私が長年参加している中国等アジアの文化に関する学会の仲間から、「中国は知れば知るほど分からなくなる」との指摘がありました。私の中国駐在時も、時間が経つほど中国や中国人は理解不能になる、必死に指導しても空回りになってしまうとの、日本人の嘆きを聞かされたものです。確かに日本の常識ならずとも世界の多くの国々の常識とかけ離れた点が中国にはあるでしょう。民族性や国民性は長い年月を経て形成されますが、日中両国を地政学的に更に歴史的に見ればその相違点の由来は、容易に理解できるでしょう。私の見るところ、むしろ日本の方がより特殊と言えそうです。

島国と言う閉鎖的な社会で縄文時代以来生活して来た日本人は、周囲の人々への気遣いなしには平穏な生活は送れず、地震、台風、火山等自然災害には迅速に一致協力して克服しなければ衣食にも事欠くことになったからです。

 偉大な精神的指導者であった聖徳太子の「十七条の憲法」は現代風に言えば、国家公務員の服務規程の如きものでしたが、綿々と1400年もの長い年月に民間にも浸透して日本人の精神的支柱になっており(太子講等通じ)、他に例を見ないでしょう。

 

 特に最近は尖閣諸島問題、靖国神社参拝等歴史認識問題、3-40年前には中国からとやかく言われなかった問題ですが、国力が強化されれば何かと理由を付けて自国の都合良いように改変しようとしたり、自己主張を世界中に触れ回ろうとしたりすることは、別に不思議なことではないでしょう。日本がしっかりと対処すれば良いことです。

「米軍基地の存在は不愉快だ!」と思いながら、一方では「有事の際は当然米軍が助けてくれるはず」と多くの日本人は考えているが、自分の国は自分で守るとの決意が先ずは必要でしょう。日中国交回復の動きがあった40数年前のことであるが、中国は非武装中立を主張する日本の政治勢力の代表達をしばしば招請し北京で会談をしていたが、

ある中国政府の中堅幹部から「実は我々は彼等を信用していない。然し政治的に都合良いから歓待しているだけだ。何故ならアメリカと軍事同盟を結び、アメリカの核の傘で守られ他国が侵攻できない様にして置いて、安心して非武装中立を唱えている連中を信用できる訳がないでしょう」と聞かされたことがあります。平和維持に対する日本人の意識が如何に甘いものであるか、強烈なパンチを食らったような感じになったことがあります。むしろこの点、中国の方が正常な認識と思わされたものです。

 

 次回には日中の共通点よりは、米中間ではより共通点が多いことを整理して紹介しましょう。どんな国でも政府首脳は国益第一で物事を判断しますが、国民性や民族性での類似性が強いほど共感性は得られやすいでしょう。日米同盟と政治体制等普遍的価値観を共有する日米関係、経済及び人的交流で日米を圧倒しつつある米中関係、冷徹に情勢の変化を見たいものです。

 

 但し“閉鎖社会”だった日本の歴史的経験は、地球全体が相対的に大幅に狭くなる50年後、100年後には世界的なモデルになる可能性も十分にあり、一方環境汚染がひどく、社会的格差がひどくなった中国、日本とは比較にならない程蔓延している汚職問題のある中国には、より大きな困難があるとも言えるでしょう。

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