政治の混乱がいよいよ深刻になってきた。そして、日本周辺の動きがますます緊迫している。「天気晴朗なれども浪高し」とは、日露戦争の日本海海戦で我が日本の連合艦隊が発信した歴史的な名言である。この格調高い名言を、日本の現況にあてはめると、「天気は曇天続きの雨模様で、さらに浪は荒れ狂っている」といえる。そのような状況であっても、政治の世界は相変わらず内向きで、国民の生活よりも自分たちの保身が重要という声が聞こえてくる。「格差のない社会」とか「高速道路の無料化」等の耳に心地よいキャッチフレーズは、今は懐かしい昔話になってしまった。

政治の世界でもビジネスの世界でも、最終責任をとるのはただ一人である。つまり、最終的な決断をくだすのは、一番大きな権限をもっている人物がする。もちろん、決断にいたるまで様々な人々の意見を聞くことは重要であるが、最終的な決断をするのは最高責任者がただ一人で行う。政治の世界では総理大臣であり、ビジネスの世界では取締役社長である。最高責任者の一番重要な職務は決断することである。そして、決断した事項に関して、全責任を負うのも最高責任者である。それができないならば、最高責任者の職を受けるべきではない。

政権交代という美名のもとに発足した政権も、振り返れば内輪もめばかりがニュースになっている。国民をうならせる決断を見るには、まだ時間が必要ということのようである。素晴らしい大統領のもとで大躍進を続ける韓国と比較すると、日本の政界の停滞ぶりが、ますます鮮明になる。政治の世界が不安定だと、ビジネスの世界も活気がなくなる。ビジネスのグローバル化は、否応なしにますます進行していく。ビジネスのグローバル化には、政治のバックアップが必要不可欠であることを認識する必要がある。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)