2014年 4月の記事一覧

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14年04月21日 18時48分28秒
Posted by: mansyonkanrisi

平成23年度宅建試験

〔問 27 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に
する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 A社の役員Bは、宅地建物取引業者C社の役員として在籍していたが、そ
 の当時、C社の役員Dがかつて禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が
 終
わった日から5年を経過していないとしてC社は免許を取り消されている。
 この場合、A社は、C社が免許を取り消されてから5年を経過していなくても、
 免許を受けることができる。
2 E社の役員のうちに、刑法第246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられ、
 その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、E社は免
 許
を受けることができない。
3 F社の役員のうちに、指定暴力団の構成員がいた場合、暴力団員による
 不
当な行為の防止等に関する法律の規定に違反していなくても、F社は免
 許を
受けることができない。
4 宅地建物取引業者G社は、引き続いて1年以上事業を休止したときは、
 免
許の取消しの対象となる。

〇1 正しい。C社の役員Dがかつて禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執
  行
が終わった日から5年を経過していないとしてC社が免許を取り消され
  て
も、5年間免許の欠格となるものではないから、C社の役員であったB
  も
5年間欠格となるものではない(業法52)。よって、A社は、C社が
  免許を取り消されてから5年を経過していなくても、免許を受けることが
  できる。
×2 誤り。一定の犯罪で罰金刑に処せられた場合、免許の欠格となる。し
  か
し、刑法第246条の詐欺罪はその一定の犯罪に入っていない(業法5
  条3
2)。というよりも、刑法第246条の詐欺罪には選択刑として罰金
  刑がな
いので、詐欺罪で罰金の刑に処せられるということはあり得ない。
  出題者
の勘違いと思われる。いずれにしても誤りであることに変わりは
  ない。
〇3 正しい。指定暴力団の構成員の場合、暴力団員による不当な行為の
  防止
等に関する法律の規定に違反していなくても、「宅建業に関し不正
  または不
誠実な行為をするおそれが明らかな者」に該当し(業法55
  
)、F社は
免許を受けることができない。
〇4 正しい。宅地建物取引業者は、引き続いて1年以上事業を休止したと
  き
は(正当な理由の有無を問わない)、免許の取消しの対象となる(業法
  66
16)

注→ 肢2について、「刑法第246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられ、」
   と
あるが、出題者は、刑法246条の条文を見て出題したのであろうか。
   詐欺
罪には、狭義の詐欺罪(2461)と、詐欺利得罪(2)とが
   あるが、
いずれも、10年以下の懲役である。詐欺罪を犯しても、罰金
   刑に処せられ
ることはない。この問題の解説で、「刑法246条の詐欺
   罪により罰金の刑
に処せられても免許の欠格要件に該当しない。」と
   いうようなものがある
が、そもそも詐欺罪を犯しても、絶対に罰金の刑
   に処せられることは
ない。この肢は誤り(でたらめ)であることには、変
   わりないのであるが、出題者の法的な知識ないしはセ
ンスを大いに疑
   う。
    もし、逆に「刑法246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられても、免
   許
の欠格要件に該当しない。」という肢が出た場合、これを正しい肢と
   すべき
か。しかし、詐欺罪で罰金刑に処せられることはないのである
   から、正し
い肢とすべきではない。
    刑法の暴行罪、傷害罪、背任罪、脅迫罪等は、懲役刑の他、法定
   刑に罰
金の刑が定められている。これらの犯罪の性質上、例え軽い
   罰金の刑が選
択された場合でも、免許等の欠格事由としたのである。
   同じような犯罪である逮捕・監禁罪、横領罪、恐喝罪、強盗罪、そして、
   設問の詐欺罪等は、法定刑は懲役刑のみである。だから、罰金刑に
   処せら
れた場合に欠格になるなどということが問題にならないのであ
   る。

