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人手不足でも派遣時給の下落続く 16カ月連続前年割れ

日経新聞

派遣社員の平均時給が下がり続けている。大手求人サービス会社が毎月まとめる派遣社員の平均時給は、2016年10月から前年割れが続く。

幅広い業種で優れた経験者の獲得競争が激化し、採用が難しくなっている。このため人材不足が顕著な介護やIT(情報技術)分野では時給が低い未経験者の募集を増やして対応せざるを得ず、平均時給を押し下げている。

 エン・ジャパンが運営する派遣社員の求人情報サイト「エン派遣」の掲載案件は、1月の三大都市圏(関東・東海・関西)の募集時平均時給が1502円と前年同月より2.2%低い。前年実績を下回ったのは16カ月連続だ。

 平均時給が下がる背景にあるのは、時給が低めの案件が増えているためだ。なかでも案件数の伸びが大きいのは介護の分野だ。エン派遣の1月の案件数は前年同月の5.5倍。5割増程度だった事務や販売・サービスと比べて急増している。
介護分野で未経験者募集が急増している(宇都宮市の介護施設)

 募集が多いのは特別養護老人ホームや通所介護施設での仕事だ。
 専門派遣会社のスタッフサービス・メディカル(東京・千代田)などは「有資格者の新たな確保は難しい」と判断。資格を持つスタッフの周辺業務を補助する未経験者について、シニア層の主婦にまで範囲を広げるなど、募集を強化する。調理やリネン交換、レクリエーションなど資格がなくてもできる働き手の募集が活発になっている。

 介護の平均時給は有資格者を含んでも1210円と、全体平均を300円近く下回る。介護現場の派遣労働では資格や経験がない人の時給は有資格者より100~200円安い傾向があり、平均時給を押し下げている。

 介護に次いで未経験者の求人が多いのは、システムエンジニアなどIT系の分野だ。IT分野では経験がない人にもできる専門性の低い業務の分業が進んでいる。

 代表例がアプリケーションの動作確認や評価の業務だ。エン・ジャパンでIT系の「テスト・評価」の平均時給は1月に1739円。IT系の職種分類で最も安い。

 画面を見ながらシステムの不具合を探すといった比較的定型的な作業が多く、経験がなくてもできる。このためアプリ開発会社が自社の従業員の残業時間を減らす目的で作業を切り出すなど、「現場の生産性を高めるために、定型業務を派遣社員に任せる動きが目立つ」(エン・ジャパン派遣会社支援事業部の沼山祥史氏)。

 社内向けの端末保守や運用管理窓口の業務も未経験者の募集が目立つ。主婦に特化した派遣会社のビースタイル(東京・新宿)では、就業期間に空白のある主婦を派遣する例も増えている。

 ただ、好調な景気を反映して人手不足が続くなか、未経験者の確保を増やす場合でも、今後は「時給の引き上げしか手段はない」との声も出始めている。

■事務職は一段高も

 派遣社員のなかで最も人数が多いのは事務職だ。総務省の労働力調査によると、事務職で働く派遣スタッフは2017年末時点で全国に約45万人。派遣全体の3割を占める。

 エン・ジャパンの「エン派遣」でオフィスワーク系の募集時平均時給をみると、1月に1525円と前年同月より0.8%上昇した。13年11月以降、前年実績を継続して上回っている。一般事務だけでなく、人事やマーケティングなど専門知識が必要な分野の補充人員としてニーズが高いためだ。

 事務職派遣社員の一部は、4月から改正労働契約法に基づき無期雇用契約に切り替わる。さらに10月にも改正労働者派遣法で無期転換する派遣社員が出てくる。派遣料金の上乗せが見込まれ、時給の上げ圧力となりそうだ。

(商品部 杉山麻衣子)
[日経産業新聞 2018年2月23日付]

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