集客型エンターテイメントのチケット市場規模が2008年は、前年比1.2%増の1兆1600億円で2000年以降では、最高の市場規模を記録し、2009年は横ばいになると予測される。現状の消費不況下でもエンタメ市場は、単価の低いジャンルを中心に健闘している。落語や漫才を始めとして、エンタメ業界での活躍を夢見る若者が増加し、劇場に押し寄せる若年層が増加している。少子化の恩恵で、お小遣いが増えた子供たちの市場への貢献度は大きい。子供の養育費の負担が減少し、その分ゆっくりと観劇を楽しみたいと考える夫婦も増加し、高齢化がシニア世代の観劇を支えている事実も見逃せない。

目に見える商品の代表は、高級ブランド商品といえるが、ブランド志向の高い日本市場でも、高級ブランド品の売り上げの低下が激しく、高級品を販売するデパート業界の売上不振も理解できる。米国では、高級ワインの値引き合戦が市場の潮流になっている。技術やサービスが目に見えない商品の代表ともいえるが、もっと柔軟に考える必要がある。映画スターの演技力も目に見えない商品である。こう考えると、アクションスターとデビューしたが、誰もがうらやむジェームズ・ボンド役に終止符を打ち、様々の役に挑戦して演技力を磨いたショーン・コネリーの生き方の素晴らしさが理解できる。物質面での生活水準が高度になると、知性にフォーカスした文化が台頭し、目に見えない商品のマーケティングが重要になってくる。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)