2009年 8月の記事一覧

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09年08月28日 21時12分25秒
Posted by: mansyonkanrisi
 区分所有者以外の第三者(マンション管理士や管理会社等)をマンションの
「管理者」とする方式を第三者管理方式という。

 管理者は、区分所有法上、共用部分の管理・保存、集会(総会)で決議された
事項の実行、区分所有者全員を代理し、区分所有者のため裁判の原告・被告とな
る。非常に強い権限を持ち、ほとんどの場合、管理規約では、理事長が「管理者」
にもなっている。

 ただし、管理組合が法人である場合には、法人が区分所有者全員を代理し、区
分所有者のため裁判の原告・被告となるなどするため、「管理者」の規定は適用
されない。この法人には必ず理事と監事を置かなければならないが、理事や監事
は必ずしも区分所有者である必要はない。

 そこで、管理組合が法人化されていない管理組合において、区分所有者以外の
者を「管理者」とする第三者管理方式が問題とされている。

 法律上は第三者を管理者とすることはできる。国土交通省の平成20年度マンシ
ョン総合調査によると、第三者管理を実施しているのは全体で約5.1%ある。投
資型マンションやリゾートマンションに多いといわれている。
 ちなみに、管理組合が法人化されているマンションは全体で約11%である。

 一般のマンションでも、区分所有者の高齢化、賃貸化、管理への無関心化等の
進展により、適正な管理が行われていないということで、マンション管理に精通
した第三者を管理者と選任し、マンション管理を行わせる事例が増えてくると予
想されている。

 国土交通省もこのような事態に無関心ではいられないので、平成20年4月に「マ
ンション管理の新たな枠組みづくりに関する調査検討報告書」を公表した。
 また、平成21年3月には、社会資本整備審議会が、「分譲マンションストック500
万戸時代に対応してマンション政策のあり方について」と題して、国土交通大臣に
答申を行っている。
いずれにも、マンションの第三者方式についての記述がある。いずれも膨大な資
料の中のわずか1ページ程度の記述であり、問題点を明らかにしたという程度のも
のである。

 要するに、管理者に大きな権能が集中することにより、極めて効率的な管理の実
現が期待できる反面、区分所有者でないこと等から、区分所有者の意思を離れて、
不適切な管理が行われるおそれがある。また、チェック機能が十分働かなくなる危
険性があるとか、区分所有者が管理者となる場合と比較して、新たな管理コストが
生じるとかの問題点を指摘している。

 そして、今後は、第三者管理が機能している事例の実態を把握し、第三者管理を
導入しようとしているモデル的な管理組合に専門家の派遣等の支援等を行い、事例
集の取りまとめ等を通じてノウハウを蓄積することが必要としている。

 また、マンション管理士、管理業者等の団体において、適切な研修や人材育成を
行うことも有益と考えられ、自発的な取組みも期待されるとしている。

 ここでは、マンション管理士と管理会社双方を第三者管理者として期待している
ようである。確かに、第三者管理の実績は今のところ管理会社のほうが圧倒的に多
い。それは、マンション管理士の制度ができてから、まだ10年も経過していないの
だから当然のことである。しかし、管理会社が、管理と「管理者」と両方を兼ねれ
ば、あまりに、権限が集中しすぎないか。管理会社の専横が今でも言われているの
に、本当にそれでいいのか。

 我々マンション管理士としては、「管理者」として十分に信頼できるという実績
を積み重ねて行かなければならない。

 ※エースマンション管理士ホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/  
 
09年08月25日 20時41分07秒
Posted by: mansyonkanrisi
  8月23日(日)に茨木市主催の「茨木市分譲マンションセミナー」があった。そ
こで、「マンションにおける住民コミュニティ形成」と題して、梶浦先生(大阪市
立大学名誉教授)の講演会と、「地上デジタル放送への移行について」の情報提供
が総務省の担当者からあった。

