中国工場進出支援の為の「中国を知るシリーズ」は一旦小休止として、中国人「幹部教育の要諦」十か条について、順次説明致します。
 

 第一項では、「学歴、出身、民族の違いによる差別は一切せず、末端の 作業員まで、一人ひとりの人格(自尊心)を如何なる時も十分に尊重すること。末端の意見聴取では、トヨタに見習え。」と記しています。多くの日本人は、当たり前と思うかも知れません。然し、誰も言わずマスコミ 報道にも出て来ないが、中国では30数年前までは、身分格差を「工農兵学商」と言われており、文革中は親の身分まで溯って問題にされていた。 日本でも江戸時代は「士農工商」と言われていたが、明治維新後既に140年以上も経過しているので、誰も身分格差等潜在意識にも存在しなくなった。中国は言わば、明治 35-6年時代類似の身分格差や階級意識を潜在的に持っていると見て間違いない。観察 眼が表面的な経済発展の状況に偏らず、多角的な理解に努め、意識的に社員の努力や成果の程度を重視し、平等に社員を扱うのが最重要です。食後農民や食事を供してくれる人に 感謝の 意を表する為に、手を合わせる習慣は、今でも日本人の中に、かなり残っているが、中国にはなく、むしろ農村出身者を一段低く見る人達は多い。又、日本は単一民族に近い国である為、少数民族に対する対応方法を意識する日本人は、多民族国家である 中国で生活していてもあまり居ない。
この点も意識して彼らを尊重する姿勢を保とう。特にイスラム教徒の中には、豚肉を食べないだけでなく、寧夏回族自治区での2年間の勤務中には、総経理がご自宅に優秀社員を招待した折、「豚肉に用いた食器は使わないで下さい」と言う者までいた。

 トヨタ自動車とは、商社時代を含め30年余交流があり、その孫会社とも言うべき現地工場に勤務してみて、感動することが多々あった。トヨタは今後どんなに大きくなっても、アメリカのGMの如き失敗はしないと確信した。此処では格差、差別関連事項のみ 紹介する。トヨタの役員給与等は、他の自動車メーカーと較べ低レベルだと、広く知られているが、海外にあっては現地の風俗習慣を尊重し、現地社会に貢献する努力をすると 共に、班長、組長等大体係長以下の職長2-3人ずつを、毎週の如く退勤後次々と総経理が呼んで、現場での問題点、不満点、提案等聴取し続けるのを、通訳しながら経験した。 ほとんどのトヨタ系会社では類似状況にあるとのことであった。彼等は幹部会メンバーにはなれない職階であり、多くの社員達は「トップが我々末端の意見を重視してくれてありがたい」との受け止め方をしていた。信頼感醸成に役立つと共に、幹部会通じての提起 問題や提案内容と異なることもあり、情勢認識を補完するのにも役立った。更に幹部教育の参考情報を得ることにもつながった。

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柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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