暦を買うと、暦の下段に、「●日」と記してある日があります。

「受死日(じゅしにち)(じゅしび)」と呼ぶそうで、暦の下段に「●」の印で表されることから黒日(くろび)ともいうとか。

この日は最悪の大凶日とされ、この日には他の暦注は一切見る必要がないという注釈が
ついてました。^^;。

他の暦注にある、十二直や九星、宿曜あるいは同じ暦下段の吉日なども一切構わず、
如何なる吉も真っ黒けに「●」と塗りつぶしてしまうとは、まさに最凶最悪、
凶悪のブラックホール日やあ。。(笑)

この日に病を患えば、死に至るとまで言われる日です。^^;
おちおち風邪も引けやしないが。(笑)
病気見舞い、服薬、針灸、旅行が特に凶とされていますが、葬式だけは差し支えないとしていますね。w

受死日の決め方は、他の多くの暦注と同様、節切りの月と日の十二支によって決まります。
その割には、他の暦注を見る必要なしと言われる事由が見当たらない。^^;

節切りとは、暦注の日取りを節月によるもの、すなわち、二十四節気の節気からの干支や日数で決めるもので、俳句の季語の分類も、この節切りによるものです。
例えば、節切りによる正月は「旧正月節」と呼ばれ、立春から啓蟄の前日までとなります。

受死日の配当は節切りで、以下のようになっています。
旧1月節は戌の日。 旧2月節は辰の日。 旧3月節は亥の日。 旧4月節は巳の日。

旧5月節は子の日。 旧6月節は午の日。 旧7月節は丑の日。 旧8月節は未の日。

旧9月節は寅の日。 旧10月節は申の日。 旧11月節は卯の日。 旧12月節は酉の日。

例えば、2012年9月をみると、9月7日が白露で「旧8月節」に入り、未の日を選べば、
9月7日、19日、10月1日が●日となります。
9月19日も10月1日も、「六曜」では大安、「十二直」では「ひらく」日ですが、
真っ黒けに悪日とするとか。^^;

そもそも、節切りは二十四節気から正確に太陽との軌道、公転周期を計るものですが、
それをこのような十二支の日に配当する意味と意義が全く不明です。><

暦下段で、受死日(黒日)の次に凶日とされ、全てのことに凶とされるのは、十死日
(じゅうしにち)です。
暦によっては「十し」と書かれるもので、「じっしび」と読まれることもあります。

「十死一生の日」の略で、「十死一生」は「漢書」外戚伝にある成語で、ほとんど助かる見込みがないこと。
九死一生をさらに強めた語ですから、生きる見込みなく、極めて危険で、助かる見込みのない日というわけですね。^^;

「十死日」は、特に、戦闘・嫁取り・葬送に悪いとされていますが、「受死日」と違い、葬式も差し支え
ありとされます。

受死日の配当も節切りで、以下のように、酉・巳・丑の繰り返しになっていますよ。

旧1月節は酉の日。 旧2月節は巳の日。 旧3月節は丑の日。 旧4月節は酉の日。

旧5月節は巳の日。 旧6月節は丑の日。 旧7月節は酉の日。 旧8月節は巳の日。

旧9月節は丑の日。 旧10月節は酉の日。 旧11月節は巳の日。 旧12月節は丑の日。

例えば2012年10月は、8日が二十四節気の「寒露」で旧9月節入りです。
丑の日を選べば、10月19日、31日が、「十死日」となりますね。

はてさて、これも各節月が、何ゆえ酉・巳・丑の西方金気三合の十二支と組み合わせて、
十死一生の日となるというのか、全くもって、不可解千万で、意味不明です。
-- 「受死日」も「十死日」も、ともに暦注下段(れきちゅうげだん)の選日です。

暦注下段とは、暦の最下段に書かれていた日々の吉凶についての暦注で、単に下段とも呼ばれています。
市販の暦では、下段ではなく行事の欄に記載しているものもありますね。^^;
これらの暦注下段には迷信的な要素が多く、その弊害も大きいことから、日本では朝廷・政府などから
3回も禁止され、また識者からの批判も多かったものですが、なかなか改められず、現在まで庶民の間で
根強く生き残っているモノなのです。

信憑性も理論的根拠もなく、迷信とされてなお、風習や慣習として残ったり、今もこよみを見る人に影響を
与えるのですから、なんとも強い「呪(しゅ)」でありますことよ。(ワラ)

どうせ、迷信に過ぎないのに未だ結婚や葬儀などの行事に呪縛を与えている、「六曜」の大安、仏滅、
友引を暦に書くのだったら、「下段」には、神吉、大明、天赦、月徳日などの吉日を載せておき、
良い縁起を増やすと良いと思うぞ。^^;