ビジネスでは、成功している競争会社に対抗するのに、競争会社と同じ戦略をとるべきではない。孫子の兵法の基本は、「強を避けて弱を撃つ戦略」を展開することである。しかし、大抵の場合、安全を追求して、成功している競争会社と同じ戦略をとって、結果的には、競争会社の最も強力な強みに対して攻撃をしかけることになっている。あの会社でうまく行っているのだから、わが社でもうまく行くはずだと思ってしまう。

どのような成功戦略も、各社がもつ固有条件があるから、成功戦略となっていることを忘れてはいけない。市場で販売している目に見える商品だけでなく、技術力、販売力、開発力、サービス力という目に見えない商品も、企業によってすべて違う。サブプライムローン問題も、各証券会社が同じように、同じような戦略で、同じように大きな利益を追求した結果、全社が奈落の底に落ちていったともいえる。競争会社と同じ戦略は、真似をされる企業にとっては名誉なことかもしれないが、真似をする企業にとっては、最悪の戦略であることを知る必要がある。(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)