「中国(人)とは何ぞや?」もそろそろ終盤にしたいと思うが、多くの日本人が、「何年付き合ってもよく分からない」と言ったり、誤解したりしているのは何故でしょうか?「中国はもうすぐ崩壊する」類の書物も、中国問題専門家と称される人達が執筆し書店には沢山並んでいるが、その中何冊か購読してみたが、観察基準に於いて無意識だろうが基本的な過ちを犯していると言える。
1. それは日本や欧米先進国の常識で以て観察、分析、総括しているからと断言できます。
2. 災難の基準がまるで異なる。例えば現中国が1949年10月1日の建国以降だけでも、1958-60年の大躍進政策の過ちにより、2-3000万の人々が餓死したと言われるが、国としては別段崩壊の危機には至らなかった。1966-1976年の10年余にわたる“文化大革命”により、経済は停滞し動乱で殺害された人々は数百万と言われたが、国の屋台骨がぐらつくことはなかった。一方では、1-2名であろうと外国(人)により殺害されれば、大騒ぎとなる。何故だろうか?
3. 中国は有史以来分裂と統一が頻繁に繰り返され、“内戦”により人口が半分以下になることも何度もあったくらいで、殆どの中国人の深層心理となっている。「中国は人口が多すぎる」と親しい中国人は平気で言うし(公式発表の人口以外に少なくとも約5000万の無戸籍人口がある)、交通事故に遭遇しても見知らぬ人達の災難なら笑って見ていられる。以前紹介したが長江の大洪水では、分洪政策と称して武漢の西方200㎞(直線距離)の沙市南方4-50㎞地点の分洪区で、堤防を故意に決壊させ武漢などの大都市を守ることが慣習となっている位である。少し詳しい中国地図なら「分洪区」と明記されているのが探せるでしょう。長江上流の四川省西部を流れる辺りは金沙江と呼び、更に上流の青海省に入ると通天河と呼ぶが、1998年の夏にこの辺りから武漢辺りにかけて長期間大雨が降り、その流水の高峰の推移を報ずるテレビの報道はまるで、赤道付近で発生しフィリピン東方辺りで北上する台風情報の様であった。
尚武漢付近での流量は何と一秒間に5万㎥と云う日本では想像できない水量であった。
4. 何度も強調してきたが、全ての植物、動物は環境に多大な影響を受けるが、人間も例外ではない。縄文時代より周囲が海で囲まれ、災害が多く左程資源も豊富でない島国で生活して来た我々日本人は、見知らぬ人達にも親切且勤勉で、いざと言う時には一致団結し、刻苦奮闘するのが風俗習慣にもなっている。中国人からすれば日本では儒教教育がされているようにも見えないのに、孔子の教えが浸透しているように見える。日本人の仕事ぶりは神経質と思えるほど緻密であり、不思議でならない。
5. 1960年代に北京等中国各地で仕事をしていた時、沢山の新中国成立前の解放闘争を主題とした映画を見せられたが、「三大規律八項注意」(注:具合的内容はネットで検索可能)に代表される解放軍のモラルレベルの高さが、映画の中随所で表現されていたが、それらは本当だったと年配者から聞かされ、又事実1960年代中国で散見した一般大衆のモラルの高さは日本より上だなと感じたくらいである。当時の状況に就いては、独裁体制は左翼右翼に関係なく、やがては腐敗堕落に陥りやすいという歴史的に証明された状況がまだ現れる以前の状態で、政府高官を初めとする支配階級も比較的清廉で、多くの人々も将来に夢を持っていた状況だったと言えよう。事実年配者は、「当時は誰もかれも貧しくて、自分だけがいい思いをしようなどとは思いも及ばず、助け合い精神が行き渡っていた」と証言している。

 然し今では中国の旅行者が日本の地方に行っても、貧しい人々の生活ぶりを目にすることがなく、日本こそ社会主義国家ではないかと思う程だが、今後への予測を次回述べましょう。

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