蛻変(ぜいへん)という言葉があることは知っていましたが、出所がどこなのか知りませんでした。言葉の由来は、帝人株式会社社長:大屋晋三氏がおっしゃっていた言葉であり、それを『蛻変の経営哲学』という哲学にまとめあげられたのが、藤芳誠一先生でした。

今は絶版になっている「蛻変の経営」に以下のように書かれていました。

「企業という社会的生物は、“蛻変”を、変化する環境のなかで意識的に行わなければならない。」

企業は、世の中の流れに任せているだけであったり、変化を嫌っていると環境対応ができなくなるもののようです。

蛻変(ぜいへん)とは、蝉の卵が幼虫になり、さなぎになり、羽化して成虫になっていく様を言いますが、その都度脱皮を繰り返し形を変化させるのでこう言われているようです。環境に対応しながら形を変化させながら成長させて行くということが大事なのだと思います。

蛻変の仕方、タイミングは企業ごとに異なって来ますが、必ず節目節目のところで必要になってきます。それも時流に流されるのではなく、意図的にそれを行うことが必要なようです。

企業が蛻変する時は、生まれ変わるチャンスです。大きな環境変化があった時、
それをきっかけとしてどのように変わるのか、新しい企業理念・企業テーマを掲げる時です。売上や利益の大小ではなく、どんな会社なのかを明示して行くことが大事だと思います。

意識的に行わなければならない蛻変経営。含蓄のある言葉だと思います。企業の永続のためには蛻変は欠かせないものだと教えられているようです。

意識的に蛻変して行くことを忘れた時、企業の成長は止まるのかもしれません。


以下引用部分です。

「蛻変とは、蝉が幼虫から成虫になるときに脱皮しながら生態変化することをいう。蝉は、この蛻変を自然の環境のもとで本能的現象として行なう。しかし、企業は、変化する社会環境のもとで意識的に行なわなければならない。低成長時代に突入したいま、企業もそしてあなた自身も蛻変することが求められている。 帝人株式会社社長 大屋晋三氏 推薦のことばより」


『蛻変の経営哲学』
筆者はかねて、帝人の大屋社長の訓示から「蛻変」という言葉を借りて「蛻変の経営哲学」を説いてきた。

蝉が幼虫から成虫になるときにその古い皮殻を脱ぐ(これを“蛻変”と呼ぶ)ように、企業は幾度もこの“蛻変”を繰り返して、新しく生まれ変わりつつ永遠の生命を発展させていくものである。

蝉という自然的生物は、“蛻変”を与えられた環境条件のもとで本能的現象として行う。しかし、企業という社会的生物は、“蛻変”を、変化する環境のなかで意識的に行わなければならない。

このことは、動植物が環境の変化に適応して自己の生態を変化させながら生存することをエコロジーというように、企業が環境の変化に対応して変態しながら生育を続ける企業エコロジーを意味するのである。

「蛻変の経営」藤芳誠一著 泉文堂 昭和53年発行より

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