中国との付き合い方(対応策)の前に、若干寄り道をしたい。
昨年観光客を含め来日中国人は約500万人となった。香港、台湾、シンガポールからも含めると、来日外国人全体の約半分、一千万人が華人と言えるでしょう。然し、大陸の人口が14億人近いことを考慮すると、0.4%にも満たず、台湾からの来訪者が年間人口比10%(延べ人数計算)にも達するのと較べようがなく、まだまだ過少であると言えるでしょう。従い圧倒的多数の中国人の日本理解や対日観は、学校教育、映画やテレビドラマ、抗日記念館、党指導下にあるマスコミ報道等により形成されていると言えるでしょう。来日中国人や長期滞日者の多くが心中驚くのは:
1.日本中どこに行っても清潔で、近代化されており、辺鄙な農漁村や山村でも貧しい生活環境が見当たらない(自宅にトイレや風呂がなく、子供が学校にも行けない等)。
2.軍人が闊歩している状況も、しばしばテレビに登場することもなく、女性が男性にかしずく姿もどこにも見当たらない(中国でのドラマからの印象と全く違う)。
3.靖国神社のみならず、日本の神社や武士道(サムライ精神)は軍国主義の象徴のはずだが、多くの日本人の生活に溶け込んでおり、どうもそうではなさそうである。
4.日本文化を体験した場合感ずることだが、茶道、華道、弓道、柔道、剣道等○○道という伝統文化は、「礼に始まり礼に終わる」、「精髄に触れる」、「優美である」等など、何処から来たのか不思議である。そんなに儒教教育をしている様子もない。
5.街や駅では滅多にゴミ箱を見かけないが、ほとんどゴミが散らかっていない(中国の街には沢山ゴミ箱があり、清掃専業者も沢山働いている)。
6.日本人は中国人より金持ちのはずだが、小中学校には自動車で送迎する人を見かけず、冬でも短パンで集団で歩いて登校しているのは不思議だ。幼稚園児も幼稚園のバスで通園する以外はお母さん達が自転車で送迎している。
7.ラーメンや餃子は本来中国の伝統料理だが、日本独特のものに変えて世界に広げている。(注:ラーメンは拉麺と書き、練った小麦粉を両手で空中に放り上げるような動作をして伸ばし、粉を敷いたテーブル上で少し粉を付け再度空中に放り上げる。この様な動作を7回も繰り返すと、2の7乗で128本となり麺が出来上がる。これが元々中国のラーメンで、日本のラーメンを日本式麺と呼ぶので、中華そばと言われると困惑する。餃子は本来ゆで餃子が主流で、残ってしまった場合、それを焼いたのが焼き餃子で、他人には出さないのが中国の習慣だが、餃子を焼く途中で水を若干加えて直ぐ蓋をする方法が日本で確立した。これは中国の蒸し餃子と焼き餃子を兼ねたもので、やはり日本式餃子である)

  古い話になるが、1966-76と十年も続いた“文化革命”は大動乱だったと理解されているが、当時現地で生活した体験ではそうでもなかった。1967年9月(北京に駐在していた時)、北京南郊外にあった黄土崗人民公社の見学への招待があり、若者中心に約30名が出かけた。印象深かったのは、到着した集落の庭は掃き清められ、打ち水がしてあった。「水を飲んでく下さい」と言って出されたのは、白湯であり容器は丼ぶりや茶碗いろいろで、縁が欠けたものもあった。住民たちは、「毛主席のお陰で、今では三種の神器(時計、ラジオ、自転車)がある」と自慢していた。事前手配があり演出の面があったと思われるが、日本で喧伝されたほどは混乱しておらず、モラルレベルは今の中国よりは相当高かったとの印象であった。
 とかく日本のマスコミは悪いことを探し回り報道し、一方中国は良いことばかり報道する傾向があり、今なお変わらないようである 。(2016-2-16記)


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