2009年 12月の記事一覧

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09年12月28日 21時58分19秒
Posted by: mansyonkanrisi
 管理組合が管理業者(以下、管理業者はほとんど会社組織にしているので、管理
会社ともいう)に出納業務を委託する場合、現行の標準管理委託契約書は、①原則
方式、②支払一任代行方式、③収納代行方式を定めている。現行の方式の一番の問
題点は、「保管口座」の印鑑を管理会社が保管できることと、支払一任代行方式の
場合、「収納口座」に管理費の残額が積み上がるということである。

 適正化法の施行規則を改正して、来年の5月から新方式によることになった。別
に来年の5月を待たなくても、これから新しく管理委託契約をする場合、又は管理
委託契約を更新する場合に、新方式によることができる。

新方式は、以下に分類される。
イ方式  修繕積立金と管理費(以下修繕積立金等という)を「収納口座」に預
 入し、その月分の管理費用を控除した残額を翌月までに「保管口座」に移し換
 え、「保管口座」で預貯金として管理する方式。
※ 「収納口座」の名義は、管理組合(理事長名義等を含む。以下同じ)でも管理
 業者でもよい。「保管口座」の名義は管理組合である。
※ 「収納口座」の名義が管理組合名義でも、管理業者が通帳と印鑑(キャッシ
 ュカード等を含む。以下同じ)を同時に保管できる。
※ 「保管口座」の印鑑を管理会社が保管することは禁止(例外は、管理者が選任
 されるまでの短い期間。以下同じ)。

ロ方式  修繕積立金は直接「保管口座」に預入し、預貯金として管理され、管
 理費は一旦「収納口座」に預入し、その月分の管理費用を控除した残額を翌月
 までに「保管口座」に移し換え、「保管口座」で預貯金として管理する方式。
※ 「収納口座」の名義は、管理組合でも管理業者でもよい。「保管口座」の名
 義は管理組合である。
※ 「収納口座」の名義が管理組合名義でも、管理業者が通帳と印鑑を同時に保
 管できる。
※ 「保管口座」の印鑑を管理会社が保管することは禁止

ハ方式  修繕積立金等を「収納・保管口座」に預入し、その「収納・保管口座」
 で預貯金として管理する。管理費もこの口座から拠出する方式。
※ 「収納・保管口座」の名義は管理組合である。
※ 「収納・保管口座」の印鑑を管理会社が保管することは禁止

 上に見たように、改正法は、現行の一番の問題点だった「保管口座」の印鑑を管
理会社が保管することを禁止し、「収納口座」に管理費の残額が積み上がることを
防止した。改正のきっかけとなったのは、多額の金銭が預貯金される保管口座(一
任支払代行の場合には収納口座も)の印鑑を管理会社が保管したため、横領事件が
多発したからだ。

 ただし、保管口座の印鑑を管理組合が保管していても、管理会社が理事長をだま
して印鑑を押させて横領したという事例もあるので、この点は理事長がしっかりし
なければならない。

今回の改正では、管理会社の保証についても明確にした。
 上のイ、ロの方式の場合、管理会社は保証契約をしなければならない(多くは高
層住宅管理業協会と保証契約をしている)。ただし、①修繕積立金が管理組合名義
の「収納口座」に直接預入される場合又は管理業者(集金の委託を受けた業者を含
む)が修繕積立金等を徴収しない場合で、かつ、②管理業者が管理組合を名義人と
する「収納口座」の印鑑を管理しない場合には、保証の必要はない。

 つまり、管理組合名義の「収納口座」の印鑑を管理会社が管理する場合には、保
証が必要である。また、管理会社名義の収納口座を設けた場合も保証が必要である。
 管理組合名義の「収納口座」の印鑑を管理会社が管理しなくても、管理会社が集
金会社に委託して修繕積立金等を徴収する場合にも、保証が必要である。

保証の意味について
 保証の額はイ方式の場合には、管理費と修繕積立金の1ヶ月分以上の額である。
ロ方式の場合には、管理費の1ヶ月分以上の額である。
 この場合の保証は管理会社が破産しても、管理会社が「収納口座」の印鑑を保管
しているため、管理組合のお金である「収納口座」の預金を取り戻せないことがあ
るからだ。

 この保証は、管理会社が横領等の不正行為をした場合の担保ではないことに注意
してほしい。
 なぜなら、管理会社が数億円の不正を行った後に破産しても、1ヶ月分の保証で
あるし、管理会社が不正行為をせずに破産した場合でも、1ヶ月分が保証されるか
らだ。また、管理会社又は管理会社の社員が数億円の横領をしても、会社が破産せ
ず、会社が横領額を支払えば保証は実行されないのだ。