14年04月18日 15時14分44秒
Posted by: mansyonkanrisi

平成20年度宅建試験

【問 40 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でない
Bと建物の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引
業法
(以下この問において「法」という。) 及び民法の規定によれば、正しいもの
どれか。
1 Bが契約の履行に着手するまでにAが売買契約の解除をするには、手付の
 3
倍に当たる額をBに償還しなければならないとの特約を定めることができる。
2 Aの違約によりBが受け取る違約金を売買代金の額の10分の3とするとの
 特
約を定めることができる。
3 Bから法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフによる売買
 約の解除があった場合でも、Aが契約の履行に着手していれば、AはBに
対し
 て、それに伴う損害賠償を請求することができる。
4 Aは、瑕疵(かし)担保責任を負うべき期間として、引渡しの日から2年で、
 つ、Bが瑕疵
(かし)を発見した時から30日以内とする特約を定めることが
でき
 る。

○1 正しい。業者が売買契約の解除をするには、手付の3倍に当たる額を償
  しなければならないとの特約は、買主に有利であるので有効である(宅
地建
  物取引業法
392項、3項)。
×2 誤り。当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の
  額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額
  10分の2を超えることとなる定めをしてはならない(同法381項)。
×3 誤り。クーリング・オフによる売買契約の解除があった場合、宅地建物
  引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払いを請求す
  ることができない(同法37条の21項)。
×4 誤り。目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、期間についてその目的物
  の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法5663
  規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない(同法
40
1項)。
  引渡しの日から2年という点は違反しないが、「瑕疵を発見した時
から30
  以内」を責任追及期間とすることは、民法の「瑕疵を発見した
時から1年以
  内」よりも買主に不利なので定めることができない。

注→ この問題文の解釈は、「引渡しの日から2年で、かつ、・・・」とあるから、
   引渡しの日から2年経過後に瑕疵を発見していなかったら、さら
に、それ
   から瑕疵を発見した時から
30日以内とも読める。そうすると、
責任を追
   及できる期間は、2年以上となるので、正しいとも言えるので
ある。しか
   し、肢1が明らかに正しいので、肢4は誤りとせざるを得な
いが、そうす
   ると、かつ、ではなく、又はとすべきであろう。多くの解
説は、そういうふ
   うに解釈して解説している。私もそうした。

 過去にも複数の特約をして、その一部は有効であるが、一部は無効と
いう
問題が多く出題されている。例えば、平成9年の問題で以下のよう
な問題が
出題されている。

1 「Aが担保責任を負う期間は建物の引渡しの日から2年間とし、Bは、そ
 の期間内に、契約を解除することはできないが、損害賠償を請求すること
 が
できる」旨の特約は無効である。

 この問題は、「引渡しの日から2年間」とい点は有効であるが、「契約を解
除できない」という点は無効である。
 平成20年の出題者もこの契約の一部無効の問題を出そうと考えたかも
れない。しかし、期間の問題を、かつ、でつないでいるので、そういう問題
にはなっていない。
 とにかく、平成20年と21年の宅建業法の問題は、文章が雑なものが多
い。今後本試験の出題者は、過去の問題を参考にするときは、くれぐれも
の点に注意してほしい。
 因みに、契約(特約)の一部が無効の場合、契約全体が無効になるのか、
無効
な特約部分だけが無効になるのかは、当事者の意思等を考慮して、
個別的に判断
される。

14年04月14日 14時31分35秒
Posted by: mansyonkanrisi

平成20年度宅建試験

【問 39 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でな
買主との間で締結した宅地の売買契約について、買主が宅地建物取引業法第
37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする
場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 買主Bは自らの希望により勤務先で売買契約に関する説明を受けて買受け
 の申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに
 約を締結した。この場合、Bは、当該契約の締結の日から8日を経過する
まで
 は、契約の解除をすることができる。
2 買主Cは喫茶店において買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・
 オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Cは、当該契約
 締結をした日の
10日後においては、契約の解除をすることができない。
3 買主Dはレストランにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリ
 グ・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Dは、当
該契
 約の締結をした日の5日後においては、書面を発しなくても契約の解除
をす
 ることができる。
4 買主Eはホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にAからク
 ーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Eは、
 
当該宅地の代金の80%を支払っていたが、当該契約の締結の日から8日
 を経
過するまでは、契約の解除をすることができる。

×1 誤り。業者の相手方が、その自宅又は勤務場所において宅地又は建物
  の
売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあっては、その相
  手方
の自宅又は勤務場所で契約した場合は、解除等はできない(宅地建
  物取引
業法37条の21項、規則16条の52号)。
×2 誤り。喫茶店において契約を締結して、解除ができる旨を告げられてい
  ないのであるから、契約締結後10日を経過しても解除することができる
  