 地デジ対応については、このブログで2度取り上げてあるので、参考にしてほし
い。ここでは、マンションにおける住民コミュニティ形成について考えたい。これ
に関連して、5月23日のブログに「マンションの防犯対策」として書いたことがあ
る。今日は、先生の講演会でのお話しなどを参考に書いてみたい。

 梶浦先生については、私が言うまでもなく、ご存知の方も多いと思う。私も先生
から活字や講演会を通じて何度も教えを受けている。
 標準管理規約でも、管理組合の業務として、「地域コミュニティにも配慮した居
住者間のコミュニティ形成」を揚げている。これによって日常管理の円滑化に寄与
し、大規模修繕等を実施するときの合意形成にも寄与することになる。

 引越して来たときは、向こう三軒両隣に挨拶をするというのが常識だった。マン
ションであれば、その階の並びに挨拶するということだろう。ところが、いつの日
からか、そういうこともなくなり、隣は何をする人ぞということになっているので
はないか。隣近所と付き合うことなく、気楽(?)に暮らすことがマンションライ
フの良いところだと言われていた。

 確かに、人それぞれライフスタイルが異なり、それぞれがそれに適した生活をし、
それぞれが個人のプライバシーを侵害されないように生きるためには、マンション
生活は適している。しかし、マンションにおいては、住んでいる家自体がお互いの
共有となっている部分が多く、しかも、壁一つ隔てて他人が住んでいる。他人との
関係を無視して生活できない。むしろ、マンションにおいてこそ、隣近所、居住者
の連帯が必要だ。

 お互いのライフスタイル、プライバシーを尊重したうえで、隣近所や居住者同士
が挨拶を交わし、顔見知りになり、ある程度の情報交換が必要だ。隣が顔見知りで
あれば、相手の立場が理解でき、少々の騒音も我慢できるし、相手にやんわりと注
意もできる。それが全く知らない人であれば、我慢の限界も低く、怒りが内にこも
り爆発するということもある。

 先生もお話しされていましたが、住民がお互いに挨拶をするとか、顔見知りにな
ることが重要だ。そのためには、ウエルカムパーティをやるのも良いのではないか
と言われていた。管理組合が新しく入居した人を招待して、お茶とケーキでパーテ
ィをして、そのマンションのいろいろなことを話す。お互いの家族構成やどこから
引越してきたかなどを話すだけでも、お互いがフレンドリーな気持になる。

 高齢者向けの食事会、おしゃべり会など。留守番・食事作り・散歩・買物・子供
の送迎など生活相互扶助活動。不用品の交換会・バザー、子供会廃品回収。共同清
掃、草抜き、水撒き。夏祭り、バーベキュー大会、運動会、月見、餅つき大会、記
念植樹、バスツアー、カラオケクラブ、囲碁・将棋同好会、写真クラブ、ハイキン
グクラブ、テニスクラブ、ソフトボール部等々。先生がたくさんあげている。

 そのマンションの特徴に応じて、できることを実行したらどうだろう。

 その他色々な提言をされていました。詳しくは、また先生のお話しを聞いてく
ださい。

 肩肘張って孤高を気取っても、所詮人間は誰かの世話になるものだ。人生を豊に
過ごすには、フレンドリーに暮らすことが良いのではないか。

 ※エースマンション管理士ホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/  
09年08月13日 20時53分13秒
Posted by: mansyonkanrisi
 マンションの管理組合の役員として、理事と監事がいる。昔からこの役員になり
たくないという人が多く、今でもこのことは深刻な問題である。

 多くは、公平を期して順番にしているマンションが多い。しかし、管理組合の組
合員(マンションの区分所有者)がマンションに住んでいなくて(空室)、しかも
遠方に住んでいるため、現実に役員ができないとか、会社の所有(会社の寮)とな
っているため、しょっちゅう居住者が変わり、役員となれないとか、賃貸している
ため、マンションの管理に関心がなく、役員を事実上拒否しているとか、組合員が
高齢のため、現実的に役員ができないとか、様々の理由から役員を選ぶのに苦労し
ているマンションが多い。

