前回は、「マンション管理士法」の法制化についてまで見たが、その前に片付け
ておかなければならない問題が山ほどある。その一つに日管連所属の地方のマンシ
ョン管理士会のあり方である。

 マンション管理士の仕事は、顧問契約であれば、管理士自身が直接管理組合の理
事会や総会に出席しなければならず、一人で多くの管理組合を抱え込んでできるよ
うな仕事ではない。一人の管理士で稼げる金額は知れている。規約の改正がしょっ
ちゅうあるわけではなく、大規模修繕のコーディネートの仕事も10数年に一度であ
り、決してお金を稼げる職業ではない。

 他の士業は、補助者を多く使い、一人で年に数千万円、数億円を稼ぐ者もいる。
その代わり全然仕事の回ってこない者も多い。マンション管理士は、一人でできる
仕事の量は限られるから、多くの管理士に仕事が回ってくる可能性が高い。

 他の士業の場合、優秀な者に仕事が集中しても顧客には何の不便もない。ところ
が、マンション管理士の場合、仕事の性質上、顧客である管理組合は、優秀なマン
ション管理士に集中して仕事を依頼するわけにはいかない。

 ということは、マンション管理士全員が、仕事ができるように力をつけておかな
ければならないということだ。一人でできる仕事は限られているから、お互いが仕
事上のライバルだというものでもない(まだ、仕事の依頼が少ない現状では仕事の
取り合いもあるかもしれないが)。

 そういうマンション管理士の仕事の性質上、マンション管理士同士が横の連絡を
取りながら、情報や知識を交換し合って、マンション管理組合の要望に応えていか
なければならない。

 そのためには、マンション管理士の社会的信用を高めていかなければならない。
最終的には各マンション管理士の自覚が必要であるが、その前に、せめて、マンシ
ョン管理士の組織を明確にしていく必要がある。

 中央で折角日管連という組織が統一されたのだから、地方でも都道府県単位でマ
ンション管理士会を統一して、〇〇(都道府県)マンション管理士会と称する。日
管連と同じ一般社団法人から出発して、将来は公益社団法人にする。最終的には、
「マンション管理士法」を制定し、その法律上の法人に移行することを目指す。

 日管連としては、統一的な定款を作成して、各地方のマンション管理士会に対し、
これに従うように指導すべきである。そうしなければ、将来の法律上の法人に移行
することがスムーズに行かないものと思われるからだ。

 マンション管理士は、個人でその地方の管理士会に入会すれば、日管連の会員に
もなる。マンション管理士会は、会員の名簿を作成したり、会員の研修をしたり、
管理士の社会的地位の向上を図るために社会に情報を発信する。また、会から役所
の無料相談会に会員を派遣する業務等を行う。もちろん、会自体は営業行為をしな
い。これは公益社団法人を目指すのであるから言うまでもないことだが。

 そして、各マンション管理士は、個人で、または共同して、あるいは法人を作り
マンション管理士の仕事をする。これが、他の士業でもやっているごく当たり前の
会のあり方と会員のあり方だ。

 ところが、先にも述べたように、東京や大阪では日管連に加盟している会が数多
く存在する。法人もあればそうでないものもある。会自体が営業活動をしていると
ころもあれば、していないところもある。

 何よりも変なのは、会同士がいがみあっていて、会の悪口を言い合っている。自
分の会の方が他より勝っているような表現がホームページ等の表現で見受けられる。
営業行為で事務所同士が競争する場合ならともかく、日管連加盟の会同士で争うよ
うなことではないであろう。他の士会の人が見れば、あきれてものも言えないと思
う。全くばかばかしい状態だ。

 日管連も出来たばかりで、加入を申し込んだ以上加入を認めるということかも分
からないが、そのいびつな状態についてどう思っているのだろうか。このままでは、
マンション管理士のあり方は、国はもちろん、一般社会からも信頼されることはな
いと思う。
 次回に続く。

 ※一般社団法人エースマンション管理士協会のホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/

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