三隣亡(さんりんぼう)とは、よくカレンダーに載っていますが、縁起の悪い日として有名ですね。^^;

三隣亡は、八専や三伏、犯土、不成就日、一粒万倍日などとともに、選日(せんじつ)の一つです。
選日とは、暦注の中で六曜・七曜・十二直(中段)・二十八宿・九星・暦注下段以外のものの総称です。
撰日とも書き、また、雑注ともいいますが、そのほとんどは、十干十二支の組合せによってその日の吉凶を占うものです。

ただし、三隣亡については、その法則性は後で述べますが、干支の組み合わせも意味合いも、「三軒まで災いが及ぶ」というほどの理由や根拠が全く見当たりません。

三隣亡の由来も全く不明で、いつ頃から三隣亡の慣習が始まったかも判明してはいないのです。^^;
まさにお化けのような選日ですね。(笑)

実際、三隣亡は、江戸時代よりも前の古い暦注解説書には書かれておらず、江戸時代になってから見られるようになりました。

江戸時代の暦注解説書には、「三輪宝」と書かれ、「屋立てよし」「蔵立てよし」と注記されていたことが分かっています。
それって、現在とは全く正反対で、「凶日」ではなく「吉日」の意味で用いられていたことになりますね。w

真偽はあくまで不明ですが、江戸時代のある年に暦の編者が「よ」を「あ」と書き間違え、それがそのまま「屋立てあし」「蔵立てあし」と伝わってしまったのではないかという説があります。

三輪宝とは、「天」「地」「人」の三点(三角形)の中央に宝が位置することを意味します。
お結びの心だなあ。(笑)
後に、「三輪宝」が凶日では都合が悪いということで、同音の「三隣亡」に書き改められた経緯があるようです。

「三隣亡」(三件隣まで滅ぼし日)と表記されるようになってからは、この日に建築すれば、隣3軒まで火災が及ぶという俗信が生じ、棟上などの建築事は避けられるようになったものです。
山形などでは、この日家を建てると「向こう三軒両隣は滅びて、その家だけが栄える」なんて言われている地方もあるそうです^^;
まさに、言霊(ことだま)恐るべしですね。(ワラ)

いうなれば、典型的な迷信になりますが、仏滅・大安などの六曜とともに、今だに多くのカレンダーには記載されていますし、
棟上げ、屋立て、土起こし等は大凶とされています。

よって、建築業などでは今でも、安全無事とお施主さんの繁栄を願うため、着工日を選ぶのに、選日の「三隣亡」などは避けるのが常識となっていました。

地方や地域によっては常識として定着している歴史的風習があることですし、また縁起の悪いと言われる日に大事なことは避けるが良いという
常識的な世間知からも、建築ごとや引越し以外にも、三隣亡には結婚式などの祝い事を避ける向きがあるようです。

知らぬが仏で、無知なのに「大丈夫」と根拠なく言うのではなく、謂れと根拠を知った上で用いるのは、天地雲泥の差ですね。〔笑)

では、講座外、法則講座とうことで。(笑)

三隣亡の日取りは二十四節気を元にした節切りによる節月と特定の日の十二支の組み合わせから求めることができます。
節気から次の節気の前日までの間を1か月とする月の区切り方を節切り、その月を節月といいますが、節月は旧暦の月とは異なります。

三隣亡が巡ってくるのは、旧月1・4・7・10の節月は、亥の日。
旧月2・5・8・11の節月は、寅の日。
旧月3・6・9・12の節月は、午の日となります。

例えば、2012年8月は、7日が立秋で、旧7月節となります。
すると、7の節月は亥の日が三隣亡に当たり、8月7日以降、旧8月節の白露となる9月7日までは、亥の日の8月18日、30日が三隣亡となります。