 そこで、中には異例中の異例であるが、マンションの賃借人を役員としている管
理組合もある。確かに、法律(区分所有法)上は、役員は、区分所有者に限らない。
管理組合が第三者を役員として選任することはできる。

 しかし、国土交通省の標準マンション管理規約では、管理組合の役員は、組合員
に限っている。しかも、現にマンションに居住している組合員に限っている。標準
管理規約は、あくまで標準的なものであり、すべてこれに拘束されるものではない。
だから、法的には、賃借人を役員にすることはできる。

 それでは、何故標準管理規約が、役員を現実に居住している組合員にすることが
良いと考えているのか。そこには合理的な理由がある。

 まず、居住している組合員としているのは、現実に居住している者でなければ、
マンションの管理状況を把握するのが困難だからだ。この点は、マンションに居住
している賃借人でも管理状況は把握できるから同じだと言えなくもない。

 しかし、管理組合の役員は、快適なマンションライフを実現するために、マンシ
ョンの管理について重い責任を持っている。それは、所有者であればこそ適任とい
える。管理組合の役員になるということは、法律上は、管理組合と委任ないしは準
委任契約関係にある。マンションの管理を管理会社に委託している場合でも変わら
ない。
 したがって、役員としての任務については、管理組合に対して善管注意義務を負
い、これに反して管理組合に損害を与えると、管理組合に対して損害賠償の責任を
負うことを知らなければならない。

 少々の損害については、管理組合が損害賠償を請求することは現実にはないであ
ろう。それはお互い様であるからだ。しかし、損害が大きければそういうわけには
いかない。現実に損害賠償の問題が生じる。

 そういうことをも考慮して、標準管理規約は役員をマンションの組合員に限るの
としているのだ。損害賠償について、その役員のマンションが担保になるからだ。
最悪の場合、マンションを差し押さえて、競売することによって、損害を賠償して
もらうことができる。賃借人にはこのような担保はない。

 そうは言っても、現実に居住している組合員だけが役員となるとすると、居住し
ていない人との不公平、居住者の高齢化などがあり、役員問題は深刻である。

 そこで、国土交通省は、昨年の4月からマンションの「管理者」を組合員以外の
第三者に委託する方式を検討している。「管理者」とは、区分所有法上の表現であ
り、管理組合の理事長をイメージすればよい。

 国道交通省は、「管理者」として、マンション管理士や管理会社を想定している
ようだ。少なくとも、賃借人よりはましであろうが、色々問題も多い。

  いずれにしても、管理組合の役員問題は、早急に解決を図るべき問題である。

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09年08月07日 21時18分04秒
Posted by: mansyonkanrisi
 大部分のマンションがいずれ修繕積立金の不足の問題に直面すると言われている。
このことは過去に何べんも指摘してきたが、非常に大事なことなので、何べんも言
う。

 分譲会社は、新築のマンションの分譲時に、修繕積立金を低く抑えている。分譲
会社としては、その方が販売しやすいからだ。だいたい6,000円ぐらいに設定して
いる。これは横並びであり、何の根拠もない。このままの金額では、実際に必要な
修繕積立金が不足することは目に見えている。

 マンションの管理会社も、管理費の増額は提案しても、修繕積立金の増額は提案
しない。これを提案すると、管理費の減額を要求されるおそれがあるので、だんま
りを決め込んでいる。

 新築のマンションもあり、10年経過したマンションもあり、20年、30年経過した
マンションもある。それぞれのマンションにおいて、将来どれぐらいの修繕積立金
が必要であるかをしっかりと把握する必要がある。

 そのためには、マンションの長期修繕計画をしっかりと立てる必要がある。この
点については、財団法人マンション管理センターにおいて、その作成方法等を支援
しているので、是非参考にして欲しい。インターネットで簡単に検索できる。

 同時に建築士等の専門家に依頼して、しっかりした長期修繕計画書を作成するこ
とが必要であると考える。また、定期的に、一度作った長期修繕計画の見直しも怠
ってはならない。

