刺身にこだわるのが飲食の商売では大事なことです。
お客様から見て一番わかりやすいからです。
それに先付けの後、必ず出てくるのが刺身。

刺身の評価=その店・調理人の評価になります。

ところが世の中の進歩が激しくなり、お客様の目も肥え、ニーズも多様化しています。個々のお客様によって意見が大きく違ってきています。

例えば、ブライダルでの料理提供の場合、通常は鯛のお頭付きが当たり前のように出されてきました。しかし、地域によっては天然では出せず、養殖で対応されている場合もあります。

お客様によっては養殖は使わないで下さい。天然で新鮮なものを出して下さいとおっしゃいます。

一方、別のお客様は、鯛でないとダメです。意味がないとおっしゃいます。

正解などないですから、担当者の方はたいへんだと思います。一回一回お客様ごとに何が良いのか確認しないといけません。

だから今の世の中では正解や常識というのはなく、お客様の嗜好に合わせたり、おっしゃっている通りにすることが大事だと思います。

私もどっちが良いですか?と尋ねられても返事に困ります。
やはりお客様の顔を見て、判断するしかないです。

調理長の判断で、これで良いだろうと思って出していると、手痛いしっぺ返しが来る可能性があります。魚のこと、調理のことは俺が一番知っている、そう思っておられる調理長さんほど落とし穴にはまります。

これだけ皆がいろんな経験、体験をすると、もう何が良いのかわからなくなります。

自分が知っている事が常識ではないです。お客様の欲していることを素直に実現することが商売です。

間違っても「お客様、それは違います。○○が普通のやり方です。」なんてことは言わないように注意して下さい。

お客様の言っていることが正しいと思って、素直におっしゃる通りのものを出されてはいかがでしょうか?