2012年 1月の記事一覧

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12年01月13日 12時20分05秒
Posted by: yanagizawa
 私の幹部教育要諦の第5項では、<思い切って任せ、結果責任を問おう。一々指図したのでは責任追及は出来ない。>と述べました。
 当内容については、「合点がいかぬ!」とお思いの方も相当多いと推察されます。「細かく説明、指示しないと、仕事がいい加減になる。責任感も薄い」と嘆く、日本人経営者や指導幹部は少なくない。然し、中国人幹部や社員からすると、「我々をあまり信じてくれない。問題が見つかった時、指示された通りやったのに、我々の手落ちや努力不足にされる」との不満もある。結果として、多くの日本人は“必要”以上に忙しくしており、残業や休日出勤をしている一方、中国人幹部は勤務中でさえ、油を売っているのも少なくない。
 多くの中国人は、日本人と較べてあまり緻密でなく、周到でもない側面は確かにあり、日本人は「神経質だ!」とか、「ケチだ!」との不満を吐露する言葉は、私自身何度も耳にしている。又、集中力を長時間持続できない傾向もあり、「時々息抜きが必要だ!」と正直に言う者もいた。
 対策としては、やはり思い切って任せ、小刻みな指導や指示は止め、辛抱強く待つ姿勢を保つことが必要です。少しでも上手く行けば褒めたたえ、予想以上であれば激賞することで、彼らに使命感や仕事への喜びが生まれてきます。そうでないと、日本人ばかり忙しくなり、何事に依らず指示を求められ、結果としては工程管理や工場内流通の改善等もなかなか進まず、品質向上や生産性向上にも悪影響があるでしょう。思い切って任せたことに対しては、当然ながら結果責任を問うべきです。
 指示や指導が徹底せず、日本の本社や客先からクレームが来た時、「俺の説明が不十分だった」と関係幹部の前で言うくらいの度量を持ちたいものです。そうすれば、「そうだ!そうだ!」とはならず、言葉で謝るのが嫌いな中国人幹部も、心中では「我々のせいで、申し訳なかった、なんとしても改善しよう」と思わせることになります。

柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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12年01月08日 12時50分42秒
Posted by: yanagizawa
幹部教育の要諦の第4項では、<品質向上の基本:5S活動や「品質を作りこむ」運動は、日本での事例ではなく、中国での誰でも分かる事例で以って指導しよう>と述べました。「日本での事例ではなく」と強調したのは、中国人の自尊心を考慮し、更に「日本と同等レベルは所詮無理だよ、とか日本人ほど給料貰ってないよ」との言い訳が中国人の 心中に発生するのを防ぐ為です。次に中国での事例や参考事項を紹介しましょう。
1.1978年末に改革開放の大号令が下ると、待っていました、と言わんばかりに 中国人の潮流が金銭至上主義の方向に流れ始めました。モラルの荒廃を心配した全国婦連や総工会が中心になり、政府がバックアップして1981年より、「五講四美」が始まりま したが、熱心だったのはその後5-6年だったと思います。現在も毎年3月は運動促進 月間のはずですが。「五講四美」の「講」は「重んずる」とか「大切にする」意味ですが、「五つの気配りと四つを美しく!」程度の意味。五講とは文明(文化的、知的)、 礼貌(礼儀作法)、衛生、秩序、道徳(モラル)で、四美とは心霊(心持ち)、語言  (言葉)、行為(立居振る舞い)、環境の四つですが、更に詳しくはネットでも検索 可能で、中年以上の中国人なら誰でも知っている筈ゆえ、聞いてください。これを辛抱強く推進すれば5S活動を補強することになるでしょう。
2.職場には解放軍入隊経験者が一人や二人は居るはずです。解放軍内部の規律遵守や 整理整頓は、社会が混乱した文革時代でも立派でした。私も北京在住の外国人    “紅衛兵”とし、広州の白雲部隊(駐屯基地)や天津近郊の楊村部隊を都合4回見学し たことあり、現場で確認しました。入隊経験者に話をさせ、解放軍に学べ、と言うのも 効果あるでしょう。
3.伝統的玉器や刺繍工場も何度も見学したことがあるが、一人ひとりの作業員が品質に強い責任感を持ち仕事をしています。給与等特別な待遇があるわけではないが、   やり直しがきかないことと、仕事への誇りです。これも「品質を作り込む」実例として 利用可能でしょう。
4.デパートの売り場も最近では随分綺麗になりました。特に、一階の化粧品売り場には、ゴミ一つ落ちていないでしょう。5S活動とは言わなくても、整理整頓も徹底されているでしょう。その他、中国人社員に良い事例を探させて、社内会議などで発表させ、 更に自社への導入も検討させ、実行させるのも良いでしょう。やる気や責任感醸成に大いに役立ちます。「信賞必罰」の具体化として若干のご褒美と、場合により罰則を課す必要もあるでしょう。

柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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12年01月04日 16時38分30秒
Posted by: yanagizawa
当ブログの最初に紹介した、私の「幹部教育の要諦」第3項では、<5年後、10年後の自分はどうなっているか、各人が夢を持てるよう道程表を作れ。会社発展計画と個人のレベル(職位)や所得向上計画をリンクさせよう。>と記したが: 
 1.中国人は勤務する外資系企業等には、愛着心や忠誠心があまりなく、少しでも待遇が良い会社が求人しているのを知ると移ってしまう。又、会社でよく頑張っているので、目をかけていたが、ある日突然退社届けを出してきて、しばらくするとライバル会社とも言うべき会社を起していた、と言う様なことも随分と耳にした。この様な事実は確かにあるが、それは多くの業種や企業も同様だと認識するのは誤りだと確信します。中国人社員の気持ちで考えれば、イエスマンが重用される、人事異動や昇進、昇給が不合理、不平等とか、職場改善提案が無視されるとか、所詮上級幹部は日本人で独占されている等々、 不満を抱いていることがあるのも留意する必要があります。
 2.企業には、当然なこととして会社発展計画があるはずです。例え日本の本社に5年先、10年先までの計画がなくても、やはり目標を「発展計画」として作成し、場合に よっては、個人の職位や給与レベルの目標明記の計画表を、本人の職場の見えるところに張り出して置くのも一考でしょう。阿吽の呼吸とは、暗黙の了解と言うのは、本来中国人は苦手であり、給与等オープンにする風潮があること、更には大言壮語するのが大好きなことも、大いに利用すべきでしょう。会社の計画変更の際、手足が縛られることにはなりません。
   私が武漢で見学させて頂いた会社は、シリーズ(2)で記した生産性倍増、給与レベルは周囲の企業の2-3割アップとの施策と共に、各自に夢を持たせて人事を行っており、待遇や職場に対して不満で退職する者は実質上ゼロとの事でした。従って熟練工等も計画通り育成されているとのことです。
 3.ある日突然退社するとの“確信犯”だけは、防ぎようがないでしょう。然し、よく観察すれば、分かる場合が多いと思います。企業の傾向として、原材料の入手が容易であり、販路も競争力次第で(特に価格面で)容易に見つけられる製品を生産されている場合やサービス業では、十分ありうる事として、腹をくくっておくべきでしょう。

  皆さんのご意見やご批判をお待ちしています。

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