皆さんは中国のデパートやスーパーが近年著しく豪華になり、照明も工夫されていてゴミ一つなく綺麗で感心したことがあるでしょう(特に一階の化粧品売り場)。然し、トイレに入って故障したままの便器が幾つか放置されており、全体としてあまり清潔でもなくガックリした経験はないでしょうか。
又、列車の駅に切符の自動販売機が設置されたのはいいが、故障中との張り紙があるのを何度も目撃しているでしょう。私は大連開発区で3年間居住し、市内に行くのに何度も軽軌列車を利用したが、振動が殆どなく、高架で見晴らしも良く何時も快適な思いをしたが、残念ながら自販機は故障中で一度も利用できず、並んで窓口で切符を購入しました。
   可能な限り現場を見るのは、私のモットーで極力工場等見学する様心がけ、1965年の初訪中以来、500以上の工場(大部分は国営だった)、研究所、大学等施設を参観しました。何処でも設備の稼働率が悪く、聞くと「50年代の設備だ、60年代のものだ」と、使い物にならないと言わんばかりでした。勿論、日系企業では斯様な情況はありませんでしたが、ご苦労は多いと推察されます。
  メンテナンス軽視の中国の社会的風潮に対して、前者に対しては「トイレの清掃と保全は、品管の第一歩」と、後者に対しては日本でも古い設備は沢山あるが、「改造したり、調整したりして有効利用をしている」と、繰り返し説明・強調してきましたが、日系企業でも徹底は容易でなく、正に根競べでした。
  扱て、標記の件ですが、受注が減少したり設備が故障したりすると遊休設備の増加になりがちですが、その管理状況は如何でしょうか?注文が急増した場合の即応体制はあるでしょうか?とかく、いざと言う時、設備の使用現場と設備部(会社により、保全部、維修部、保養部等と呼称はまちまちだが)が責任のなすり合いをしがちです。自分達の責任と分っていても、彼等は容易には認めないでしょう。
そこで、少なくとも次の3点は、しっかり実行されているか点検し、不十分なら即対処して下さい。
 1.使用現場と設備部との間で、責任分担協約を作らせておく。日常の点検や手入れは使用現場で、修理や改造は設備部が受け持つのが当然だが、日常の点検・手入れの範疇と設備部の定期的点検の範疇を明確にしておき、責任のなすり合いが生じたら、責任の境界線は双方の責任だと通告、強要すべきです。ネジの緩み、接触不良、水平が出ていない、潤滑油の注油の過不足、電圧変動が過大、室温のばらつき等々、初歩的原因があまりにも多いのに、其の都度驚いたものです。
以上難しそうだが、使用現場では手に負いない場合は、当然ながら即設備部に救援要請する(必要になってあわてる場合あり)。 要請あり次第設備部は直ちに可能な措置を採る、として置けばよい。
 2、設備部は各設備の管理リストを持っているはずだが、毎月及び随時検査し、その結果を記入すると共に、病院のカルテの如く、修理や手入れをした時はそれも洩れなく記入させておく。
 3、同様に使用部門も管理リストを保持させ、日常の手入れ情況を記入させ、問題が生じた場合、その原因追究がし易い様にしておく。
  絶えず設備の管理記録を更新し、何時でも使用(又は転売)可能なようにして置くべきですが、改造予定なら、その旨明確にし、どうにもならず不要なら直ちに廃品処理にして、無用な設備に工場建屋や倉庫を(一部分でも)占拠させないことです。私の手元には幾つかのサンプルを保管してあるが、明示する必要は無いでしょう。何か困っている情況があれば、ご遠慮なくメールして下さい。
  当然ながら、購入後保証期間内にあるなら、納入業者又は製造業者に対処方要求すべきです。関連事項としては、5月12日付の「教育シリーズ(21)経済損失は請求せよ」をご参照下さい。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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