テレビでも良く耳にする「今だけ・これだけ・貴方だけ」は詐欺の代名詞なのですが、
「いつでも、どれでも、誰にでも」もビジネスではダメなのです。

例えば「立地が良く、店が綺麗で、美味しくって、接客も良くて、その上安い」飲食店は潰れちゃうのです。
これは、初めて商売をする経営者がやってしまい易い「悪い経営法」なのですが、
貴女は、どうしてだと思いますか?

そこを説明するには「トレード・オフ」と言う考え方をご理解頂く必要があります。
日本語で言えば「あちらを立てれば、こちらが立たず」とか「二兎を追う者は一兎も得ず」になるでしょうか、
有る条件を満たす時にには相反する条件は満たせないとすることなのです。

例えば「品質を求めすぎると価格が高くなる」と「価格の低下を求めすぎると品質が低下する」の関係や「失業率を下げようとすれば物価が上がる」と「物価上昇を抑えると失業率が上がる」にみられます。

つまり「あちらを立てればこちらが立たず」なんですね。

先程の飲食店は「立地が良く、店が綺麗で、美味しく、接客も良く、その上安い」でしたね。
「立地が良い」事は「家賃が高いと言う事であり、
「店が綺麗」なのは建築費用も高かった事を指し、
「美味しい」は材料費や調理費用がかかっているわけで、
「接客の良さ」は人件費がかかって居る事を指します。
それなのに、「安い」では、経営は成り立ちません。

ではどうするべきだったのでしょう?
そうです。「何かを捨てて何かを得る」のです。

先の飲食店を例に取れば・・・
◆「立地の良さ」が捨てがたいなら、家賃がかさむから店舗改装費は安く済ませる。
◆「美味しさ」が捨てがたいなら「接客の良さ」を捨てて人件費を下げましょう。
◆「立地の良さ」は捨てて、材料費に金をかけて味で勝負する。
◆「立地の良さ」を活用して「接客の良さ」と「味の良さ」で「高価格販売」を実現する。
他にも方法は沢山あります。

でも、アレもコレもと欲張っても、結局目的である利益に結び付きません。

この点は、ラブホテルを経営する時も変わりません。
「すべての曜日」「すべての時間帯」「すべての客層」「可能な限りの高価格」と欲張るのは危険です。
自社の立地や規模、グレード、周囲の商業動向、景気の動向など色々な要素が絡むのですが「何かを捨てて、何かを得る」勝負勘と言う」経営手法が必要なのです。