社会保障と税の一体改革関連法が成立して、

現在5%の消費税が2014年4月8%、15年10月10%に上がる。

激しい価格競争が続くスーパー業界は、¥98均一や¥198均一など

商品に増税を反映させると、売上は一気に下がる。

オーバーストアで価格競争が激しく、「増税分を価格に転嫁出来ない」とする企業も出て、

優勝劣敗がより鮮明になって来そうだ。


イオンは公取がビールの販売価格を巡って酒類の卸3社に対し、

価格の見直しを求めたことに、「守るべきことは業界ではなく、消費者だ」と反論した。

増税分をスムーズに価格に転嫁出来ることを業界ではみているが、

イオンは「価格は小売りや消費者が決める」との姿勢で臨むと言っている。

増税分の一律転嫁はないと言う。


西友は生鮮食品のEDLPの対象アイテムを拡大すると報じた。

チリ産銀鮭甘口を1切れ¥79に値下げして12日売りだした。

価格は前より10円(11%)下げ、他店平均より約2割安い。

同社は親会社のウォルマートの商品調達力を生かし、

銀鮭に止まらず生鮮食品の値下げを拡大している。


大手スーパーの値下げ行為は、増税後に価格の優位性を一気に高めることを示唆している。


日本経済新聞が実施したエコノミストのアンケートでは

10人中9人が10月~12月の個人消費は前年比でマイナスになると答えた。

実質成長率は4~6月に0.3%だったが、7~9月に0.2%、

10~12月に0.1%と減速する見通しだと予測する。

経済成長の落ち込みによる製造業の減収が国内消費に影響してくる。


景気回復が期待された米国だったが日本同様に先行きは暗く、

米小売業は値引き競争による消耗戦に入っている。

そうすると強いのが世界大手のウォルマートであり、

既存店売上は今年四半期は連続してプラスを記録している。

ウォルマートがバイイング力で値引き攻勢をかけ収益を上げるにつれ、

資本力で劣る同業他社は追い込まれる構図になっているようだ。


国内消費が伸び悩む中、元気なシニア消費がクロ-ズアップされて来た。

第一生命経済研究所によると、60歳以上の消費支出は

2011年で100兆円を越え、日本の個人消費の45%を占めるまでになった。

総務省の家計調査を見れば、65~69歳の世帯支出は6月まで12カ月連続で昨年を上回る。


それに対応すべく、小売り各社は手を打っている。

・ファミリーマートは2013年から、新店の半分以上に「イ―トイン」コーナーを設ける。

 店舗を従来より2割程度広げ、入れ立てコーヒーや無料で無線LANも導入する。

 ブレンドコーヒーは1杯¥150程度で販売し、カフェとしてコンビニ利用を促し、

 シニア層を含めた客層の拡大を図る。


・ビッグカメラは8月から主要店舗に医薬・化粧品を扱う「ビッグドラッグ」を展開する。

 家電量販店の主要客層である中高年はダイエットや育毛関連のニーズが高く、

 有楽町店では初年度の売上が2割程度アップした。


・飲食店運営のユナイテッド&コレクティブは居酒屋「てけてけ」で

 惣菜類の持ち帰り販売を始める。

 同店は想定客単価は¥600程度とし、主婦らの中食需要を掘り起こす。


・大手食品メーカーのニチレイは10月から高齢者向けのおかずなど

 食事メニュー10品を各¥500程で販売を始める。

 又マルハニチロは年内にも、高齢者向けに自然解凍で食べられる

 介護食の宅配を始める。


食品メーカー、飲食各社は中食・内食需要の拡大を目指し、

又、小売り各社はシニア層の開拓など客層拡大を積極的に図っている。


小売り業界では早くも冬・年末商戦に熱がおびて来た。

・セブンイレブンなどコンビニ各社やイトーヨーカ堂は

 今年のおでんの新商品を発売した。

 セブンイレブンはおでんつゆに2種類のかつお(荒節と枯節)を使用し、更に旨味を出す。


・高島屋は2013年おせちの種類は昨年より10品を増やし、350種類とする。

 おせちの容器は沖縄料理には沖縄焼きの重箱を採用、

 東武百貨店の一押しは高さ38cmの8段重箱に詰めた

 「東京スカイツリー和洋中8段重」など、各社はこだわり容器で準備してる。


消費停滞の中では、「消費者にいかに提案するか」が重要になり、

お客様もそれを期待している。



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net