2013年 3月の記事一覧

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13年03月31日 10時42分36秒
Posted by: yanagizawa

中国進出-中国を知るS.(47):中国との付きあい方(其の二)
 中国だけでなく、異なる文化の中で育った人達と付き合うには、世界的に見れば特殊な部類に入る日本人的感覚や視点を変えてみることも必要です。例えば中国で長らく仕事をし、生活しているとイライラすることが多いと言う日本人は多いものです。私も昔はそういう一人でした。1995年に商社マンを卒業して、ODAの現地プロジェクトの管理や日系企業で働き始めると、より一層現地に溶け込んだものとなりました。肩肘張るのを止めて、ある程度「郷に入っては郷に従え」も必要だなと気付いてからは、逆の感覚になった様な気がします。むしろ日本での生活は緊張することが多く、疲れやすく(思春期の孫娘から「おじいさんはKY(空気を読む)が足りない」と言われることもあり)、中国に居た方がリラックスでき、心身ともに若返るような気がします。
☆ 一つ実例を上げましょう。一年余前中国で幼い子供が車にはねられたが、通りすがりの人々、18人も居たのに誰も助けようとしなかったと、日本で何度も報道されたことは皆さんご存知でしょう。このニュースは中国でも比較的重視されて報道された様です。国際交流基金は海外の日本語教師を日本に招聘し、教育法や日本文化を伝授しているが、私も市民ボランティアとして課外授業的な活動をしています。ある時インタービュー形式の私の相手は中国からの女性教師達でした。彼女等から上記ニュースを披露されると同時に、日本人も寛容な気持ちや思いやりが足りないと指摘されました。彼女等は土日の休日を利用して、宿舎のある北浦和から東京に出かけられることが時々ある様です。その指摘と言うのは、「日本で電車に乗ると、乗客は殆ど新聞雑誌を読んだり、携帯を操作していたり、又は眠っていて余りの静かさに気持ちが悪い。中国ならみんなワイワイがやがやと楽しくやっている。これは、日本人は他人が自由にはしゃぐのを受け入れるだけの寛容さがないのではないか!?更に若いお母さんが幼児を連れ、赤子を抱いていて面倒をみるのが大変なのに、モノを落としても拾ってあげず、赤子が泣いてもあやしてあげようとしない情景もあった。日本の人々はなんて冷たいのだろうかと感じた。どうしてですか?」と言うものです。私の方から日本では「他人に迷惑をかけないことを重視している。従い車内放送でも携帯は電源を切るかマナーモードにして下さいと注意している程である。更に、深刻な問題でもなければ、他人の私的な事柄には干渉しないというプライバシー尊重の考え方が浸透している」と説明したが、分かった様な、分からない様な表情をしたのが印象的だった。一見小さな問題とも思えるが、一種の異文化の衝突と言えるでしょう。
☆前にも紹介したことがあると思いますが、日本の幼児教育は「他人に迷惑をかけない、他人から後ろ指を指される様な言動はしない」を無意識の中にしているものです。
 一方中国の幼児教育では、「思っていることははっきり言う事、相手が分からないなら何度でも言う事」を無意識の中にしているとのことです。

  
 以上は一見下世話な小事の様ですが、私の見方では業務上の取引の世界、一般的社会活動、更には国の外交活動にまで類似現象があるのではないかと思います。
 良し悪し言う前に、相違がある事実を先ず理解することは必要でしょう。
 
