今回のお話は、小売業だけでなく
あらゆるお店や企業にもあてはまる内容です。

『値引き』

消費者にとっては、心地よい響きです。
日々の家計をやりくりしている主婦の方々の中には、
同じ商品でも1円でも安く!とスーパー巡りをされる方が少なくありません。

ただこの『値引き』、提供する側があまり単純に考えすぎると、
お店や企業自体が破産に追い込まれる最悪の状況になりかねないのです。

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例を挙げてみましょう。

ある街に1件の小さなイタリア料理店がありました。
その地域には、洒落たお店もなく、明るくて美味しいお店です。

素材もよく、ランチは1,000円(税込)という価格でしたが
美味しさが評判でいつも満員でした。

ところが、ある日近くに大手チェーンのイタリア料理のお店がオープンしました。

駅に近く、広くて、安くて特典もあります。
何より、折込広告をふくめた大規模な販促活動。

最初はじっくり構えていた小さなお店のオーナーも、慌て出します。

さて、何をしようか??
小さなお店のオーナーは、ある決断をしたのです。

『メニューすべて1割引き』

最近はクーポンや割引きも多く、珍しくないかもしれません。

ですが、この事が小さなお店の経営を一気に悪化させる引き金になりました。

ここで、内容を分かりやすくするためにお店の経営内容を

 ●1,000円/人前
 ●原価は50%=500円
 ●固定費(家賃・人件費・広告など)=44万円   と前提します。

 この内容で1,000人前売れるとすると・・・

 売上げは100万円
 原 価は50万円
 固定費は43万円

 利益は、7万円となります。

さて、これを1割引で販売すると、

【1割引のシュミレーション】

 売上げは90万円
 原価は、元が変わりませんから50万円(500円×100)
 固定費は変わらず43万円

利益はマイナス3万円になります。

でもここで、もし1割引を行わず、お客様が1割減っても
同じ価格でメニュー内容に変化をさせるなど、別の工夫をすれば

【お客様が1割減った場合のシュミレーション】

 売上げは、1,000円×90=90万円
 原価は、500円×90=45万円
 固定費は変わらず43万円

 利益は2万円です!


1割引きで、大手チェーンと張り合い、赤字にならないようにするためには
1,075人前を売らないと同じ内容になりません。(これでようやく赤字がゼロ)

 【必要粗利 43万円÷粗利単価 400円=1,075個】 

このお店は、結局1割引から元に戻すこともできず、
赤字が積み重なり、閉店することになってしまいました。

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ここから気付いて頂きたいことは、もしお店の売上げが前年比で●%下がっているのであれば、
単に売上げが落ちているで終わらせず、客数が下がっているのか、客単価が下がっているのか、これだけでも対策が大きく変わってくるということです。

『値引き』は、大きな会社で薄利多売が許される強者の特権です。
個人店や中小企業は、決して対抗したり真似してはなりません。

使い古された言葉かもしれませんが、
『価格』ではなく『価値』を売ることが、どんな企業にもあてはまる最良の方法です。

小さいからこそ小回りの利く、より付加価値の高い内容は大きな企業には真似できないのです。

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