3年派遣時代、メリット享受へ情報集め遠慮せず
派遣社員の明日(下)
日経新聞

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 参院で審議中の派遣法改正案で派遣社員が得られるメリットとして、塩崎恭久厚生労働相は(1)派遣社員がキャリアアップするための教育訓練の充実(2)派遣期間終了後の雇用安定措置(3)派遣先労働者と派遣社員の均衡待遇の強化――の3つを挙げた。改正後、派遣で働こうと考える登録希望者は、どう動けばメリットを享受できるのか。

社員のスキルアップのために勉強会を定期的に行う(東京都港区のボールド)
 3日の夜8時、東京・赤坂のIT技術者派遣会社ボールドの会議室に、派遣先から社員たちが次々と集まってきた。同社が全額負担で開く12回のリナックスソフト開発講座の受講者だ。普段はソフトウエア開発会社に勤務する北島浩司さん(40)は「派遣先で使っていない技術を学び、自分の総合力を高められるのはありがたい」と話す。
 ツアーコンダクター派遣の老舗、TEI(東京・港)も研修に力を注ぐ。4月に契約社員として採用し添乗を始めた12人に、同社第一事業部長の槙光義さんが5~10年後を見据えたキャリア研修を開いた。参加した井上理央さん(21)は「実務は添乗で学べるが、業界の未来やキャリアについては研修がないと考えにくい」と感想を話す。
 ボールドは登録型でなく自社の社員を派遣する形。TEIの契約社員も更新回数に制限はない。技術者派遣大手、フォーラムエンジニアリングの技術サポート部ゼネラルマネージャー菊地大さんは専門性の高い派遣会社が長期雇用を前提に研修に力を入れるのは「社員の技術が高度で、派遣先のニーズに合えば合うほど他社より優位に立てるから」と話す。

 だが、派遣契約のたびに登録者を雇用する事務系派遣の世界で、ボールド並みの教育メニューを用意している派遣元は多くない。ある事務系大手派遣元の広報責任者は「専門学校との提携を含め千数百の講座がある」とし、6月にはOA対応、秘書・マナー、貿易実務など60以上の教室を開いたと話す。しかし1回2千数百円と有料だった。
 改正法で新設される「段階的かつ体系的な教育訓練の実施義務」の費用について、厚労省職業安定局幹部は「当然、無料と考えている」と話す。無料の範囲は省令や指針を待たねばならないが、有料講座ばかりで法律に適合するとは考えにくい。
 同省は今後、教育の実施状況に注目する考えで、派遣会社がどれだけの講座を用意するかで競争が起きるだろう。これは登録希望者が派遣元を選別する際の重要なチェックポイントになる。
 次の着眼点は、派遣元が雇用安定措置にどのくらい本気で取り組むか。改正法案は1人の派遣労働者が同一の派遣先に就労できるのは最長3年までとする。3年の継続派遣が見込まれる派遣社員について(1)派遣先に派遣社員を直接雇用するよう求める(2)次の派遣先を紹介する(3)派遣元で無期雇用にする――などが義務付けられる。
 3年過ぎた派遣社員に、次の派遣先を用意するには、「派遣元の取引先数がどの程度あるかがものを言う」(小規模派遣元の社長)。大手の方が派遣社員にとって安全性が高くなる可能性がある。
 さらに5年後、派遣元が労働契約法の規定に沿って派遣労働者を扱えるか否かも予想する必要性がある。同法は、有期雇用の社員が1回以上契約を更新しながら同一会社に5年雇われると、6年目には、その派遣元で無期雇用への転換権が発生すると定めている。
 大手派遣元の広報責任者は、この3年後・5年後問題について「実際には派遣社員の多くが2年程度で派遣元を変えているので、本気で対応を考えている会社はあまりない」と明かす。
 塩崎厚労相は衆院で「どういう雇用安定措置を取ってきたのかインターネットなどで情報提供することを指針の中で明示する」と答弁した。改正後は情報が徐々に各社のサイトに載るだろう。登録希望者は見逃さないことが大切だ。
 3番目の均衡待遇の強化は安倍晋三首相が衆院で「派遣で働き続けたい人に向けた改正の効果」と強調した経緯がある。派遣社員が派遣元に説明を求めた場合、派遣元は同種の業務を担当する派遣先社員と均衡ある待遇をするため、どんな配慮をしたのか説明する義務を負う。
 見方を変えれば、派遣社員が進んで聞かない限り、均衡待遇の程度がわからない。3つの改正メリットを受けるには、登録希望者や派遣社員自身が自ら動いて情報を集めることが重要になる。3年派遣時代への対応は「遠慮しないこと」から始まりそうだ。(礒哲司、南優子)


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