 この長期修繕計画ができてこそ、今後の修繕積立金がいくら必要かがわかってく
る。そして、修繕積立金がいくら不足しているかがわかれば、その対策を立てなけ
ればならない。

 そのために、修繕積立金を一気に増額して毎年均等な額を積立てるのか、段階的
に増額して積立てるのか、一時金を積立てるのか等、その対策を立てておかなけれ
ばならない。小規模マンションであれば、自主管理に移行して、余った管理費を修
繕積立金に回すことも選択肢の一つである。

 マンションはちゃんと修繕して管理すれば、100年ぐらいは軽く持つと言われて
いる。今から、修繕委員会を立ち上げるなりして、マンションの住民が、自ら修繕
積立金の不足問題に取り掛からなければならない。

 マンションを終の棲家とする人が多くなっている現在、マンションの住民が積極
的にマンションの管理について取り組まなければならない。他人任せにすると、必
ず将来に禍根を残すことになる。

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09年08月04日 20時57分56秒
Posted by: mansyonkanrisi
 今はそうでもないようだが、弁護士は、机と椅子があれば仕事は誰かが持ってき
てくれた時代があったようだ。弁護士になりさえすれば、食っていけると。ただし、
弁護士になるための司法試験は、狭き門で、激烈な競争試験だった。

 大の大人が仕事もせずに、朝から晩まで、机に向かって試験勉強をしていた。
この人は、こんな司法試験に時間を費やさずに、会社勤めした方がずっと力が出
せるのではないかと思われる人もいた。

 私は、この試験に挫折して、バブル華やかなりし頃、宅建試験の講習をする会
社を作り、講師を企業に派遣し、その企業の支店・営業所で宅建の講習をすると
いう仕事をしていた。

 講師は、全員司法試験の受験生だった。専門誌で講師を募集し、東京、大阪、
福岡を拠点にして、そこから講師を派遣する。北は青森から南は鹿児島まで企業
の支店・営業所において、宅建の講習を行っていた。

 講師の応募の要件として、司法試験の択一試験を1回でも合格していることだっ
た。択一試験に合格しているぐらいであるから、一応法律の知識は備わっている。
後は、宅建の科目を自分で勉強しながら、講師としての必要な講習(研修)をす
る。

 講習のやり方等を十分説明してから、企業に派遣するのであるが、そこに、個
人の能力の差が出てくる。ここでの能力は、人を指導する能力、人を説得する能
力、人をやる気にさせる能力、であろうか。

 初めての授業の日から評判の良い講師もいるが、すぐに講師を変えてくれと言
われる講師もいる。その点企業は講師の評価については非常にシビアだ。

 一応法律の知識はあるのであるが、素人相手に、法律を分かりやすく解説する
ということがなかなかできない人がいる。自分も最初に法律を勉強したときは、
散々苦労して理解したはずである。それを忘れて素人相手にテキストの棒読みに
近いような講義をする奴がいる。いくら注意しても直らない。

 相手が理解しているかどうかは相手の顔を見ていれば分かるはずであるが、そ
れが分からない。  

 こいつは弁護士しかできないとい思われる奴がいるのだ。司法試験は、法律の
解釈をペーパーでテストする試験だ。その解釈だけは一応できるという奴が合格
する。そいつが、他には何の能力もないということは分からない。

 東京、京都、大阪、福岡にある国立大学を出た人もたくさん講師として雇って
いた。もちろん、私大を出た講師もたくさんいた。その講師としての能力は、世
間でいう大学の評価とは全く連動していなかった。

 多くの講師たちが、今弁護士をやっている。弁護士としての評価は、今やって
いるその仕事の内容によって評価しなければならない。決して、過去に出た大学
で評価してはならない。

 世間では聞きもしないのに、過去の出身大学を名乗る奴がいる。それは、今の
あなたの仕事や立場とどういう関係があるのかと問いたい。20歳の前半に出た大
学が、30年、40年経った今のあなたを語るのに必要があるのかと言いたい。

 本当に今を語ることのできる人は、そういうことは言わない。今、何も語るこ
とのない奴に限って自慢げに話すのだろう。

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