 今回の改正は保証額が明確でなかったので、「1ヶ月以上」と明確にした。

 今回の改正の最も重要な点である不正行為の防止の措置は、「保管口座」の印鑑
の管理を管理会社にさせないこと、それに「収納口座」に残額が積み上がらないよ
うにしたことである。現に今までの不正行為は全て「保管口座」の預貯金を横領す
るという事例である。

 今回の改正の趣旨が管理会社の不正の防止だから、「収納口座」の印鑑も管理組
合が保管すべきであるなどとの主張を聞くことがあるが、改正の趣旨を全く誤解し
た見解である。法自体が「保管口座」と異なり、「収納口座」の印鑑の保管を管理
会社に認めているのだ。管理会社に「収納口座」の印鑑を管理させるべきかどうか
は、不正行為の防止とは関係なく、管理組合の実情を考慮して決めるべきことであ
る。

 ちなみに、現在、原則方式が約3割、支払一任代行方式が約5割、収納代行方式
が約2割の割合で行われているようだ。つまり、7割以上の管理組合が「収納口座」
の印鑑を管理会社に保管させている。今回の改正はむしろこの現実を前提に「収納
口座」を取り扱っているのだ。支払の迅速で円滑な業務を無視できないのである。

 ただ、「収納口座」の印鑑を管理会社に保管させた場合には、管理組合の理事は、
法の定める適正な運用がなされているかどうかを常に監視する義務がある。そのこ
とは従来から変わらない。
 管理会社が法に違反し収納口座に数ヶ月分の修繕積立金等を残したまま破産した
場合でも、管理組合がそれを取り戻すことができないときは、1ヶ月分しか保証さ
れないことは先に述べた通りだからである。

 今回の改正で、毎月末日までに、管理会社は、管理組合にその収支状況に関する
書面の交付をしなければならいことになった。

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09年12月18日 20時29分57秒
Posted by: mansyonkanrisi
 市街地のど真ん中にある普天間飛行場の一部施設を辺野古沖に移転することが前
政権で合意されていた。数々の事故が発生したので、近辺の住民の危険を考えての
移転だ。

 しかし、新政権は辺野古沖移転について見直そうとしている。それは、移転先の
自然破壊のおそれがあることや、何よりも米軍の施設を沖縄にだけ加重に負担を強
いている現状を考えてのことだ。

 しかし、アメリカは以前に合意しているのだから、いまさら見直しには応じられ
ないと主張している。来日したアメリカの国防長官は、日米関係が対等などという
意識は全くないような態度だった。前政権は、アメリカの要望を二つ返事で聞いて
いたので、少し強い態度を取ればあわてて言うことを聞くとでも思っていたのだろ
う。

 新政権は対等な日米関係を築くということで、アメリカに言うべきことは言おう
としている。アメリカの従属国ではあるまいし、当然のことで遅きに失したきらい
があるぐらいだ。

 それにしても、日本のマスコミはアメリカの言うことを早く聞かなければ日米関
係が大変なことになるという論調である。それに比べて世論は必ずしも急ぐ必要は
ないというのが多数だ。マスコミより、国民の世論の方がよっぽど健全な気がする。
国民は、その程度のことで日米関係が根本から崩れるはずはないということを知っ
ているのだ。

 米軍施設の国外移転が難しいなら、日本には数多くの地方空港がある。そこに分
散して移転したらどうだろう。事前の利用予想人数を水増しして建設を進めた結果
多くの地方空港が赤字になっている。それを自治体が税金で補充している。その穴
埋めにもなる。関空や成田にも移転したらどうか。

 ところが、こういう話しになると、途端に地方議員や自治体の長からとんでもな
いという反論が寄せられる。沖縄にだけ米軍基地の負担を押し付けておいて、自分
ところには御免だという。地域住民のエゴによって反対するであろう移転について
反対をする。次の選挙がこわいのだ。議員等になることだけが目的なのだ。

 管理組合と管理会社との関係も委任契約ないしは請負契約であり、対等な契約関
係だ。ところが、どうも管理会社の言いなりになっている管理組合が多いような気
がする。

 平成13年にマンションに関する法律が整備された。そろそろその考えがマンシ
ョンの住民にいきわたってもいい時期である。しかし、まだまだ古い考えがはびこ
り、マンションの管理は管理会社に任せておけば大丈夫と勘違いしている人が多い。
そろそろ、その考えを見直そう。

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09年12月10日 19時46分59秒
Posted by: mansyonkanrisi
 政府は、公共事業の「建設」から「維持管理」へと大きく政策を転換していく立
場を明らかにしている。道路、橋、ダム、空港、港湾等の建設に力を入れて、補修・
点検ををおろそかにしてきたため、危険な構造物が多いという。

