宿曜とは、弘法大師、空海が翻訳、もたらした宿曜経(「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経」)を
歴代の密教徒などが研究した秘伝の東洋占星術です。

謂れは今から3000年前、文殊菩薩が著したもので、初めはインドで暦として生まれ、その後、
密教占星術に取り込まれて中国に渡り、不空という僧が翻訳した「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶日善悪宿曜経」が基となり、
中国宿曜道となって、道教の概念も取り入れられ、唐で完成したのではないかと言われているそうです。

かつては、この占星術を宿曜道と呼び、この占星術をなりわいとするものを宿曜師(すくようじ)と呼びましたが、
すでにあった陰陽道の陰陽師(おんみょうじ)と勢力を二分したそうです。

西洋占星術と同じく、宿曜占星術でも、太陽が1年(12ヶ月)間で運行する軌道を12等分し、1ヶ月ごとに「宮」があります。
羊宮、牛宮、夫妻宮、蟹宮、獅子宮、女宮、秤宮、蝎宮、弓宮、磨宮、瓶宮、魚宮の12宮です。
これだけを見ると、西洋占星術の12星座に似てますが、意味合いは全然違います。

27宿は月を基にし、12宮は太陽を基に定められているのですが、「太陽に属する6宮」と「月に属する6宮」に分けられ、
また、それぞれに7曜(エレメント)があてはめられます。
これらは太陽周期による期間を表すのではなく、生まれ日の属性を示すファクターなのです。

月は約27.3日かけて天球を1周しますが、宿曜はその27日間の一日一日をそれぞれ27宿星にあてはめて
その日に生まれた人の性格、資質、運勢を占います。
したがって、一日違えば宿曜は違い、年によって、同じ月日の生まれでも宿星と曜日が違います。

宿星は、月の軌道上にある27の星座の名前がついていますが、この月齢と星や曜日の関係に加えて、
地球上の森羅万象の相関関係を究めつくした二十七宿は、我が国では調停の行事や、戦国武将の戦略にも重宝され、
その的中率が高いため、当時は幕府の命で、一般にはお止め流になりました。

宿縁を調べて、相手との関係のあり方やこれからの推移が判ったり、
日々のあり方や注意すべき点がわかるのが、宿曜論なのです。

普通、宿曜運用には、三九の秘宿法を用いて、業日(生まれ日の宿から9日目の宿)から始まる一週間を、
「暗黒の一週間」と呼んで、注意するのですが、七曜陵逼の期間には、運用が異なります。

七曜陵逼の期間とは、曜日が宿を圧迫し犯す期間とされ、吉凶が逆転します。

この期間、業・栄・安・成・友・親の宿日は、吉が転じて凶となり、
衰・危・壊の凶宿は、吉宿に逆転するとされています。

また、命(生まれ日の宿)と胎(生まれ日から18番目の宿)の宿日に、
厄難に遭う危険があるとされます。

七曜陵逼の期間で最も懼れることは、「六害宿」です。

命宿(誕生日の宿)には、財産を失い災厄を招く。
意宿(誕生日の宿から3日目の宿)には、悲しみ苦しみを招く。
事宿(誕生日の宿から9日目の宿)には、災禍・災難を招く。
克宿(誕生日の宿から12日目の宿)には、財職を失い、勢力失墜を招く。
聚宿(誕生日の宿から15日目の宿)には、財を失い、別離を招く。
同宿(誕生日の宿から19日目の宿)には、一族の争いと財産の消耗を招く。

それぞれの害宿には、不運・不幸を招く因となる、避けるべき行動があり、
例えば聚宿では、夫婦喧嘩・親子喧嘩・浮気・見合い・プロポーズ・デートの申し込み・
ラブレター・趣味の集まり・出版・記者会見・知人の紹介・計画の変更などが、避けるべき行動になります。

2012年の宿曜陵逼は、4月と8月から9月にかけての2期間だけでしたが、
2013年では、かなり頻繁にありますね。^^;
かつて政権交代が起こったのも、この宿曜陵逼の期間で、とかくイレギュラーな事象や因縁の生起が起こりやすい期間です。

2013年では、宿曜陵逼は以下の期間となります。
2月26日から3月11日。
3月26日から4月21日。
5月10日から5月19日。
6月9日から6月16日。
11月26日から2月22日。

東方、観世音菩薩は六害宿の難を避けしめ、普賢菩薩、文殊菩薩は羅刹日の難を避けしむとありますが、
密教ですので、秘密の意味が隠されていて、これらの菩薩の知恵の意味合いを調べると、なるほどと得心できますね。^^