2017年 8月の記事一覧

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17年08月16日 17時55分17秒
Posted by: yanagizawa

最近陳舜臣の書き下し歴史書「中国五千年」を久しぶりに読み直してみた。日本の歴史と較べ権謀術数、下克上、分裂と統一の繰り返しがあまりにも多いのを再認識した。然し孫娘の高校時代の世界史の参考書を閲覧してみると、この様な状況は世界的に普遍的に存在しており、中国だけが特別と云うことではなく、むしろ日本の方が特別だなと感じ入った次第である。
1、 世界的に見て限りなく性善説に近い日本であるが、昔中国の知識人から「本当のところ、日本の中立平和主義を唱えている人達は信用できない。何故ならアメリカの核の傘で守られながら、恰も自分達は聖人君子であるがの如き主張するのは欺瞞だ」と言われたことを思い出した。付け入るスキがあれば付け入るのが世の習いと信じている人達と日本人とは大いに異なるが、多くの“良心的な日本人”は中米の人々の感覚からすれば幻想の中に生きていると言えよう。最近は多くのテレビ番組で、外国との交流の様子が報じられ、日本社会の清潔感、安全感や日本人の親切ぶりを紹介しているが、日本人には特別な情況とは感じない。
2、 今なお左翼だ、右翼だと云うような議論は現実離れしている。昔のナチスが本来「国家社会主義ドイツ労働者党」と言い、日本には大政翼賛会が一時的ではあるが存在し、現に中国では共産党が同様の実態であり、心中共産主義を信じていなくても、共産党の政治的支配に異議を唱えることは国家反逆罪に問われることは周知のことである。一般大衆の自由な議論や選挙により政権を選択できる体制やそれを維持している政権与党を、右翼とか帝国主義とののしる人達が、日本にも居ることは誠に不思議である。政党内を含め自由な議論が行われ、それが公開されているかどうかこそ、全体主義か、独裁主義かの判断の分岐点であろう。
3、 私の居住する地域に熱心に市政活動をしている共産党員である市議会議員がいる。市民生活に関する事項では、その熱心な活動に脱帽の感があるが、外交、安全保障に関する主張は党中央のオウム返しであり、彼女は限りなく性善説に近いか、幻想の中に居るとしか思えない。近隣諸国の動静や、小笠原諸島や尖閣諸島の周辺の漁場がどんな状況にあるかには目をつぶっているとしか思えない。
4、 この様な社会的風潮はどうして生まれたのか?アメリカとの太平洋戦争の結末に対して、二度と戦争は繰り返してはならないとの善良な市民感覚が先ず上げられよう。次に“平和憲法”に代表されるアメリカの日本人洗脳政策の余波と言える(現代ではアメリカ当局はやや後悔している様に見えるが)、第三に戦後日本周辺に相次いで社会主義国が誕生し、国際主義の名の下に多大なる影響を日本にも与え、政党を含め多くの左翼組織が誕生したことが挙げられよう。
5、 従来社会主義諸国は平和勢力であると信じ国際的連帯を求めていた日本の左翼勢力も、これ等諸国の実際の行動を知るにつれて、その認識の誤りに気付き始めたが、自尊心が邪魔をして素直にはなれず、社会主義諸国の不都合な動きに対しては、見て看ないふりをしているとしか思えない。結局はマスコミを含めて、どうしてもそれを語らなくてはならない場合は、淡々と語り、日米等の自由民主主義者の言動に対しては、批判的に語るようになってしまった。
将来の世代の為にも、是々非々で以て語り、報道して貰いたいものである。

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17年08月03日 12時22分00秒
Posted by: yanagizawa

 昭和3-40年代は日本社会党や総評が大きな勢力を保持していたが、社会主義は労働者を最も大切にし、平等な社会にするとの幻想を抱いていた日本人が沢山居た為でもある。反対に自由民主主義を信奉しそれを押し広げようとするアメリカ等は、“帝国主義”勢力と見做されていた。然し社会主義諸国が実際は独裁体制でソ連東欧諸国が民主化し、旧ソ連も分解したが、左翼等一部の勢力はそれでも今なお幻想を潜在意識として保持している。例えば:
1、 フィリピンやベトナムと係争になっている南沙諸島に軍事基地を建設したり、中国船が頻繁に尖閣諸島や小笠原諸島の領海を侵犯、不法漁労をしたりしていることに対し、無言又は事実を淡々と報道する一方、アメリカや日本が防衛力を補強しようとすると声高に非難していることも証拠の一つであろう。
2、 イラクがクウェートに侵攻した際、一兆円余もの援助をクウェートにしたが、感謝表明された主要援助国15ヵ国の中に日本が含まれず、「金は出すが人は出さない」と間接的に非難され、その後日本はPKO等活動に自衛隊を派遣し、徐々に国際的な役割を果たすようになってきているが、これ等の行動を非難したり、果てには「日本は極右的にならんとしている」として非難したりする政党まである。
3、 自分の国は自分で守ろうと努力し、その上で同盟国との連携を強化するのは、当然の平和維持努力のはずであるが、これ等に対しても非難する。1967年6月中国天津滞在時中国で初めて水爆実験に成功したと報道された時、業界仲間達が大喜びした異様な光景を思い出さずにはおれない。当時中国側報道の一部として、「中華民族は米ソに対抗して水爆を保有するに至ったことを台湾人民も喜んでいる」と云うのがあったが、北朝鮮の原爆やミサイル実験に対する韓国側の反応も同胞への反応であろうか?!
4、 一方中国の経済発展は素晴らしいことだが、江沢民時代より資本家も共産党党員になれ、汚職が蔓延し辺鄙な農村の農民や中小工場の労働者は依然として貧しく、社会的格差が拡大していることに対して、昔抱いた幻想とは真逆な状態になっていることも中国問題をあまり語らず、報道しないのかも知れない。皮肉なことに改革開放により経済的には豊かになったが、モラルレベルは大変低下してしまった。
5、 昔ソ連貿易では買い付けに来日したバイヤーへのお土産は欠かせなかったが、中国のお客様は儀礼的な土産以外受け取らなかったが、改革開放後はロシア人以上に高額な土産を要求する様になってしまった。労働者の代表だったはずの官僚たちは、何時の間にか権力者となり、今では「権貴族」(特権階級の意)と云われるようになった。然し、日本でも共産党は民主集中制と云う“独裁体制”が維持しており、他の民主的政党や団体と異なり、内部の各種各様の意見や討論の様子は公開されない。

 昔左翼的マスコミや政党、団体、個人は熱心に中国問題及び日中関係について報道、発言、行動していたが、現在半ば無言になってしまったのには、上述の如き背景があると思わざるを得ない。世界的視点で見れば、中国のみならず日本も変わった国であるが、教育、交通、通信の発達は確実に大多数の人々を開眼させていることは信じて良いと思う。

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