(同法37条の211号)。
×3 誤り。買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除は、書面によらなけ
  れ
ば無効である(同法37条の21項)。
○4 正しい。宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払っ
  たときは、解除ができなくなる。しかし、まだ代金の80%しか支払ってい
  いのであるから(もし、引渡しを受けていなければ代金全額を支払って

  ても解除できる。)、
クーリング・オフについて書面で告げられた日
から8日
  を経過するまでは、契約の解除をすることができる
(同法37条の
21
  2号)。

注→ クーリング・オフの例外として、①申込者等が、書面で申し込みの撤回
   等を行うことができる旨の告知を受けた日から起算して8日が経過した
   き(37条の211号、規則16条の6)、②申込者等が、当該宅地又
   は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったとき(2)
   の
二つがある。
    設問は、文章から判断して、申し込みの日と、契約の日と、告げられた
   日が同一の日と考えられる。だから、問題文に、「当該契約の締結の日
   から」
8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。とあるの
   をあえ
て誤りとすることもないと思われる。しかし、この8日の経過は、
   「告げら
れた日から」から起算する。
    例えば、「6月1に、契約をし、その日にクーリング・オフについて書面
   で告げられた場合、6月1日から8日が経過するまでは、解除できる。」
   と
あれば何の問題はない。しかし、特定の日がないときは、ちゃんと、条
   文ど
おりの「告知の日(告げられた日)」から8日とすべきである。
    因みに、肢3も同じであるが、誤りの肢であり、問題にする必要はない。
   しかし、肢4は正しい肢であるので、正確な表現が必要である。

14年04月08日 14時55分18秒
Posted by: mansyonkanrisi

平成21年度宅建試験
【問 39】 宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でな
いBとの間で、建築工事完了前の建物に係る売買契約 (代金5,000万円)
締結した。当該建物についてが所有権の登記をしていない場合における
次の
記述のうち、宅地建物取引業法 (以下この問において「法」という。) の
規定に違反しないものはどれか。
1 Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた上で、Bから500
 万円を手付金として受領した。後日、両者が契約の締結の履行に着手して
 い
ない段階で、Bから手付放棄による契約解除の申出を受けたが、Aは理
 由な
くこれを拒んだ。
2 Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じずに、Bから500万
 円を手付金として受領したが、当該措置を講じないことについては、あら
 じめBからの書面による承諾を得ていた。
3 Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた上で、Bから500
 万円を手付金として受領し、そのあと中間金として250万円を受領した。
4 Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた上で、Bから2,000
 
万円を手付金として受領した。

×1 違反する。宅建業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締
  結
に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっ
  て
も、解約手付けの性格を有する。この規定に反する特約で、買主に不利
  な
ものは無効となる(宅地建物取引業法39条2項、3項)。Aは、Bの解除
  を拒むことはできない。
×2 違反する。未完成物件については、代金額の5%(250万円)を超える
  場合に手付金の保全措置を講じなくてはならない。たとえ買主の書面に
  よ
る承諾があっても、講じなければならない(同法41条1項)。
〇3 違反しない。手付金等の保全措置がとられているので、500万円の手
  付
金の受領のときは、業法に違反しない(同法41条)。その後に中間金
  を取
得しているが、その時にも当然に手付金等の保全措置が必要であ
  る。

注→ 250万円の中間金を受領するときも手付金の保全措置が必要である
   が、
問題文では、必ずしもこの点が明らかではない。これもミスだとする
   と正
解がなくなるので、善意的に解釈してこれを正解とらざるを得ない。

×4 違反する。業者は、手付金等の保全措置を講じても、代金の額の10分
  の2(1,000万円)を超える額の手付を受領することができない(同法39
  条1項)。

 とにかく、平成21年度の宅地建物取引業法の出題担当者の能力を疑う。
ミスが多すぎる。
試験の問題は、試験問題として文章に表れた文言を解釈
して解答する。出題
者の内心の意図を離れて客観的に判断される。出題者
はそのことを肝に銘じ
て慎重に問題を作成してほしい。特に、正しい肢の問
題については、慎重さ
が要求される。

