2012年、小売業の売上動向が発表された。

・全国スーパーの売上高は既存店で前年比1.9%の減少で16年連続。

 (日本チェーンストア協会)

・食品スーパー売上高は既存店で前年比1.6%の減少。

 昨年12月は1.3%の減少。(日本スーパーマーケット協会)

・全国百貨店売上高は既存店で前年比0.3%の増加。

 (日本百貨店協会)

・全国コンビニストア売上高は既存店で前年比0.3%の減少。

 客数は0.4%減だったが、客単価は0.2%増加した。


百貨店のみが既存店売上で前年比を維持出来たが、

その他の業態は前年実績をクリアする事は出来なかった。

百貨店は新店が見込めない中で、

既存店の改装に力を入れ効果を上げることが出来た。


2013年1月調査の日経消費DI業況判断指数は

・マイナス21と前回の10月より1ポイント悪化したが、

 3カ月後の業況見通しは4ポイント上昇しマイナス13。

・スーパーはマイナス5ポイントで前回より9ポイント上昇、

 百貨店はマイナス9ポイントで前回より11と上昇し、

小売り業界は春先に向かって景況は改善すると見ている。

(日経消費DI:四半期毎に消費関連企業を対象にアンケート調査し、

 各項目で消費が良いと答える企業が多いとプラスポイントになり、

 反対に悪いと答えればマイナスポイントになる。)

しかし、消費者の収入が増えている訳ではなく、

本格回復には時間がかかるとの見方は多く、来年の消費増税も重荷になる。


新年度に向かって、各企業の営業方針を示す記事が出ているが

1、低価格へのこだわり

 牛丼の吉野家は安値にこだわり、業界最安値の¥250牛丼を展開し、

 消費者の節約続く中で、低価格の追求は続く。

 しかし、同社の業績は12年3~11月期は最終赤字に陥った。


2、差別化政策のこだわり

 中食のオリジン弁当はコンビニとの差別化の為に、

 店舗の最新鋭のグリルを導入し、肉や魚が素早く焼き上がり、

 店内調理の割合を高めて出来たて感にこだわる。

 同社はイオン店内の惣菜に出店を来期も100店予定しているが、

 既存店昨年比は減収になっており、注文を受けてから製造する

 ホットモットなどは増収になっている。 


3、営業モデルの追求で差別化を図る

 イオンの小型スーパー「まいばすけっと」は

 コンビニと同規模でありながら、食品の構成比は95%で

 生鮮食品を含む品揃えと安さでコンビニやスーパーとの差別化を図る。

 半径300mに1500世帯あれば採算が合うモデルを構築する。


4、得意分野の強化で差別化を図る

 「銀のさら」で知られる宅配寿司最大手のレストラン・エクスプレスは

 高齢者向けの弁当宅配事業に参入する。

 経験のある寿司宅配に伸びている弁当宅配をプラスする事で

 更に自社の得意分野を強化して差別化を図る。

 食品宅配サービス規模は2010年に比べ約1割伸びる見通し。


5、垂直統合を生かして差別化を図る

 ファミレスのサイゼリヤは自社農場からの食材調達、

 自社の食材加工工場、自社物流までの一貫して手がける強みを発揮して、

 チェーン全体の運営効率を引き上げる。

 衣料や家具と違って多くの食材を使用する食品は、

 仕入れコストダウンが難しい中で、自社の強みに投資をして更なる差別化を図る。 

 同社の経常利益率は10.1%と同業他社の約2倍以上の水準。


国内消費ボリュームが落ちる中で、自店はどんな武器で勝負するのか。

NO1主義でなければ生き残りが難しい中で、

弱い部分は切り捨て、強みを更に磨いて強くすることで差別化し、

消費者に支持を狙うランチェスター戦略が生きてくる。


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net