者も見送りに来ましたと言い、気まずさそうに「昨夜、公司内部で討論しましたが、先生の最後の提案を受入れることにしました。ここにその条件で契約書を作成して来ましたので、此処でサインして下さい」とのこと。この様な事例も少なくなかった。貿易公司のスタッフより、「遠来の客人を手ぶらで帰してはならない」との格言があるとも聞いたことがあるが、真偽の程は分からない。
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12年03月13日 13時47分53秒
Posted by: yanagizawa
 コスト低減活動は、多くの日系企業で取り入れられていると思います。部門(部課係班等)毎に、目標を設定し毎月の如く達成度を点検し、更なる改善努力点を指摘しつつ進めていると思われます。ここで大切なのは:
① 自主性を尊重し、極力若手の係長か班長クラスを各部門の取りまとめ担当者にする
  ことです。部門の責任者が担当者を兼務すると、部門間の対抗意識が悪い方に出て
  脚色や水増しが生じやすくなります。担当者出席の毎月の総括会議でも若手の方が、   他の部門から素直に学び合う姿勢が強く、効果があります。
② 「飽きずに懲りずに」と言うことです。世間ではよく「トヨタ自動車は協力会社に対 して、乾いた雑巾を搾れと言わんばかりの要求をする」と、あたかも苛斂誅求であるかの言い方をされることがありますが、事実ではありません。私が商社時代に長年トヨタと交流し、更にトヨタの指導を受けた中国工場(孫会社)に勤務した経験から言えば、 「絶対に諦めず、絶えず無駄が無いか、もっと合理的方法はないか探している」と言う ことです。従って、トヨタ系列に入った会社は、グループ内協力と相俟って、赤字経営 から黒字経営に転換できているのです。③ この運動は中止してはなりません。担当者 の変更や報告様式等の変更は構いませんが、「当たり前のことを、あたかも特別努力し たかの如く報告している」とか、「数字に間違いがある」、更には「虚偽の報告を含め ている」として、糾弾したり果てにはコスト低減活動自体を中止してしまうことは、絶 対に避けるべきです。やはり<褒め殺し>です。不都合な点の指摘も、この精神で激励 しながらすることです。やる気を削いだら何にもなりません。又、顕著な成果にはきち んと表彰しましょう。信賞必罰を確実に実行し、「日本人は言葉のみ厳しい」と思わせ ず、むしろ「その反対」で対応すべきでしょう。
 ④ 関連事項として、皆さんの会社では予算管理を部門にまで下ろしていますか?
  全社的な共通経費や固定費以外の費用、例えば事務経費、交通費(通勤費以外     の)、通信費、補修費、接待費、更に部門の規模にもよるが電気、ガス、水道の使用  料金,等々極力各部門に配分し、中国人幹部に管理させましょう。全社的統一管理   よりコスト削減に役立ち、日本人上層部との信頼感醸成にも繋がります。
 ⑤ 良い成果に対しては表彰するだけでなく、社内報や掲示板を利用して大いに広報   し、全社的な刺激剤にも利用しましょう。又以前にも記しましたが、若手中心の
  総括会議では、主として褒めながら、幹部会では時には厳しく指摘しましょう。
  類似の過大報告或いは“虚偽の報告”が繰返される場合、報告材料に乏 しくなると、部門長の指示でされる場合があり、若手担当者が悪い訳ではありません。
 (お願い):この幹部教育シリーズをご覧になり、参考になった場合、大いに知人・友人     にも閲覧をお薦め下さい。異論・補足意見等、遠慮なくメールして下さい
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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12年03月06日 20時22分21秒
Posted by: yanagizawa
 此処では「5S」と「3む」に就いて、どうしたらより効果的に浸透させられるか、
経験と教訓を紹介しましょう。社員教育に関するこの二つの事項は、ほぼ普遍的に日本でも中国でも実施されているでしょう。従いマニュアルに記載されている様なことは申し上げません。
☆:5S:整理、整頓、清掃、清潔、躾の5Sは簡単なようで、中国では相当難しいテーマです。街中でゴミのポイ捨て、自治会(中国では普通居民委員会と称す)での清掃活動やゴミ処理、レストランでの食後のテーブル周辺の情況等を見れば、日本的感覚ではとても徹底できないことは、容易に分る筈です。日本的感覚で怒ってはなりません。誰でも環境の影響を受けます。文革前は確かに当時の日本以上に中国は清潔で、「コソドロとハエはいない」と言われた程でしたが、あまりにも昔の話です。此処はやはり、シンガポールのリークアンユーではないが、細則を含め規則を作り、確実に実行することです。罰則はあまり厳しくせず、100%実行が肝要です。根競べしていけば、4-5年後には明確な成果が見えるでしょう。
☆ プラス3Sとしたのは、主として事務職を含む管理職が対象です。正確、速度
(スピード)、親切の3Sです。耳慣れないかも知れませんが、中国では絶対に必要です。不正確な数字など恰も正しい数字であるかの如く報告する事例は皆さんも経験済みでしょう。棚卸しに顕著になりますが、日常的に在庫や発生した不良品等信用できない場合が多いと見るべきです。時間感覚も日本とは相当異なりますので、時間=コストの概念を叩き込みましょう。一般的には部門間協力や担当間協力関係は相当低レベルですが、 親しい関係にあると実に思い遣りのある対応をする実情は皆さんも見聞されているでしょう。評価制度に協力度合も加えて実行しましょう。
☆:「3む」即ち、無駄、無理、ムラの排除も口で言うほど容易ではありません。
時間の無駄を含めて1%の無駄を削減出来れば、給与も1%上がり、5%なら5%
上がると言った具合に、中国の現状を考慮すれば給与に結びつけるのが効果的です。
「無理」とは「不合理」なことを教えるべきで、日本語の無理をそのまま教えると、
「出来ない」とか「方法がない」とあっさり、逃げ道探しや言い訳になります。
「ムラ」については、文字通りの「不安定」即ち「不穏定」で良いが、先ずは健康管理が基礎になることを、繰り返し教えるべきです。中国のアスリート達は日本人以上に耐久力があるが、一般の人々は疲れ易く、持久力があまりない事も理解しておくべきです
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