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13年03月25日 12時35分18秒
Posted by: yanagizawa
中国との付合いは「褒め殺し」が良いと指摘して来ましたが、相当する中国語は聞いた記憶がないので、辞書を見ると「捧殺pengsha」とあります。中国では日常的に多用されているので、「中華思想」同様特別意識せず常識となっていると受け止めるべきでしょう。
中国人同士の招宴に陪席したことが何度もあるが、歯の浮くような感謝の言葉や相手を褒め称える言葉が飛び交います。宴会終了後に相手を非難したりケチをつけたりするような言辞も多いので、私は何度も興ざめに感じたものでした。然し「郷に入っては郷に従え」の例えもあるので、多少は見習うべきでしょう。若干実例を紹介しましょう。
1、 日系企業で仕事をしていた時です。注文した材料の納入が遅れると、ある納入業者が平気で言ってきました。納期通り納入せよと部下を通じて連絡させたところ、営業部長が跳んできて、一週間ほどの納期遅れを認めてくれと言う。私の方より、「古代の日本人は中国より多くを学び中国人を尊敬している。現代でも当地の中国人は万難を廃して約束は守っている。中国は信義の国であると信じているが、貴方は本当に中国人か?」と言うと、一瞬相手は戸惑いながらも「勿論中国人ですよ」と言う。私の方より、「そうではないでしょう。貴方では話にならないから、心身共に本物の中国人の責任者と話をしたいので、貴方は帰って、総経理にそう報告してくれ」と突っぱねたら、彼の帰社直後に部下の方に「遣り繰りした結果、納期通り納入できるようになった」との連絡が入り、一件落着となった。部下に探らせたところ、どうも大口ユーザーへの納入を優先しようとしていたことが分かった。
2、街のレストランで飲食をしていると、時には中国人客からからまれることがある。
  「お前は日本人だろう。日本人は大陸で悪行の限りを尽くしていながら、今なお態度が大きいとか、歴史認識がたりない等々」非難されることも時にはあった。その様な時には、まともには相手にせず、「昔私が日本人紅衛兵と言われた時には、毛沢東語録を勉強した。語録の一節に『中華民族は偉大な民族である、日本民族も偉大な民族で、長期に亘りアメリカ帝国主義が君臨することは許さないであろう』と言って居る。日本民族は偉大な民族とは思わない。皆さんが言う様に国土も人口も正に“小日本”である。中国人が自国の文化や歴史に誇りを持っている様に、日本人も自国の文化や歴史に誇りを持っている。一時期の不幸な歴史だけでなく、お互い夫々の文化や歴史に対して尊重し合うのは友好関係の維持、発展に有利ではないかと指摘したこともあります。

 

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13年03月19日 15時11分52秒
Posted by: yanagizawa
1、中国(韓国も)は、東南アジア諸国とは政府レベルでも国民感情レベルでも特異な対日感情を有していることは既に紹介したが、此処で整理してみましょう。
① 古代文明では日本の師匠、父母、兄姉の如き存在との潜在意識を有しており、日本との間で何か認識ギャップが生じれば、当然自分達の認識が基準だとの中華思想がアタマをもたげることです。客観的な合理性の有無は問題外となってしまう。
② 一方、弟子、子供、弟妹的な存在であるべき日本からは、過去に人的物的災害を与えられたが、十分な償いを受けておらず、リベンジも果たしていないとのコンプレックスがあり、何かと過剰反応をする。韓国には「恨」の潜在意識がある。
③ 過去に結ばれた国交正常化の友好平和条約や共同宣言も、経済、軍事両面での国力が弱い時のものは、現時点での評価で不合理と思えば見直して当然との、凡そ国際的には通用しない考え方を当然としたがる。これも中華思想の変形であろう。前にも触れたが、自国が相対的に弱ければ秋波を送り又は唯々諾々とするが、力が拮抗すれと思えば抗争し、相手より明らかに強くなれば支配管理するのは当然との歴史的に培われた潜在意識も存在する。
2、以上の如き潜在意識を誰かが煽らなければ、東南アジア諸国同様極めて親日的になるというのが、私の50年間に及ぶ中国との付き合いからの結論である。それは戦後70年近い日本人の思いやりや善意に基づく交流へのたゆまない努力の賜物と言えるでしょう。反面、日本には「羹に懲りてナマスを吹く」風潮が広範に定着してしまったと言った方が良いかも知れない。
3、従い日本の問題点は、伝統的な思い遣りや気配りが過度に出ていることと、その反対に中国や韓国を見下げた様な言辞を弄する人が居る事の両極端なことではなかろうか。更に安全保障面では、米軍基地の存在は歓迎しないが、有事の際はアメリカが当然助けてくれると思っている人が多い事です。最近の世論調査では、6割がそう思い、そうとは限らないと思う人は3割とのこと。自助努力の乏しい、即ち自分の国は先ず自分で守るとの決意の欠如した国に対して、アメリカの若者達が命を懸けて日本防衛に赴くことに、アメリカの母親たちは納得するだろうか?!
 4、中国(韓国も)との付き合い方は、以上に間接表現してあるが:
① 先ず、自国は自ら守ると決意することでしょう。この点日本は中国や韓国の国防努力に謙虚に学び、広報もすべきでしょう。そうすれば軍国主義復活とか、右翼化しているとの非難中傷はできなくなるでしょう。
②  その上で、歴史上多くの文化的恩恵を受けたことに対しては、常に感謝の念を以て交流していくべきでしょう。一方歴史に学ぶことは双方向であるべきで、過去の被害者が加害者にならない様な努力も求めるべきでしょう。
③ 中国人の自尊心や面子を可能な限り尊重すると共に、それに相応しい言動を彼等に求めるべきでしょう。日本では悪い意味にとられるが“褒め殺し”と思えば良いでしょう。私の長年の経験では失敗はありませんでした。近年中国が世界中に孔子学院を設置し続けている情況から、古人に学び、論語の一節でも披露して共に遵守しようとすれば良いでしょう。
 以上は中国人幹部教育シリーズでも貫いている精神ですので、読者の中にはお気づきの向きもあるでしょう。次回は関連エピソードを紹介しましょう。


