前回の5月29日のブログで、米朝会談の結末はとどのつまりどうなるか記しましたが、6月12日の会談自体と言えば多くのメディアが報じ、論じている如く否定的側面も多く、あまり評価されず、軍事的緊張を続け一方ではののしり合っているよりは良かったと言える程度でしょう。遠い将来ではなく今後数か月以内にも起こりそうなことを、今回は述べましょう(人名の敬称省略)。
1、 国連決議により経済制裁が続いており、北朝鮮は「瀬取り」を含めいろんな制裁破りを試みているが、経済制裁によりもたらされたダメージは相当大きくなってきているでしょう。短期間に3度も金正恩が習近平に会いに行ったのも要は“助けてくれ”と云うことでしょう。
2、 今後予想以上に速く、北朝鮮は“非核化、ミサイル廃棄”の具体的行動を採るから見に来てくれと言うでしょう。勿論破壊する現場を見せたり、アメリカでも何処へでも持っていけと言ったりする対象はいくらでも再生産可能なものになるでしょう。一日も早く制裁緩和、解除、更には見返り援助が欲しいと云うのが本音でしょう。
3、 歴史的にも北朝鮮は偽装、隠匿をし、詭弁を弄するのは日常茶飯事であり(以前博物館の朝鮮戦争に関する展示内容に中ソの援助がなかったのを見せられたことを紹介したが)、中国の習近平だけでなく、韓国大統領にも泣きつくでしょう(表面は強そうに見せるが)。
4、 アメリカとのやり取りでは、北朝鮮の採る具体策が完全な非核化への道程として適正であるかどうか激しいやり取りが続くが、論争していて具体的行動がないままではまずいとして、結局は米側が妥協するでしょう。制裁緩和に対して残念ながら、米中韓だけでなく日本との間でも温度差が具体化するでしょう。日本が前のめりにならないかやや心配。
5、 中国は北朝鮮にとって経済面で圧倒的比重を占める国であり、中国にとっては北朝鮮が他の国々とは上手く行かず、「結局頼ってくるのはわが国のみ」が理想的であるとの思いでいるのは間違いないでしょう。あまり知られていないが、朝鮮族(高句麗、高麗)の支配地域は5世紀半ばより7世紀初頭にかけて(中国では宋、魏から隋朝時代)、吉林省の長春より170㎞北方の松花江迄、東は現ロシアのウラジオストック迄、西は中国遼寧省の営口迄達していたことがあり、現在も沢山の朝鮮族が中国東北に住んでおり、お互いに完全な外国との意識はないことにも留意する必要があろう。又ロシア極東地区には出稼ぎ労働者が沢山出ており、国連の制裁決議により、本当に全員帰国させたかどうか疑問である。
6、 中ロ共に大きな経済援助は与えず、日本や韓国にその任に当たらせようとしていることは間違いない。日本は先ずは拉致問題の解決、更に核とミサイル問題の解決を求めてゆくべきでしょう。北朝鮮の強がりを言っている期間はそんなに長くなく、どんと構えていけば良い。
尚、拉致問題の解決方法でも、北朝鮮はトリッキーな方法を採る恐れがある。それは日本政府が示している即時帰国を求めている拉致被害者を入れ替えてくる方法である。言わば人数合わせであり、要警戒。

尚数か月以内のことではないが、北朝鮮は戦前日本に併合されていた時代の“搾取”を補償せよと要求するが、日本が官民合わせてどれ程投資したか、教育文化面でもどれだけ貢献したか、否定的側面のみならず肯定的側面も併せて客観的に評価することを強く要求して、経済援助額の算定に当たるべきで、「1965年の対韓経済援助の約束額を現在の貨幣価値に換算して」と云うような、単純な考え方は避けるべきでしょう。


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