14年04月02日 15時09分35秒
Posted by: mansyonkanrisi

平成21年度宅建試験
【問 38】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者で
ない買主Bとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物
引業法 (以下この問において「法」という。) 及び民法の規定によれば、
っているものの組合せはどれか。
ア AがBとの間で締結した中古住宅の売買契約において、当該住宅を現
 状
有姿で引き渡すとする特約と、Aが瑕疵担保責任を負わないこととする
 特
約とを定めた場合、その特約はいずれも有効である。
イ Aは、Bとの間で建物の売買契約を締結する前に、法第35条の規定に
 基
づく重要事項として当該建物の瑕疵の存在について説明し、売買契約
 にお
いてAは当該瑕疵について担保責任を負わないとする特約を定めた
 場合、
その特約は有効である。
ウ AがBとの間で締結した建物の売買契約において、Aは瑕疵担保責任
 を
一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが瑕
 疵
担保責任を負う期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。
1 ア、イ
2 ア、ウ
3 イ、ウ
4 ア、イ、ウ

×ア 誤り。現状有姿で引き渡すとの特約(契約後引渡しまでに目的物の
  状
況に変動があったとしても、売主は引渡し時の状況のままで引き渡
  す特
約)は、有効である。しかし、瑕疵担保責任を負わない旨の特約
  は、売
主が業者で、買主が業者ない場合、民法よりも買主に不利な特
  約として
無効となる(宅地建物取引業法40条)。

 イについて、正しいとしている問題集がある。しかし、「法35条の規定に
基づく重要事項として当該建物の瑕疵の存在について説明し、」とあるが、
疵担保責任に関する事項は重要事項ではない。建物の瑕疵は、法47
条1号の
「重要な事実」とはなる。売主が建物の瑕疵を知りながらこれを買
主に告げ
なかったら、重要な事実の不告知として、刑罰を受ける。
 法35条の規定に基づく重要事項として説明し、とあるのは明らかに誤り
であ
る。
 後半については、民法上の瑕疵担保責任は、隠れた瑕疵でなければな
らな
い。つまり、買主が瑕疵について、善意・無過失の場合に認められる
もので
ある(判例)。あらかじめ、瑕疵の存在がわかって売買されれば、瑕
疵担保責
任の問題は生じないと解釈されている。設問では、売主が瑕疵
の存在につい
て説明しているので、買主は当瑕疵を知っているので、そも
そも、売主は瑕
疵担保責任を負わないのである。特約は民法の規定する
当然のことを特約し
ているので、もちろん有効である。

×ウ 誤り。瑕疵担保責任を一切負わないとする特約は、民法よりも買主
  に
不利な特約として無効となる(同法40条)。この場合には、民法の規
  定
が適用されることとなり、瑕疵担保責任の責任期間は、買主が瑕疵
  を知
った時から1年以内となる(民法566条3項、570条)。

 公式の正解は、アとウが誤りとして、2を正解としているようであるが、イ

も誤りである。

14年04月01日 14時40分30秒
Posted by: mansyonkanrisi

 宅建試験や管理業務主任者試験の本試験の問題作成担当者は、過去に出
題さ
れた試験の問題を参考にして本試験の問題を作成する。同じような問題が
近年
出題されていないか。最近出題されていない分野は何か。近年出題され
た問題
でも、それを応用して出題する。過去に出題されていても、正解の肢で
なけれ
ば、続けて出題しても問題ない。過去に出題されているが、相当昔の問
題だか
ら、同じような問題でも出題してもよい。同じ問題でも重要でありながら、
解率が低ければ続けて出題してもよい等々の事情を考慮して出題している
と思
われる。

 10年以上試験が実施されれば、ほとんど重要な論点は出されている。そんな
に重要な論点があるわけではない。過去の問題を離れて出題することは不可能
であり、過去の問題を離れて出題すべきでない。
 しかし、出題者としては、全く過去の問題と同じ問題を出すわけにはいかない。
事例を変えたり、周辺の問題を入れたり、数字を変えたり、問題文を長く
したり、
一歩進めた問題にしたり、応用問題にしたりしながら、工夫して出題
する。
それで、法律の問題の実力判定は十分にできる。