 日本の公共事業が造ることのみに熱心で、「維持・補修」などの地味な作業には
関心を持とうとしない政治家と官僚のせいだと指摘されている。

 政治家は自分の手柄にしたいし、官僚にとっては予算のパイを確保することが省
益拡大につながるからだと言われている。ここには国家の大計や国民の利益などへ
の配慮はみじんもない。

 建設業者も新しく造ることにのみ熱心で、維持・補修に転換できていない。それ
は国の政策がそうなっている以上仕方のないことだ。

 同じことが、マンションの建設にも言える。国の住宅政策は、新しくマンション
を建設することのみに向かっている。景気対策の一環として税制等で優遇して促進
している。それ自体がすべて悪いことではない。

 ただひたすら新築することだけに目を向けて、中古の住宅に対する国の配慮が足
りないことが問題だ。マンションも築50年を過ぎると建替えを考える。国の政策が
そうなっているから、自治体の考えも同じような考えに傾いている。民間がそれに
従っているのは当然といえる。

 マンションはちゃんと補修・管理すれば軽く100年は持つといわれている。それ
を半分も満たない期間しか使用せず、取り壊すということは無駄以外のなにもの
でもない。

「スクラップ&ビルド」の繰り返しはそろそろ止めよう。しかも、マンションを
含め600万戸以上の住宅が余っていると言われている。ここらで、中古マンション
を有効に利用する方向に国の住宅政策の転換が必要だ。国の援助によって促進して
ほしい。

 若いサラリーマン夫婦向けに中古マンションを整備して供給すべきだ。仕方なく
値段の高い新築マンションを買い、重い住宅ローンに苦しむことのないようにしな
ければならない。

 マンションは、間取りの変更が容易だと言われている。建物を支える構造体は変
更できないが、間仕切りの壁などをすべて取り払うこともできる。若夫婦向け、バ
リアフリー化で高齢者向け、単身者向けなどに変更して、売買や賃貸市場に容易に
出るような政策を進めるべきだ。ようやく新政権になって、「新築より賃貸・リフ
ォーム」に転換したが、期待したい。

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09年12月04日 14時18分27秒
Posted by: mansyonkanrisi
 建物自体の高齢化も問題だが、マンションに居住されている区分所有者の高齢化
が問題となっている。国が政策を進めるときには一定の線を引いて決めざるを得な
いので、75歳以上を高齢者と考えているようである。しかし、マンションにおいて
は一律に線を引くわけにはいかない。

 高齢者のコミュニティ参加の問題、孤独死の問題、バリアフリー化の問題等があ
るが、ここでは、管理組合の役員の問題について考えてみたい。

 よく相談を受けるのは、管理組合の役員は輪番としているが、「高齢者にも順番
にしたがって役員を引き受けてもらうべきかという問題」、「高齢を理由に役員を
回避した場合に、役員のなり手が少なくなって困っているという問題」である。

 基本的には高齢者に役員を引き受けてもらうべきだと考える。病気等でどうして
も無理であれば別だ。しかし、それは高齢者に限ったことではない。

 80歳や90歳でもかくしゃくとした人もいれば、30歳や40歳でもたよりない奴が
いる。高齢者だということだけで、役員から排除すべきではない。

 役員は複数いるわけで、それぞれの役員の役割も異なる。役員同士が話し合って
それぞれの役割を決めて、高齢のため困難なことがあれば、他の役員が助けてやれ
ばよい。調子が悪く役員会に出席できないときは、役員会の議事録を届けるついで
に様子を見ればよい。

 そんなことをいちいちしなければならないということは、他の役員の負担が増え
て大変だという考えもあろう。しかし、30代や40代の働き盛りの人が役員になっ
ても、なかなか役員会に出席できず、同じようなことが行われているという。高齢
者でも同じように考えればよい。また、代理出席の方法も考えればよい。役員の負
担の軽減などは、マンション管理士の活用を検討したらどうだろう。

 高齢者のなかには、自分が役員になることによって他の役員に迷惑をかけるとい
うことを心配して辞退を申し入れる人もいる。それは高齢者特有の慎み深さなのだ。
そういうときには、自分たちが助けるから一緒にやっていきましょうと言ってほし
い。それは居住者間のコミュニティにも通じる問題だ。

 日本はこれから高齢化がどんどん進んでいく。高齢者は経験も豊富だし、知恵も
ある。この経験や知恵を埋もれさせていくのは大きな損失だ。マンションの役員は
特にハードな仕事をやるわけではなく、むしろ、高齢者にとっては適した仕事なの
だ。高齢者を排除するのではなく、参加させて活用しよう。会社の定年制などのよ
うに、年齢で線を引くことは良くない。

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