2011年 12月の記事一覧

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11年12月08日 13時52分32秒
Posted by: yanagizawa
こんなことを言うと、現在の中国人は信じないが、当時日本人“紅衛兵”と言われながら中国で生活し仕事をしていた私の体験や見聞では間違いない。むしろ、最近の中国よりは、モラルは高かったと言えるくらいである。当時、日本や欧米のマスコミは、否定的側面のみを繰り返し報道していた為、国中が動乱中との印象を与えてしまった。今になって自分達は文革の被害者だったようなことを言う年配者は、中国でも多いが、「小生さえ日本の紅衛兵と言われた異常な時代で、中国の若者の99%以上はみんな紅衛兵だった。被害者だったと言うなら、同時に加害者だったと言うべきではないか」と、言うと彼等は沈黙してしまう。
理不尽な行動や残虐な行為をした紅衛兵は10%未満だったと自信を以って言える。勿論、学校や工場を含め、至る所「大字報」だらけで、「政治学習」が繰返され、
文革初期段階では生産活動等経済面に多大な悪影響を与えたことは間違いない。
然し、中国人はどんな境遇下にあっても、逞しく生活を楽しんでしまう、極めて楽観的な民族だなとの印象を強くした。日本人“紅衛兵”も毛沢東語録を商談の前や集会時に読んだが、「これは正しい」として、深く印象に残り、その後最近に至るまで、中国での職場での指導に引用してきた言葉がある。即ち:
1、毛主席教えて曰く、「仕事とは困難との闘争である」、従って弱音を吐くな
2、毛主席教えて曰く、「婦女子をからかってはならない」、言葉でのセクハラも
不可の意味と理解した
3、毛主席教えて曰く、「農民など大衆のものは、針一本、糸一筋であろうとも取ってはならない。戸板等借りたものは必ず返せ」、極貧状態の解放前でもこうだった。会社や公共のものを大切にせよ、贈収賄等論外と指導した。
 文革中に何度も解放軍駐屯所の見学があったが、ほとんど自給自足していた事と並んで、街中とは異なり清潔で整理整頓がきちんとされていることに感心した。特に共同洗面所で見た、各人のうがいや歯磨き用のコップが、等間隔で柄の部分の角度も一律に並んでいたのが、鮮明な記憶となっている。この件も、5S活動の指導等に利用した。
 多くの中国人は能力の高低に関係なく、強い自尊心を持っているので日本や欧米の事例で以って指導するより、中国での事例、それも特別才能の持ち主や高学歴者ではなく、中高卒業一般人の良い事例で以って指導するのが効果的である。そうでないと、心中「我々の給与は日本人の十分の一以下であり、どうして日本人並みに頑張らねばならないのか?」との反発を抱き、成果に繋がらない恐れがある。次回、もう少しモラル問題を続けよう!改革開放が始まり、80年代になり中国はどう変化し、どう対処されたのか?

柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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11年12月03日 17時05分18秒
Posted by: yanagizawa
この様に言うと、今では中国人もほとんど信じてくれない。1966年末から始まった  文革前の一年間、私は北京に初駐在したが、上海、広州、天津、武漢などへの出張で見聞したことも含めて、「中国は貧しいが、さすが孔子、孟子の国、道徳大国だな」と感心することが多々あった。当時日本の新聞でも「中国には泥棒とハエはいない」と報道されたほどで、ゼロではないがほとんどいなかった。
年配者に当時の状況の真偽を尋ねると、「その通りだった」と肯定する人もいるが、更に「当時はみんな貧しく、盗むものもなかったよ!」と言葉を続ける者もいる。街は何処に行っても(人民公社や工場等も)、清潔であった。更に人々の衣服も質素だが清潔だった。又、解放軍の若い兵士が老人や妊婦を助けている姿をよく見かけた。駅やバスターミナルで多かったが、街中でも見かけた。多くの人々は買い物用のナイロン糸の編袋を常時携帯していて、何か“放出”が有りそうと見ると、行列を作っていたが、列を乱す者は見かけなかった。
 一方、私は若い商社マンとして駐在していて、輸出した設備の納入技術者が帰国前にお世話になったとしてお礼の宴会を開くのを手伝ったが、年配の中国人からマナーについて教えられることも多かった。例えば、宴会主催者は早目に出向き、準備状況を確認した上で、宴会場のレストランの外で、客を待ち、終了後も、建屋の外まで見送りに出て、客の車が見えなくなるまで見送ること、酒を口にするには、必ず「xxxの為に」と言い、無言で呑んではいけないとか、料理は主人側が客側に取ってあげること等々。
 当時の日本は、高度成長時代で至るところが建設現場で、ホコリやゴミだらけ、更に日本人は“エコノミックアニマル”と言われた位、拝金主義が横行し、池田首相がフランスを訪問した時には、ドゴールより「閣下はトランジスターのセールスマンかね!?」とジョークを言われた程である。当時、電子機器の小型化に貢献したトランジスターの実用化で、日本は世界の最先端を行っていると言われた時代であった。池田首相の輸出振興等で「5年で所得を倍増する」との公約は繰り上げ達成し、更に数年後には日本の農家の方々が大挙して海外旅行に出かけ、欧米人を驚かせた時代でもあった。
 経済発展に反比例するかの如くモラルレベルが下降してしまった最近の中国ではあるが、以上の如き時代があったことを強調して、日系企業では自社工場内だけでもモラ回復に努めたいものである。尚、当時の中国は大躍進政策が失敗し(連続して発生した大規模自然災害と相俟って)、人々は塗炭の苦しみの中にあったのを教訓として、自留地(農民が自由に耕作できる農地)を認めるなど、調整策を実施した時代で、人々も将来に対して夢を持っていた時代であった。文革が始まってもモラルレベルはあまり低下しなかったが、その状況は次回に紹介しよう。

柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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