 ところが、過去に出題された問題にミス問題がある。市販されている問題集に
も、そのミスを修正せずに、そのまま掲載して、それを指摘しないまま、あるい
苦しい弁明をしながら解説している。しかし、それでは、また同じミス問題が
繰り
返されるおそれがある。ここ2~3年は、問題作成機関が正解を発表し、ミ
ス問
題が公になった。しかし、以前の問題はどのように処理されたのか不明であ
る。
同じミス問題を繰り返すことのないようにしていただきたいと思う。

 平成21年度の宅建試験で、宅建業法の分野でミス問題が多発した。この年か
ら宅建業法の試験問題が16問から20問に増えた。そのせいかどうかは知らな
いが。

まず、問31について

【問 31】 宅地建物取引業者Aが自ら売主として、B所有の宅地 (以下この問
において「甲宅地」という。) を、宅地建物取引業者でない買主Cに売却する場
合における次の記述のうち、 宅地建物取引業法の規定によれば、誤っている
もの
の組合せはどれか。

ア Aは、甲宅地の造成工事の完了後であれば、Bから甲宅地を取得する契
 約の
有無にかかわらず、Cとの間で売買契約を締結することができる。
イ Aは、Bから甲宅地を取得する契約が締結されているときであっても、その
 取得する契約に係る代金の一部を支払う前であれば、Cとの間で売買契約を
 締
結することができない。
ウ Aは、甲宅地の売買が宅地建物取引業法第41条第1項に規定する手付
 金等
の保全措置が必要な売買に該当するとき、Cから受け取る手付金につ
 いて当該
保全措置を講じておけば、Cとの間で売買契約を締結することがで
 きる。
1 ア、イ
2 ア、ウ
3 イ、ウ
4 ア、イ、ウ

×ア 誤り。Aは、甲宅地の造成工事の完了後であっても、Bから甲宅地を取
  得する契約(予約も含む)契約を締結していなければ、Cとの間で売買契
  約を締結することができない(宅地建物取引業法33条の2第1号)。
×イ 誤り。Aは、Bから甲宅地を取得する契約(予約も含む)が締結されて
  るときは、Cとの間で売買契約を締結することができる(同法33条の2
第1
  号)。代金支払い等は考慮しない。
 ウについて、一部の問題集の解説は、疑問を持ちながら公式の解答の通り、
以下の理由を付して正しいとしている。宅地・建物の売買が宅地建物取引業
法第41条第1項に規定する手付金等の保全措置が必要な売買(未完成物件
の売買)に該当するとき、買主から受け取る手付金について当該保全措置を
講じておけば、買主との間で売買契約を締結することができる(業法33条の2
第2号)。条文通りだから正しいとして、正解を1としている。
 しかし、33条の2の規定は、自己の所有に属しない宅地又は建物について
売買契約を原則として禁止しているのである。
 1号は、他人物売買において、他人とその物件を取得する契約(予約を含む)
の場合には例外としている。
 そして、2号は、未完成で所有権の成立しない宅地建物については、例外
して手付金等の保全措置を講じていれば、売買できるとしている。
 つまり、他人物売買については、他人との契約が例外であり、未完成物件
所有権の対象とならない物件については、手付金等の保全措置が例外であ
る。
 問題の本文を見ると、「甲宅地」は他人Bの所有となっており、所有権の対象
になっている。ということは、未完成で所有権の対象となっていない
という2号の
問題ではない。
 本文を離れて、肢4を見ると、通常建物については、完成しない間は建物とい
えず、所有権の対象とならないが、土地については、未完成で未だ
所有権の対
象となっていないということはまれである。ただし、山林を宅
地に造成中などの
場合には、未だ宅地になっていないから、「宅地」の所有
権は成立しないという
ことが考えられる。
 しかし、肢4では、「甲宅地の売買が未完成物件の手付金等の保全措置が
要な売買に該当するとき」とあり、あくまでも、本文を受けていて、宅
地としての
所有権は成立している事例としか考えられない。
 本文を離れて、肢4を独立に見て答えれば良いと言う問題ではない。不適切
な問題であり、ウが正しいとは決して言えない。
 出題者は、「自己の所有に属しない」の中に「他人物」と「未完成物」があり、
それぞれに別々の例外があるということを十分認識していないので
はないか
と疑われる。
 次回は、同じ平成21年の問題の問38について説明します。

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