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13年03月12日 21時18分12秒
Posted by: yanagizawa

 1. 前回は明らかに中国が、アメリカや日本、西欧諸国が維持して来た戦後体制をより一層自国にとり有利に改変しようとしていることは明らかでしょう。日本の奈良時代の盛唐時代には人口100万の長安の都には外国人が5-6万人居住していたとのこと、又清朝第4代の康熙帝から第6代の乾隆帝(日本の江戸幕府では綱吉から吉宗将軍の時代)にかけては、世界の富の3割は中国に集まっていたとも言われ、これ等歴史上世界的に中心的な存在だった時代の再現を追求しようとしているとも言われる。従い中国の為政者は誰が担当しようと、日本を含む西太平洋は自分達が管理し平和を維持するから、アメリカは少し東側に下がってくれと言うのが本音でしょう。
2.以上の如き意向は中華思想の表れであるが、当事者にとっては、強大になった中国としては当然のことと認識しているでしょう。日本から50年も支配された台湾が大変親日的である一方、支配した期間は35年間であった韓国が、中国以上に何かと日本に反感を持つのも中華思想の変形でしょう。韓国初の女性大統領になったパククネ(朴槿恵)女史は最近の記者会見で、日本には1,000年の恨みがあると語った。前にも少し触れたが、随分昔だったが、大変親日的だった韓国の取引先の年配幹部がある宴席で珍しく興奮し、韓半島は歴史上4回も侵略されたと言う。最初は広開土王碑(吉林省南端の北朝鮮との国境近くの集安市に現存)にも記されている如く、4世紀末に半島奥深く日本の軍勢が侵攻した。2回目は新羅の半島統一前の7世紀、百済への援軍と称して白村江迄400艘の軍船で侵攻してきた(663年唐軍に敗北)、3回目は16世紀末の2回に亘る15万の大軍による豊臣秀吉の侵略、4回目がロシアの南下を防ぐとか清国の支配から解放し独立を援助するとか言いながら、結局は半島を併合し創氏改名、日本語や神社参拝の強要等々、日本の支配であったと言う。これ等過去の歴史は消去できないが、我々日本人としては、被害者の立場の人々の深層心理にこの様な、恨みつらみが沈殿していることを、しっかり受け止めておくべきと思われる。
3.中韓両国民は、日本の古代文化の殆どは無償で提供したとの思いもあり、本来自分達の価値基準こそ、共通認識の基準たるべしとの是非好悪を超えた感情を、深層心理として持ち合わせていることも理解すべきであろう。更に終戦時には現在の中国政権は誕生しておらず、正真正銘の戦勝国とは言えない点や、新中国誕生後も幾多の政治動乱もあり、経済文化両面で日本に大きく後れを取ってしまったとのコンプレックスもあると思われる。以上が台湾や東南アジア等の親日気風と異なる大きな原因と思われる。

