銀行・証券を融合した事業を目指す三井住友と、独立した証券会社の立場を守りたい大和の経営戦略の違いから、10年前に両社が法人向けに設立した合弁会社である大和證券SMBCが大和の100%子会社になる。今春、三井住友がシティグループから、日興コーディアル証券の買収を決めて、個人向け市場に本格的に乗り込む戦略を選択した時に予想された結果である。提携相手が強力な競争相手となって、直接競争が避けられない状態になると、合弁会社を設立した趣旨が全然違ってくる。

合弁事業は、うまく機能すれば1社単独では達成できない大きな成果が期待できる。しかし、ビジネス環境の変化によって、合弁事業がなんの変化もなしに、いつまでも持続することはありえない。事業領域が重複したら、躊躇せずに合弁を見直す必要がある。せっかく設立した合弁会社だからとウェットに考えるべきではない。合弁企業の平均寿命は米国では7年、日本では17年と言われている。合弁事業は、短期間にある目標を達成するために他社と手を組むといった経過措置であるから、形態の変更や解消は必ずしも失敗を意味しないというドライな考え方が必要である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)