私の「幹部教育の要諦」第10項は<幹部には、率先垂範を要求し、実態を時々点検すべし。「頭を労するのは幹部で、作業者は体を動かせば良い」と考える、古い考え方の幹部がまだまだ多いのが中国。>現場の作業員を集め、又は係長、班長クラスの下級幹部を集め、得々とお説教をし訓示を垂れる一方、自分では動かず他の部長クラスの幹部同士で、無駄話や何やら&情勢分析をしている幹部は、今尚少なくなく、皆さんも多少に関わらず目撃しているでしょう。彼等の心理状態は、「自分はより深く、より広く情況を把握しており、更にそれを深め広くして部下の管理、指導に活かせばよい」と思っています。

又、企業トップの新たな指示や方針表明を聞いた時には、会議ではすんなりと 理解した振りをするが、同僚の上級幹部同士で、トップ指示や方針の由来の分析に余念がありません。品質や生産性に直結する工程管理の変更等があまり徹底しないので、本社から応援の専門家を招請し現場指導をお願いすると、又異なる反応があるものです。表面的には感嘆し賞賛するが、影では「あんなに手足を動かす作業まで 指導幹部がやるべきでない。作業員達にバカにされる」と言い合ったりしています。全ての幹部とは言いませんが、これ等は長年の風俗習慣的悪癖であり、容易にはなくなりませんが、対策として、本田自動車の本田宗一郎氏が、時々作業服を 着て現場に出向いて、現場技術者と一緒になって、改善改良に取組み「技術の本田」となった様な、事例紹介も効果があるでしょう。

十数年前ですが、JICAの林業関係での技術援助の仕事の手伝いをしていた時代の話です。ある日100km以上離れた山中にある苗畑視察に出向いた時、現場を管理している現地林業局(局と言っても日本の係り程度)の女性の局長は、40歳未満の 美形で、何を勘違いしていたのか知らないが、厚化粧をした上大都会でのパーティにでも出席する様な服装で現われ、我々日本人全て大いに驚いたが、同行した中国の林業関係者は、どうも極自然に受け止めていた。又、日本から派遣された、林業関係技官の話では、自ら木登りもして剪定作業要領を教えようとすると、「止めてください、言葉で言ってくれればよい」と毎回の如く言われたとのことであった。一方黄土高原で治山治水の仕事をした時は、北京林業大学に拠点を置いて仕事をしたが、千キロも離れた山中に行っての仕事だったが、同僚の教授連中は現場の作業者共々、手足を動かしていた。やはり日本と長年交流してきた大学の先生方は、違うなと関心した次第である。

飽きずに懲りずに、 対処して行きましょう。


柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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