 尚、付言すると私が昔断続的に10年余付き合ったロシア人は、全て極めて親日的であった。モスクワに3回出張したが、大変丁重な扱いを受け宴席でも文化芸術の香りのある話題が豊富で、一度も不愉快な思いはしなかった。昔日ソ中立条約を一方的に破り、敗戦間際に中国東北地方に居た日本人約60万人を拉致し、奴隷の如く酷使し(6万人が亡くなった)、北方四島を占拠した為、多くの日本人の対ロ感はあまり良くないが、ロシア側には一切コンプレックスがないと見られる。日露戦争での敗北のリベンジは果たせたと思っているのかも知れない。
 次回、では中国(韓国)とはどう付き合っていくべきか、私見を披露しましょう。

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13年03月03日 22時52分59秒
Posted by: yanagizawa
 中韓両国が他のアジア諸国と較べ特殊な対日感情を有していることは誰でも気づいているでしょう。両国が共通して声高に主張するのは、歴史認識と言う事です。具体的には戦前の日本の支配や悪行に対して反省が足りない、謝罪が足りないと言うことです。
東南アジア諸国にも多大な災害を与えたが、中韓両国の如く繰り返し謝罪を求めようとはしていません。ミャンマー等はイギリス支配からの独立に協力した日本が、イギリス排除に成功するや、次には日本が支配しようとして抗日運動が起きた程でしたが、暫くすると「ビルマの竪琴」の有名な映画にも見られる様に親日国家となりました。現在当国が民主化したこともあり、今後日本との関係は益々深まり親日的であり続けるでしょう。然し中韓両国の対日態度は異なります。この様な特異性には幾つかの特殊要因があると思われます。幾つか例示すると:
1. 中華思想:中国は古代には日本に比べ先進国であり且多くの文化的なものを、日本を初め周辺諸国には無償供与しているとの潜在意識があります。又それは事実です。諸制度も中国中心でしたので、日本との関係に於いては自分達の考えが中心になって当然との潜在意識もあります。勿論中華思想との意識ではなく、中国人にとっては常識との認識になります。
2. 民族抗争:両国共歴史上日本とは比べものにならない程、民族抗争を繰り返し、統一と分裂を繰り返し領土も拡張したり縮小したりしており、この様な情況は日本では殆んど未経験ですので、日本人的な「過ぎたことは水に流す」感覚がないと見られます。近代に於いて日本では政府軍や官軍と戦った西郷隆盛や会津藩の白虎隊等が英雄として、今なお祀られていることは、中国人には理解の外でしょう。日本人が歴史上建設した防塁等とは比較にならない程長い述べ延長1万キロにも及ぶ万里の長城の建設、見知らぬ人々を容易には信用しない防犯意識の強い民族性となっています。従い前世紀の日本の“悪行”への清算は半永久的に終わらないとの意識がある訳です。この様な意識は本来一部の知識人や党や政府幹部に限られているが、一旦政策として決定され、それが連日報道宣伝されるようになると、一般の中国人にも植えつけられることになります。特に韓国は漢民族との抗争もあったが、弟分の大和民族からは広開土王碑文にある如く、4世紀から歴史上4回に亘り侵略されたとの強い恨みがあります。
3. 戦後体制の改変:政府幹部や知識人も殆ど言わないし、気づいても居らず潜在意識となっているが、近代以降日本にかなりの地域で、支配された事へのリベンジが未だ果たされていないとの思いがある。特に敗戦国の日本の方がいち早く復興を果たし、経済的にも豊かになったことへの嫉妬心がある。一部の政治家は「日本は戦後秩序を壊そうとしているが、それは許されない」と言ったことはマスコミでも報道されたが、多くの日本人には理解できないでしょう。何故なら尖閣諸島が自国領との主張は1969年、国連のアジア極東委員会が尖閣諸島周辺の海底には大量の石油や天然ガスが埋蔵されている可能性があると発表するまでは、中国の地図や人民日報でも日本領と認めており、海洋進出をして西太平洋に波風を立たせようとはしなかったからです。この様な平和な情況こそ戦後体制だったことは客観的に存在したからです。本心は西側諸国が作り上げてきた戦後体制(国際法等を含め)は、中国にとっては不合理なものであり、早晩改変されるべきと思っていることです。
  長くなるので、この続きは次回にしましょう。

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