液晶カラーフィルターや空気洗浄器などを製造していた、青森県にある有力企業が民事再生法の適用を申請した。この企業は、社長が22歳のときに創業し、大手電気メーカーの下請けとして、プリンターなどの部品の生産でスタートした。円高による納入先メーカーの海外生産移転などの影響で、90年代前半に業績が悪化。そこで、「技術力に特徴のない単なる下請けでは、生き残れない」と決意し、大胆な先行投資によって、96年に液晶カラーフィルターの量産化に成功した。

その後は、拡張につぐ拡張で最盛期にはグループ会社17社、24工場にまで膨れ上がった。そして、お定まりの、事業の多角化をすすめる。ところが、05年に拡張した主力工場の稼動が約2年遅れたのである。その2年間に、市場環境は激変した。そして、環境の変化に適応できずに、経営が破綻する。この企業の一番の問題点は、借入金に依存した財務体質の脆さにある。負債額197億円のうち、金融機関から借り入れた金融債務が150億円を超えるというから驚く。資金の使途と源泉とは、つねに相関関係にある。つまり、源泉が足りなければ、それと同額だけ使途を削る必要がある。設備投資を行いたいならば、その分だけ、売り上げを増加させて、源泉を確保する必要がある。この原則を無視すると、経営破綻という現実に直面する。つまり、売り上げが落ち込んでいるのに、設備投資をするのは、まったく原則を無視した資金運用である。

ビジネスの上昇時には、このチャンスを逃してはいけないとばかり、土地を購入し、工場を建て、機械を購入して、生産能力の増強をはかる。しかし、売り上げを伸ばすことにのみ腐心して、資金運用を無視してしまう場合が多い。つまり、長期資金の裏付けのない設備投資をしてしまう。これは、非常に危険な戦略であることを認識する必要がある。(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)