だいたい、調査に回答する消費者が、自分の欲しいものをきちんと思い描いて日々を暮らしているわけではありません。

ソニー創業者の盛田昭夫氏は「マーケットの調査は必要なかった。大衆は何が可能なのかを知らない。それを知っているのはわれわれのほうだ」と語っています。

また、出版業界では、「読者の声を採り入れはじめた雑誌は早晩、休刊になる」という言い伝え?があります。(「休刊」とは業界用語で実質的な廃刊のこと)

「消費者に意見を聞くなど、バックミラーを見ながらクルマを走らせるようなものだ」とは、ロバート・ラッツというマーケッタの言葉。

こちらは、ゼロックス社の事例。まだ湿式コピー機しかなかった時代、現在では当たり前の、しかしコストの高かった乾式コピーが受け入れられるかをゼロックス社はマーケティング調査しました。

その結果は圧倒的に「安価な湿式コピーをやめてまで買いたくはない」という反応でした。しかし、ゼロックス社はあえてこの調査結果を無視し、乾式コピー機を発売しました。その判断が正しかったかどうかは、いまや問題にもなりません。

今度は国内の事例。花王がおこなった「健康エコナクッキングオイル」のマーケティング調査で、買いたいと答えた人は10%にも達しませんでした。しかし、花王はこの結果とは関係なく発売し、商品は大ヒット。被験者は、新しい商品をうまく理解できなかったのです。