韓国のサムソン電子が、バックライトに発光ダイオードを搭載した液晶テレビに経営資源を集中して大躍進している。高価値商品と位置付けしているため、販売価格が下がりにくく利幅が大きい。北米市場では薄型テレビ全体の平均価格がソニーを超える原動力になっている。テレビCMを見ていると、日本のメーカーが、薄型テレビの世界市場で大活躍しているように思えるが、実際は、サムソン電子が24%で最大シェアを有しており、続いてソニーが15%、LG電子が12%、シャープは8%となっている。上位4社で世界市場の約60%を占めている。

選択と集中で大躍進しているサムソン電子に対して、「世界まるごと市場にする戦略」と「家まるごとパナソニック戦略」を推進するパナソニックの戦略は、まだ軌道に乗っていない。特に、海外売上高比率は46%で、ソニーやサムソンの80%に遠く及ばない。要素技術が高度化し、すそ野が広がるにつれて、地域全体がある技術に特化し、産業がクラスター化する傾向が顕著になっている。ソフトウェア産業は米国に集中し、薄型テレビは韓国と日本がクラスターになっている。グローバル市場でのクラスター化が、ますます顕著になっていくと予想される。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)