POPとは、“Point of purchase”のイニシャルで、直訳すれば「販売時点広告」となります。

以前はPOP(ピーオーピーと発音)といえば、スーパーの本部、または各店舗に専門のPOP(こちらはポップと読む)ライターが詰めていて、注力の商品にあわせたPOPを制作していたものです。そして、お菓子やデザートなどナショナルブランド供給のPOPも盛んに掲出され、売り場を賑やかしていました。

その当時の原稿といえば、
「カラッと揚がった、フライ級チャンピオンの牡蛎です」
「『秋なすは嫁に食わすな』といわれるくらい美味です!」
「顔はまずいが、野菜の貴族! 男爵ジャガイモ」
てな具合。

ところが、その後に売場管理が徹底されるようになり、スーパー本部の許可を得ていないPOPは掲出できなくなります。そうこうするうちに、本来はPOPの本場ではなかった書店やCD店にPOPが花開き、それも店員さん自身の手書きPOPが来店客の購買行動に大きく影響を与えるようになりました。

その頃のタッチといえば、
「あのキョンキョンがTVで激賞! 」
「あふれる涙がとまらない名作。徹夜で一気に読みました」
「この感動の物語に出会うために、あなたは生まれた」
てな感じ。

趣味性の高い店づくりで知られる書店、ヴィレッジヴァンガードでは、遊び心をくすぐるユニークなコメントのPOPが並んでいて人気です。また、貸しレコード店のPOPを書いて売上げを大きく伸ばしたフリーターが、やがて音楽業界に大きな影響を与える存在にのし上がっていくというサクセスストーリーもありました。エイベックスの社長さん、MAX松浦氏のことですね。

現在、「もう一人の販売員」と呼ばれ、最後の説得、背中を一押ししてくれる売場のツールとして、POPはかつてないほど重要な存在であるといえるでしょう。そして、IT技術の進展により、あらたなスタイルのPOPが登場しています。それは、本ブログでもたびたび紹介しているデジタルサイネージというもの。次回の記事では、その可能性について書きたいと思います。