飲食業の商売には一つの壁があります。個人で商売をしいている時には当たらなかった壁が、会社にしたり、人を使うようになるとぶち当たります。

端的に言いますと、売上が伸び、店舗数が増えたとしても原価率が上がったり、諸経費が上がり、原価高・経費高の経営になるかもしれないということです。

以下のようなことが現実的に起こって来ます。カッコの中は個人の場合です。
1.調理の失敗がある(失敗はしない、真剣勝負)
2.破損が出て来る(割れないように丁寧に洗う)
3.仕入れが規則通り(足らないものだけを少量ずつ補充)
4.メニューは全メニュー提供できる(定番以外は、冷蔵庫と相談)

例えば、オーナー経営者がメニューを作った場合、おそらく1万食メニューを作っても1回も失敗はされないでしょう。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、これが他人を使った瞬間、失敗が出てきて原価に跳ね返ってきます。

破損もオーナー経営者が店をやっていると月に1つでも割るということはないです。

仕入れをマニュアル通りに行っていると、毎日冷蔵庫や倉庫の空きスペースに補充することになりこれも原価高につながります。オーナー経営者は、必要なものを最低量補うだけです。

メニューも全メニュー提供できるように仕込みを行っていると、必ずロスにつながります。定番の以外のメニューで欠品があってもお客様に、「本日このメニュー品切れしておりまして、たいへん申し訳ございません。」と上手に対応されます。だから、冷蔵庫の回転率が良く、在庫も少なく、原価が低くなります。

ということは、人を使って商売をするようになった場合、注意しなければならないのは、今まで自分がやってきた通りにさせることです。それとオーナー経営者の意識を持たせることです。

それができない場合は、コスト高の経営になるということです。自分一人でできる範囲は限られています。そこから会社にしたり、店舗数を増やしたりすると、自分でやっていたときよりも利益が出ていない、儲かっていないことが多々あります。

歯がゆい思いをされているオーナー経営者の方も多いと思います。これだったら店を広げずに、夫婦や家族でやっておけば良かったということになります。

でも人生何事も勉強ですから、自分一人でやっていた時と同じ数字がでるように指導教育すべきです。個人ではわからなかったこと、味わえなかった楽しみがきっとあると思います。

ただし、個人でやった場合よりも原価率は高くなることを肝に銘じていた方が良いと思います。